一言進言

いつから求職活動を?

いつから求職活動を? ~江本前駅長にみんなが唖然~

埼玉県桶川市の市広報9月号に、周南市の道の駅「ソレーネ周南」の駅長だった江本伸二氏を7月1日付で市職員に採用したと紹介されていた。我が社が同駅の赤字問題でインタビューしたのが7月末だった。もうその時点で、彼は他市の職員だった。堂々とインタビューに答えていたが、指定管理者として道の駅を運営する周南ツーリズム協議会の藤井代表理事も一緒だった。売り場面積確保のため、コンビニエンスストアの移設を申し入れるなど、改革案も語っていた。彼のインタビューはなかなか実現しなかった。ずっと出張中が理由だった。しばらくして職員を辞めてボランティアで駅長を続けることになったが、理由は「少しでも経費を削減する」だった。
前代未聞の展開に、周南ツーリズム協議会も行政も驚いた。「ソレーネ周南」の顔と言うべき駅長が密かに他市の職員になっていたのだから。昨年11月には桶川市に招かれ、カリスマ駅長として講演していた。いつから求職活動をしていたのか。東京出張も多かったが、自らの求職活動のためだったら、その経費はどう処理するのか。給料の二重請求だけではすまないだろう。
江本前駅長を責めるだけで問題は解決しない。行政、ツーリズム協議会が形式的でない、本音で経営を論議することだ。まずツーリズム協議会がもっと責任を共有して理事会を含めて再構築することだ。行政も設立の経緯を含め、検証作業を進めることだ。
周南地区ではJAが相当カ所の直売所を経営しているが、営業時間中の安定供給には苦心している。ソレーネ周南は市内の山間地など広範囲の高齢者たちが作る野菜も売れるようにヤマト運輸と提携、高コストの野菜を置いている。そうでもしないと農産物は集まらない。絶対的に農業者が足りないのだ。地産地消ばかりを強調するが、コストをかけて農産物を集めるシステムはビジネスとしては成り立たない。結局、小指の大きさの里芋まで売るようになる。ツーリズム協議会のメンバーに流通のノウハウを持つ人がいない。頼みのJAは設立当初から腰が引けていた。自分のところで精いっぱいだからだ。
□徳山商工会議所、周南観光コンベンション協会の一員として、設立に意見を言ってきた立場から、改めて当時の議論を思い浮かべている。江本前駅長は、人の意見を聞く態度ではなかった。最初から福祉の駅を作ると語っていたが、その意味を理解できた人がどれくらいいたのか。確かに高まいで、限界集落の人たちを救うことになるかもしれないが、まずは収益を上げないと不可能な課題だった。
□グッドデザイン賞という看板をもらい、桶川市でも大歓迎で受け入れられたようだ。渡り鳥のような生き方に良い、悪いは言えないが、周南市の多くの関係者に失望を感じさせたことは間違いない。一言、謝罪のメッセージぐらい欲しいところだ。(中島 進)

光市長選挙に望む

光市長選挙に望む ~民間人の活力、センスを引き出す市政を~
10月16日告示の光市の市長、市議会議員選挙まであと1カ月。かつては、市長選は当時は貞兼一県議と河野博之県議と派閥が明確で、市長選もそれが反映されて動いた。松岡満寿男元市長の影響も大きく、支援を取り付けるのに苦心していた。新日鉄も隠然たる力を持っていた。投票率の低下と比例するように、激しい争いも少なくなった。今回は無投票で再選されそうだ。新日鉄が新日鉄住金と新日鉄住金ステンレスになり、地方政治に注力しなくなって、ますます投票率が下がってきた。
市川現市長はボーイスカウトで培った行動力と繊細な気配りで、反対勢力の台頭を許さない体制を作った。市議会議員出身だが、行政を無難にコントロール、飛び抜けたアイデアは少ないが堅実だ。周南コンピュータカレッジの廃校後も専門学校の誘致に成功し、病院問題も終息に向かっている。
上関原発も工事再開の目途も立たないことから一時ほど話題にならなくなった。原発に賛成できないと明言する市川市長だが、賛成派からの反発もほとんど見られない。安定した市政運営ができそうだ。こうした時こそ、思い切った施策を実行できる。光市の宝は自然と多様な人材だ。
我が家のトイレには、光市の自然を描いたイラストのポスターが20年前からかけてある。「日刊新周南」でも連載していた奥田賢吾さんらが作った日本中どこに出しても誇れる素敵なポスターだ。年月が経っても色あせない。光市は人間国宝の山本晃さんをはじめ多彩なアーティストを輩出してきた。エコ活動家も多い。
行政の仕組みに民間人を参加させるのが一番難しい。どこもそうだが、施策を考え、決定するのは行政マンの役割だ。そう決めつけるのが従来の役所だ。周南市も民間人が動いて周南観光コンベンション協会を作った。観光事業を民間に託す大きなきっかけにと期待されたが、担当行政マンの人数を削減するわけでもなく、観光協会当時と感覚は変わらない。むしろ二重行政的になった。市川市長は若手職員を地域活動に参加させることに積極的だ。問題は民間の力を引き出す手法に工夫が足りないことだ。
いつまでも補助金で民間を応援している。発想を変えて、職員の削減を図り、浮いたお金で好きに使える予算を作り出すことだ。一人削減すると、少なくとも年間700万円程度は浮く。300万円出すから5000人集めるイベントを考えてくれと若者たちに委託することだ。施設の運営を民間に任せることだ。
若者たちは自由な発想で、イベントを楽しみ、施設の運営に知恵を絞る。そこに多様な人たちが集う。デザイナーだったり、大工さんだったり、経営者だったり、もっと柔軟な発想が生まれてくる。役所機構の中からセンスの良さを追求する思想はなかなか生まれない。(中島 進)

小学6年まで医療費無料の下松

小学6年まで医療費無料の下松~人口増の下松と、光、周南の違いは?~
地方自治体の力は目安を何にするかで評価が違ってくる。ちなみに10年前と人口を比較すると、光市は2,500人、周南市は6,200人ていど減少、下松市は2,000人ほど増えている。分母が違うのでそのまま比較にはならないが、3市の中で下松だけは増えている。周南市、光市は合併で中山間地域を抱えているのも要因だが、どこでこんな差が出たのか。
政策にどんな違いがあるのか。水道料金は確かに下松市が安い。特に違うのが子育て支援だ。下松市は8月から医療費を所得制限なしで小学校6年生まで無料化した。周南市の医療費は所得制限つきで小学6年まで無料、光市は所得制限つきで小学3年までだが高校卒業までの入院費が無料だ。下松市の政策は子育て世代には相当の魅力だろう。さらに、下松市は第二子以降は保育料が無料だ。
一時期、財政再建団体に陥った下松市は、緊縮財政を強いられたが、それをバネに見事な復活を遂げた。職員給与も圧縮、ケチケチ作戦をしてきたが、子育てには力を注いできた。インフラ整備ではザ・モール周南南側の道路計画は、見事なまでの碁盤目状で建設が進んでいる。店舗が張り付き、住宅がどんどん建てられている。子育て支援がそれをさらに促進している。
若者が1人定住すると、その自治体にどれほどの効果があるか。ある研究者の試算によると、所得にもよるが、生涯で3,000万~5,000万円もの税収増が見込まれると言う。子どもが増えればさらにその効果は増していく。将来を担う若者を増やすことは、最優先課題だ。防府市は市が商工会議所に委託して市内の企業約140社のカタログを作成、市内の高校生全員に配った。市内へ就職、定住してほしいと動いている。
山口県も若者定住を標ぼうする。Uターンを盛んに訴える。しかし、Uターンして創業する若者支援は、県内全域でわずか3件しか予算化されていない。優秀な若者を呼び戻そうなど、よくぞ口に出しているなと、あきれるばかりだ。行政の本気度が地域間格差を生み、将来を予想させる。周南3市ももっと連携して未来予想図を共同で描く作業を始めるべきだ。周南市はもっとしっかりして、そのリーダー役を演じることだ。未来予想図は老人の町ではない。(中島 進)

学校を減らすな

学校を減らすな~教育は最後のとりで~
就農支援など中山間地域に対する支援策は多岐にわたる。空き家情報などいろんな手を使って応援している。結果は、何千万円もかけてわずか数人の若者が移住しただけだ。一方、周南市に顕著だが、山間部の学校は多くが廃校になった。若者を増やせということと、合理化で学校をなくすことを並行させる矛盾に、中山間地域の難しさがある。
7、8月の集中的な雨で須金地区への国道ががけ崩れで通行止めになった。同地区には中学校がなく遠回りして須々万地区まで通う。中山間地区には当たり前の光景だ。しかし、こんなところに子育て世代の若者が定住するのだろうか。学校は子育てをするには切実な問題だ。
高校の統廃合もさらに検討されている。南陽工高、華陵高、光丘高などが対象にあがっているが、あまり話題にならない。卒業生はじめ、地域の無関心さにがく然とする。確かに2018年以降、生徒が激減する予定だ。限られた財源で高校を維持するのも大変だろう。しかし、地方にとって教育は最後のとりでだ。
効率や合理化の論理を教育現場に持ってくるのは究極の選択だ。公務員の数、無駄な公共投資、見直すべきことはほかにないのか。教育を放棄した地域に未来はない。子どもが多い方が教育には良いと語る人もいる。へき地で複式学級で学ぶ子どもは、そんなにいびつになのか。学力が衰えたのか。
高校がなくなることが地域の将来にどんな影響をもたらすか。大人たちの勝手な合理主義が、地域をどれだけ廃たれさせたか。落ち込みの激しい山口県は、何によって持ちこたえるか。産業だ、観光だと言うが、最後は子どもたちだ。子育てしにくい山口県に将来があるのか。教育費を削り、公務員は旧態依然。外郭団体への補助金もそのまま。目の前のハエを追い払うことだけに熱心な大人たちの姿に、子どもたちは何を思うか。
学校を失くしながら、若者定住を叫ぶ大人たち。こんな地域に魅力を感じる若者がいるわけがない。団塊世代が一斉に現役を退いて労働人口が激減した。政府は失業率が過去最低だと威張る。そりゃそうだ、働く若者が少ないのだから人手不足は深刻だ。
子育てを放棄した地域にどんな夢を持てるのか。10年先、20年先を見据えて施策を考えるのが大人の役目だ。20年先、子どもをどれだけ増やすのか、計画があるのか。教育は先行投資だ。子どもが少ないから学校を閉めるという発想ではなく、学校を維持するためにどれだけ若者を増やすかを考えることだ。Uターンしたい若者の相談窓口すら十分に周知されていない。優先順位を間違っている。(中島 進)

管理者不在の道の駅

管理者不在の道の駅~猛省し、早急な対策を~
中小企業の経営者は常に薄氷を踏む思いで経営にあたっている。ちょっと気を抜くとたちまち経営が苦しくなる。それが当たり前だ。周南市の道の駅「ソレーネ周南」は危機的状況だ。なんと現場トップの江本駅長が非常勤になっていた。すでに従業員でもなく、市の指定管理者の社団法人周南ツーリズム協議会の理事の1人だと聞く。彼はボランティアで仕事をしているそうだ。現場に出る義務もない。
現場に責任者がいなくてどう仕事が回っているのか。お金の出し入れに誰が責任を負うのか。2015年度の決算は、市への報告後しばらくして700万円もの記載が違っていたと訂正された。遅かれ早かれ、組織そのものが崩壊するだろう。周南ツーリズム協議会は自分たちの意志で作られた法人ではない。当初から、こんな経営母体ではだめだと、指摘してきたが、現実になってきた。
このままでは働く人、納品業者、テナント、傷つく人たちが大勢出てくる可能性が高い。ツーリズム協議会の構成団体は真剣に対策を考えるべきだ。厄介なのは、構成団体のうちの多くが、いまだに最後は市が補てんするなり、面倒を見てくれると信じていることだ。
全国で第3セクターによる開発が盛んなころ、多くの施設が破たんした。住民訴訟がそこら中で起こり、市長や町長へ弁済判決が出た。その後、各地の議会は首長に責任が及ばないよう議決し、行政に責任をかぶせないようにした。下関では、韓国との高速船事業で10億円を下関市が負担、住民訴訟で市長に支払えと判決が下りた。それを受けてか、株式会社徳山駅ビルは、社長を市長から副市長に変える事態にもなった。また2億円もの赤字を清算するのに、㈱トクヤマなど出資企業がすべてのみ込んだ。
かように役所がらみで商売するのは難しい。今回さらに厄介なのは、江本駅長の証言では「10万円以上はお金を出すことはありません」と協議会参加団体を勧誘していたことだ。彼は「市職員の立場で言いました」と断言している。これを真に受けた各団体がツーリズム協議会を作った。しかしそんなことはあり得ない、市長も過去、市が補てんすることはありませんと断言している。
解決への選択肢は極めて少ない。市が直営にするか、ツーリズム協議会が経営母体になりうる団体にお願いするか。少なくとも今の形態での経営は無理だ。傷口が広がらないうちに、1日も早く結論を出すべきだ。木村市長はじめ執行部の猛省が鍵だ。(中島 進)