一言進言

トランプ現象に学ぶものは?

~アメリカは変わったか~
最近のニュースはトランプ米大統領一色で気色が悪い。時代が大きく変わってきた印象だが、果たしてそうだろうか。アメリカらしい人物と思うが、本来、アメリカはもっと違う国だっただろうか。20年前、9・11直後、アメリカ中が熱気に包まれ、アフガニスタンを徹底的に空爆、10万人とも、20万人とも言われる民間人を殺した。当時のブッシュ大統領の支持率は確か80%にも達した。しかも、イラクまで攻撃し、多くの命を奪った。アメリカ国内で反対の声がいかほどだったか。
人権を何より尊重し、差別を許さない国家と思っているのだろうか。黒人を白人警官が無慈悲に殺害する事件は後を絶たない。テロとの戦いと称して、いったい今までどれだけの罪のない女性や子どもが犠牲になったか。アメリカの基地から鼻歌交じりで無人爆撃機を飛ばし、誤爆など問題にしない。
トランプ大統領が特別とは思えない。アメリカは民主主義を重んじる世界の警察たる国家とか言われる。知る限り、成功例はほとんどない。ベトナム戦争から今日まで、アメリカが介入して安定した国や地域はいかほどだろうか。ベトナムはアメリカに勝って、初めて安定した。
最近の報道を見ると、アメリカに幻想を抱いているマスコミが多すぎる。イラク空爆でどれだけのマスコミが批判したのか。横たわる幼い子どもの死体を見て、世界の、アメリカのマスコミが騒いだだろうか。アメリカのマスコミも自国で3,000人死んだから、10万、20万人のアジア人が殺されても問題にしなかった。
昔は、西部劇ではインディアンは悪い人間で、白人は善人に描かれていた。100年も前の話ではない。一部のハリウッドの教養人たちが先住民族の視点で映画を作り始め、ようやく西部劇も変わってきた。随分年月がかかった。今回のトランプ大統領出現で、逆にアメリカも本質的な問題を論議する機運が生まれたのではないか。
日本は幸か不幸か、島国のせいでいまだに鎖国のような国家だ。移民の姿を見ることも少ない。しかし、在日朝鮮人への差別など、まだまだ問題は多い。トランプ現象を機会に、国境の問題、多民族とのかかわり方、国家としてのアイデンティティーの持ちよう、感情を抑える方法など、他山の石とするチャンスかもしれない。人はみんな自分が一番可愛い。(中島 進)