一言進言

角栄さんみたいな井川さん

~時代が終わったか?~
ある人が、前下松市長の井川さんは田中角栄さんみたいだ、と言っていた。父親を早くに亡くし、小学校しか行けなかったが、働いて会社を起こし、請われて市議会議員になり、日本最高齢の市長まで務めた。何が角栄かと言えば、その人心掌握術だと言う。相手の懐深くに入り、心をつかみ、味方にしていく。そのすごさが井川さんの魅力だと語る。
井川さんの叙勲受章の祝賀会は盛況だった。久しぶりに多くの政治家も集った。東洋経済新報社の住みよさランキングで下松市が全国上位になった手腕を長い友人たちも我がことのように喜んでいた。職員への感謝も忘れなかった。企業家感覚を持った、最近ではまれな政治家だった。
企業家と、そうでない市長の差はどこなのか。優先順位の付け方だ。行政マンを擁護する発想ではなく、顧客を守る視点を重視する。下松市は1976年に財政破たんしたが、最後まで職員の立場を守ろうとした結果だった。結局、職員の給与を据え置き、新規採用を7年間見送り、固定資産税を上げるなど荒治療をせざるを得なかった。
井川前市長時代、水道料金を上げないため、予算のかかる地下配水池の建設に固執する水道局長を事実上、更迭した。それは他の職員に危機感を抱かせたはずだ。高村旧徳山市長は強権政治と言われたが、仕事を遂行できない職員、意に反する職員を次々とスポイルした。だからこそ、あの短期間に周南バイパスができ、新幹線は現在地に停まることができた。
箱物は誰にでもできる。正月明けの互礼会が象徴的だった。木村周南市長のあいさつは新庁舎建設と駅ビル完成、それに水素事業の推進だった。お金を使えば誰にでもできる事業しか言えなかった。木村市政への不満はうっ積している。夢が持てないからだ。市の課題は何か、的確な分析と対応が忘れられている。職員のやりたいことと、市民が望むことに乖離(かいり)が激しい。
井川前市長も万全ではなかった。しかし、批判を封じ込めるパワーを持っていた。保育園の民営化には、子どもの医療費無料化をからめた。区画整理では反対派の住民とひざをつき合わせて話し合い、道筋をつけた。職員も同化して動いた。そして下松市は子どもが増え、人口が増えた。
我が社を設立した時、財政再建団体当時の下松市長だった山中健三さんが取締役として参加してくれた。苦労話を随分聞いたが、その後の下松市を今日まで発展させた井川さんの祝賀会に参加できたのも何かの縁だったろう。一つの時代が終わった。さあこれからだ。(中島 進)

トランプ現象に学ぶものは?

~アメリカは変わったか~
最近のニュースはトランプ米大統領一色で気色が悪い。時代が大きく変わってきた印象だが、果たしてそうだろうか。アメリカらしい人物と思うが、本来、アメリカはもっと違う国だっただろうか。20年前、9・11直後、アメリカ中が熱気に包まれ、アフガニスタンを徹底的に空爆、10万人とも、20万人とも言われる民間人を殺した。当時のブッシュ大統領の支持率は確か80%にも達した。しかも、イラクまで攻撃し、多くの命を奪った。アメリカ国内で反対の声がいかほどだったか。
人権を何より尊重し、差別を許さない国家と思っているのだろうか。黒人を白人警官が無慈悲に殺害する事件は後を絶たない。テロとの戦いと称して、いったい今までどれだけの罪のない女性や子どもが犠牲になったか。アメリカの基地から鼻歌交じりで無人爆撃機を飛ばし、誤爆など問題にしない。
トランプ大統領が特別とは思えない。アメリカは民主主義を重んじる世界の警察たる国家とか言われる。知る限り、成功例はほとんどない。ベトナム戦争から今日まで、アメリカが介入して安定した国や地域はいかほどだろうか。ベトナムはアメリカに勝って、初めて安定した。
最近の報道を見ると、アメリカに幻想を抱いているマスコミが多すぎる。イラク空爆でどれだけのマスコミが批判したのか。横たわる幼い子どもの死体を見て、世界の、アメリカのマスコミが騒いだだろうか。アメリカのマスコミも自国で3,000人死んだから、10万、20万人のアジア人が殺されても問題にしなかった。
昔は、西部劇ではインディアンは悪い人間で、白人は善人に描かれていた。100年も前の話ではない。一部のハリウッドの教養人たちが先住民族の視点で映画を作り始め、ようやく西部劇も変わってきた。随分年月がかかった。今回のトランプ大統領出現で、逆にアメリカも本質的な問題を論議する機運が生まれたのではないか。
日本は幸か不幸か、島国のせいでいまだに鎖国のような国家だ。移民の姿を見ることも少ない。しかし、在日朝鮮人への差別など、まだまだ問題は多い。トランプ現象を機会に、国境の問題、多民族とのかかわり方、国家としてのアイデンティティーの持ちよう、感情を抑える方法など、他山の石とするチャンスかもしれない。人はみんな自分が一番可愛い。(中島 進)

3市長座談会大きな成果

~調理学科や介護学科新設を~
何年かぶりに周南3市市長の座談会を開いた。国井下松市長の誕生で、新たな3人の個性がどう出るか楽しみでもあった。3市が連携したらもっと効果的なことも随分あるはずだ。結果から言うと、大成功だった。観光は以前から取り組みを始め、周南市の周南観光コンベンション協会が先導しながら、マップづくりまではこぎ着けた。中身はこれからだが、周南七福神などのパワースポット巡りなど、今までの代表的な施設を並べただけのマップから、焦点を絞った、一歩も二歩も抜け出した企画が待望される。
今回の大きなテーマは高校の再編成だった。校区がなくなり、高校選びの範囲が広がった。一方、県教委は昨年末に計画案を示した光高と光丘の再編成をはじめ、華陵、南陽工も統廃合の検討対象にしている。華陵高の生徒は、下松市からは30%。周南地区が一つの校区の状況だ。
それぞれ特色を持った高校が旧来の高校に統合されるのは、選択肢を奪う施策だが、少子化の波には逆らえない。地域の最大の課題は、子どもたちが地域で生活できることだ。市川光市長から素晴らしい提案があった。3市で必要とされている若者を育てる学科を要望しようと言うものだ。市川市長は他校の例を挙げて、料理学科、調理師を育てる学科がほしいと提案した。
今、周南地区で最も不足しているのが若い世代の人材だ。特にサービス業では調理師が圧倒的に足りないし、介護士など福祉関係も深刻な人材不足だ。看護師も柳井か防府まで行かないと、高校教育が受けられない。市川光市長が言うように、これこそ3市が連携して要望を集約、県に提案するべきテーマだ。統廃合を受け入れる代わりに、これらの学科の新設を求めて行くことに、もろ手を挙げて賛成したい。周南3市の若者に職業選択の幅を広げることが、どれだけ地域に大きな効果をもたらすか、想像しただけで楽しくなる。
併せて周南3市選出の県議会議員との連携の話も出た。高校教育に市境がなくなった今、3市共通の課題に市長、県議が力を合わせて取り組むステージは、市民からも絶賛の声が上がるだろう。木村市長が唱える「共に。」を発揮する、それこそ共創の世界だ。
先の周南市議会で、新人の山本真吾議員が新人らしい質問をした。市役所職員で市外居住者は何人かという問いに、150人を超える職員が下松や光市に住んでいることがわかった。3市連携の旗振りは、まさにそうした市外居住の職員たちが率先して取り組むべき課題だろう。今年は春から縁起が良い。(中島 進)