一言進言

耳障りな意見に耳を

~頑なな木村市政に一言~

「安倍一強」は人を変えたようだ。菅官房長官は冷静沈着で、全体をよく読み取る参謀にぴったりの人物像だった。瞬間湯沸かし器のような安倍総理と組んで、見事な女房役かと思っていたら、最近それを上回る激昂ぶりがたまに見える。
長く最高権力を握ると変わるもんだ。敵とみなすと、人格攻撃でも何でもする。実に見苦しくなった。与党国会議員の不祥事も後を絶たないが、敵だけでなく、人格を疑われる自陣の人たちをどう評価するのか。官房長官ほどの立場の人は冷静さが必要だ。
とかく権力の中にいると勘違いする。周南市防災無線工事の一件は残念だった。設計ミスが見つかり、再構築が決まったが、木村市長はあくまで調査の問題であり、工期には支障ないと強気の答弁を展開していた。まるでいちゃもんをつける側がおかしいという態度だった。実際どうにもならなくなり、工期も延長し、7,000万円をはるかに超える費用も必要となった。副市長とともに減給ですませたが、担当者への対応は軽微な処置で議会を通過させた。そこには、なぜこんなずさんなことになったかを検証する姿勢はなかった。
駅ビルなどはもっとひどかった。基本構想では25億円としていた整備費が35億円近くまで膨れ上がり、解体費や内装などを含めると55億円にも到達する勢いだ。しかしこれにも無頓着だ。
なぜこんなことになったか、経緯を含め反省する姿勢はみじんもない。行政マンをかばうのはいいが、すべて税金だ。仕方ないですむなら計画案などいらない。ずさんなプラン建てはなぜなのか。図書館の指定管理者となるカルチュア・コンビニエンス・クラブの要望は降ってわいたのか。
認めてきた議会もわからない。6月議会で増額の積算根拠の資料が出されたが、大綱質疑として委員会でというやりとりの中で、発言の取り消しを余儀なくされた兼重元議長。「しゅうニャン市」予算で「対案がないのに反対するのは無責任だ」と発言、取り消した坂本心次議員など木村市政を擁護する議員のレベルも低すぎる。市民は必死で働いて納税している。その痛みをわかるなら、こんな簡単に税金の使い方をスルーさせることはないはずだ。
防災無線工事は、島津元市長敗退の原因の一つにもなった重要案件だった。高飛車に問題なんかないと言い切った木村市長の政治責任は重い。指導力をどこで発揮しているのか、もう一度初心に返って検証してほしいところだ。市長歴6年。そろそろ耳障りな意見に謙虚に耳を傾ける姿勢を出すべき時だ。周南市にとって何が今重要課題なのか、もう一度整理整頓して、スローガン遊びではない、実質的な施策の研究をしてみようではないか。共に。(中島 進)

全国に優れイノベーター多し

~ユーモア通じない「しゅうニャン市」にがっかり~
フォーブス6月号で「日本を元気にする88人」イノベーターの特集をしていた。全国地方自治体の苦悩と、それを課題化し、解決していこうという取り組みが各地で展開されている。ユニークさを競うだけでない、住民を奮起させたり、全国に注目され、移住者を増やす活動であったり、新しい産業を生み出す仕掛けなどさまざまな成果をあげている。そこには常に前向きな地方自治体職員がいて、地域を愛する優秀なイノベーターがいる。はっきりしているのは箱物行政はその場面では登場しないことだ。
最近では、別府市の長野市長が注目されている。「住民一丸型」市長で有名だ。公金を1円も使わず「湯~園地」を作ろうと企画。温泉でタオルを巻いた市民が湯をかぶりながらジェットコースターに興じている動画はネットでたちまち大評判になった。100万回を超えたら本物を作ると公言、実際たった3日で100万回突破した。クラウドファンディングで寄付金を募集すると、あっという間に3,400万円も集まった。
まだまだいる。鹿児島県長島町に出向した総務省出身の井上貴至さんは、町特産の養殖ブリにちなんで「ぶり奨学プログラム」を考えた。町出身の学生が10年以内に戻ると奨学金の元金を補てんする仕組みだ。ブリ1匹が売れると1円寄付をしてもらうなど、資金づくりも工夫した。福井県鯖江市は「市民主役条例」を制定、市民を参加させながら実効性のあるアイデアを取り入れる取り組みが興味を持たせる。
周南市は徳山駅と新庁舎でおよそ200億円の投資をしたが、そこに市民の姿はない。形はデザイン会議など市民も参加したことになっているが、実質的にはゼロに等しい。ほとんどが行政が決めたことを発表しただけだ。「しゅうニャン市」プロジェクトも最初は市民が一部参加していたが、結局、行政主導になってしまった。
徳山駅の南北自由通路のサイネージ広告に我が社も参加している。劇画チックに記者たちが登場。菊川でヌートリアを発見したり、「えっ!しゅうニャン市になるんだって!」と驚く場面を使ったが、木村市長からクレームがついて却下された。もともとギャグ的発想で作られた「しゅうニャン市」だから、ギャグ的な表現をと作った広告だ。JRの担当者も、なんでこれが却下されるんでしょうと不思議がっていた。何でも批判的な印象を与えるそうだ。
批判も多いと書いたが、賛成も多いとも書いた。そんな「日刊新周南」のコマーシャルは批判的だと断定する神経は解せない。ギャグ的な発想で始めたキャンペーンを、ギャグ的に表現しただけで、そこに批判的な意図は皆目なかった。堅物市長らしく、ユーモアの範囲は限定的なようだ。別府市のPR動画はギャグ的だから受けた。そんな堅いことを言うぐらいなら、周南市のキャンペーンに中途半端なギャグを使わねばいい。市民参加型にはほど遠い感覚だ。主役は市民であるべきだ。ニャンとも悲しい。(中島 進)

空き家対策はリノベーションから

~福川も室積も可能性あり~
全国で空き家対策が悩みの種だ。周南地区でも中山間地域はもちろん、周南市新南陽地区の福川や光市の室積など市街地周辺でも深刻だ。先日、福川を歩いたが、メーン道路から1本入ると、ほとんど生活のにおいがしない。明らかに空き家とわかる建物だらけだ。福川駅周辺は地の利がすこぶるいい。国道2号に近く、駅前は県道が走り、防府方面でも、車で徳山の中心市街地にも15分か20分足らずで行ける。電車も利用できる。
先日、NHKの番組で、全国で注目されている大島芳彦さんというリノベーションで有名な建築家が取り上げられていた。リノベーションはもともとの性能以上に新しい価値をつけて再生させること。古いアパートを周辺住民を巻き込みながら再生し、地域の拠点のようなスペースにしてしまうとか、市営住宅を改造、結婚式場にも使える場所に変身させたりと、実に見事だ。大阪府のある市では、エリア全体を委託され、緻密な計画に盛り上がっていた。
身近にも日本を代表するリノベーションの専門家がいる。全国に展開している「R不動産」の創始者、藤井建之さんは周南市出身で、まだ若い。「R不動産」は家主と借り主をつなぐだけでなく、設計士と工務店とグラフィックデザイナーなどを融合させ、エリアの光景を変える活動を始め、全国で多くの成功例を上げている。
もうかるからと周南地区にもマンションが乱立している。一方で空き家だらけの地域も増えている。マンションとマンションの間に空き家が点在する光景は醜い。そこには人の暮らしや働いている人の汗を感じることはない。例えば周南市二番町のイタリアレストラン「カカ」は古民家をリノベーションして開店、周りの空気を変えた。
広島県尾道市などは空き家対策をリノベーション集団に委託した。あっという間に百数十件の物件が登録された。築後120年の民家を素敵なシェアオフィスに生まれ変わらせたり、坂道だらけの不便さを逆手に取った使い方もうまい。成功例は数えきれないほどある。ただし、そこには熱い想いを持った、優れたプロデューサーがいる。周南市にも「カカ」や「日下医院」などを手掛けた人たちがいる。活躍の場は無限にある。
木村周南市長はクリエイターを集めると宣言している。地元にもいる。また藤井さんのような人もいる。まずは空き家対策をそうしたクリエイターたちに全面的に委託したらどうか。職員2、3人分の給料をつぎ込めば、地域は大変身すること請け合いだ。職員だけでは、久米の開通した道路のように、街並みもエリア分けも無茶苦茶な、残念な結果になる。クリエイターの使い方を考えるべきだ。(中島 進)