一言進言

地方創生は職員の意識改革から

~まずは優れた指導者を招け~

「まち・ひと・しごと創生法」がスタートして、全国の地方自治体が「地方創生」を掛け声に、さまざまに取り組んできた。県内でも周南3市を含め各市でそれぞれに試みている。まだ途中だが成果はどうなのだろうか。ここは経済学者がいる徳山大学あたりがもっと研究をしてほしいところだが、全国的に注目された話は聞かない。防府市は商工会議所と組んで、市内の企業を紹介する雑誌を作って高校生に配った。
全国的にそうであるように、単年度もしくは数年だけのバラまき的施策が圧倒的に多い。使うコンサルタントが一定して、補助金が引っ張りやすい事業に集中するから、金太郎飴のようなメニューが並ぶ。人口定住施策は補助金が目玉。将来自立できる技術を指導できる人材もいないから、補助金が縁の切れ目になる可能性が極めて高い。
周南市の須金では、次々と若者がブドウ園を開いて、極めて高い品質のブドウを生産している。収益率も改善し、年収も一般サラリーマンを超えるほどにもなった。だから夢を持てるし、意欲も盛んになる。
これは地方自治体の努力の結果ではない。優秀な若者が帰郷、土中水分の影響など研究を重ねた結果だ。糖分が高い、高品質のブドウを生産し、リピーターを獲得、わずか数年で軌道に乗せた。ここにヒントがあるのではないか。移住促進で多額な税金を使っている。一人移住させるのに500万円、1,000万円はざらだ。しかし、全国で志を捨てて出て行く若者も多い。
営農支援にも優れた指導者が必要だ。地場企業発展もそうだし、地方自治体がすべきことは、優秀なコーディネーターを募ることだ。周南地域地場産業振興センター開設の折、地元出身の優れた人を呼び寄せようと提案したが、報酬が市役所OBを前提に予算化されていて駄目だった。地域起こし隊員として、全国の自治体が若者を募集しているが、成功例は少ない。
それよりも、若い市職員に一定期間、中山間地域を担当させ、しっかり汗をかいてもらい、現実社会を知ってもらう方が得策だろう。優秀な指導者を招くか、若い職員を鍛えるか。地方自治体の課題は明白だ。周南3市で2,000人以上の公務員が働いている。みんなが本気で地域のために何ができるか考え、行動すれば、地域の展望は大きく膨らむ。
光市では若手職員を地域の活動に参加させる仕組みが始まって3年になった。下松市でも、周南市も、もっと若手職員のボランティア活動を奨励すべきだろう。勤務評価に取り入れるぐらいして、いかに市民とともに活動しているかが職員の資質として大事かをアピールすべきだろう。今でも結構、地域活動に参加する人もいるが、あまりにも評価が低い。
イクボス宣言もいいが、全職員ボランティア宣言はどうだろう。職員の意識を変えることが首長最大の仕事だ。地方創生の鍵は公務員の意識改革にかかっている。その議論がないまま、補助金のバラまきで何とかしようとしているのが、地方自治体の実態だ。ニャンとかしてほしいものだ。(中島 進)

逃げることしかできない災害対策

~急げ情報伝達を!~
幼子を抱き締め、濁流にのまれた妊婦のニュースを見るとやるせない。なぜ早く逃げなかったのか。なぜ早く避難させなかったのか。東日本大震災、熊本地震など、近年の自然界の暴れようは異様だ。全国至るところで猛威をふるっている。いずれも観測史上最高、想定外などの文字が飛び交う。気象庁は「過去経験したことがない雨量」という表現も使いだした。
多くの学者が、世界で起きている異常な豪雨などは、地球温暖化による海水温度上昇が原因と言っている。40度近い気温は当たり前になった。昔は熱中症などの言葉はなかった。
数日前、大分県日田市で仕事をしている身内から動画が送られてきた。川がはんらんする瞬間の映像だった。あっという間に街中に濁流が流れ込む画面に、思わず早く逃げなさい!と叫んでいた。一度の豪雨で穏やかな街の風景は一変した。こんなことは初めて、とお年寄りのインタビューが流れる。「観測史上初めて」「想定外」は子どもたちも覚えてしまった。
金もうけに走り続けた人間への痛烈なしっぺ返しのような今日の自然災害だが、人間たちは反省する気配は全くない。トランプ米大統領はいとも簡単に温暖化対策を定めたパリ協定から撤退。経済最優先の政治は国民に一番受けている。少々政治家、政府が変なことをしても経済さえ良ければすべて良しの流れは変わらない。山を削り、海を埋め立て、排気ガスを出し続け、生産増だけに邁進してきた人間の営みに、地球も悲鳴を上げているのかもしれない。
どだい大自然の力に人間が勝とうと言うのがおこがましい。いくら堤防を高くしても、河川をコンクリートで覆っても、耐震化を進めても、想定外は必ず起きることをこの間随分体験した。とにかく逃げることしか究極の対策はない。より安全な場所を求めて避難することが最後の選択かも知れない。そのためには情報の伝達をしっかりすることだ。
熊本地震の際、愛媛県あたりで地震と流した周南市の緊急通報。6年越しに始まった工事も設計管理ミスで遅延する防災行政無線工事。周辺自治体に恥ずかしいほどの危機管理しかできない周南市に不安を覚えるのは私1人だけなのか。これまで大きな災害を経験していないから、市民も危機感なんかない。多くの被災地がそうであるように、何百年に一度の災害のためには何もできないのが現実だ。しかし、情報が伝達されるようにすることはすぐにでもできる。人間は猫のような動物的勘はない。ニャンともしがたい。(中島 進)

聞く耳を持った権力者に

~唯我独尊の危険に気づけ!~
読売新聞までが安倍一強の弊害を厳しく指摘した。どんな賢人が語っても耳を貸さない政治家も、選挙の結果は痛烈に響くようだ。今回の東京都議会議員選挙、もう少し耳が痛い話にも耳を傾け、謙虚な心を持っていたら結果は違ったろう。敵か味方かだけで判断しないで、国家に有益かどうか、さまざまな意見を聞く場面を持たないと、国民の声を吸い上げられない。
地方自治体でも首長は最高権力者だ。どうしても唯我独尊に陥る危険性を秘めている。本人が気配りできるか、気配りできる側近を常に置いておかないと長くその席に座れない。県知事で言えば平井龍さんが典型的だった。5期20年務めたが、態度もおうようで、「天皇」と陰口を叩く人も多かったが、周りを気配りできる人で固め、実に巧みな配慮で農協の親分など、周囲に実力者をしっかり抱えていた。
それでもその傲慢さに嫌気がさす人も多くなり、最後の選挙では松岡満寿男さんの挑戦を受け、僅差まで追い込まれた。自民党挙げて守り、組織を総動員したが、党内で故藤井真県議会議員ただ1人が松岡さんの応援の先頭に立ち、物議をかもした。しかし、その信念が多くの県議の心を打ち、若くして副議長に選ばれた。選挙は負けたが、戦いには勝ったと言われたものだ。
小新聞の経営に携わって40年近くになった。この間、多くの政治家、経済人の生き方を見てきた。政治家の成功とは何か。首長、議員を長くやることか。地域にどんな功績が残せたか。語り継がれる人は少ない。6月に亡くなった吹田愰さんはミニ角栄と言われたが、それだけ地域に影響力を持っていた。何人かの秘書は今、政治家として活躍している。㈱トクヤマの某専務など民間にも信奉者が多かった。独特の魅力を持った人物だった。
周南地区の歴代市長もさまざまだ。議員になるともっと顕著だ。多くの人の記憶に残る人は少ない。首長1人では大したことはできない。行政マンを意のままに動かせた人が功績を残してきた。小川亮さんは旧徳山市に見事なコミュニティー組織を作り上げた。高村坂彦さんはバイパスや街中の新幹線駅など、今日の基礎を作った。これも皆、行政マンをその気にさせ、本気で仕事をさせたからだ。
木村周南市長へのお願いは、駅ビルや新庁舎ではなく、市民の心に留まる施策を考え、若く優秀な行政マンたちを本気で取り組ませることだ。それは「しゅうニャン市」ではない。民衆駅としてオープンした駅ビルも、40年後には廃虚と化した。港を大改造して後世に残る地域にすることも合併特例債を使ってできたかもしれない。小川さんの意志を継いで、徳山駅西地区再開発ができたかもしれない。何百億円の特例債を使ったのだろう。(中島 進)