一言進言

どこに向かう民進党

どこに向かう民進党 ~地方政治に入り込め~(7月14日掲載)

■ 「幼児化する日本人」とある評論家が最近の世相を嘆いている。物ごとを白か黒だと決めつける。一方的に他を攻撃する。思いやりのある言葉が極端に少なくなった。政治家も一緒で、言葉に寛容さがなくなった。55年体制を懐かしむわけではないが、議場ではやりあうが、議場外では意外につながっていた。政権を担った自民党も、野党の社会党の意見に耳を傾けた。だから世界でも有数な福祉国家に成長させた、相手をとことんやり込める雰囲気はなかった。
■ 参議院選挙は予想通り与党が圧勝した。当然と言えば当然だ。民主党が民進党に党名変更した時点で勝負はあった。大企業の労組や自治労など組合頼り政党の枠から抜け出すことが終始できなかった。大企業寄りの政策を進める自民党に対抗するには、大企業労組と一定の距離を置かない限り、大多数の庶民とはつながらない。大手企業の恵まれた労働環境にある組合は、今や自民党より資本家寄りだ。
■ 周南市は県内で最も平均個人所得が高い。370万円だそうだ。公務員は700万円に手が届きそうだ。山陰側の各地は270万円とさらに低い。しかし公務員に地域格差はほとんどない。いけないと言うのではない。今や公務員や大企業で働く人たちの中に、資本と労働という対立感覚はほとんどなくなっている。そうした人たちの代弁者は今や自民党だ。企業に賃上げを促す自民党に対抗する手段を失った民進党に勝ち目はない。
■ もう一つ、共産党と組んだ時点で、民進党は政権を担う意気込みを捨てたと感じたのではないか。共産党は、その存在感は認めても、政権を託すのを不安視する人は多い。共産党の票が欲しいだけで共闘を組む姿に失望した人も多かった。結局、投票に行かないことで意思表示をしたのではないか。いったい、民進党はどこに向かって活動しているのかが見えない。
■ とりわけ地方での存在感のなさは抜群だ。地方議員が皆無に近い状態では、政権を担う政党要件はない。地方自治に対する指針を持たない。市営住宅一つ、かくあるべきと主張できるのか。地域医療、介護政策に確固たる方針を持っているのか。市民活動の取り組みはどうするのか。とりわけリーダー養成への指針がない。政党支部に一般の人がどれだけ参加しているのか。自民党の底力はその辺りにある。与党圧勝はある意味怖い。政権交代の危機感がなくなると不安だ。(中島 進)