一言進言

列を乱す年配女性、怒鳴る男性

~増える暴走老人に対策は?~

年を取ると丸くなると言われるが、なかなかどうして暴走老人は増え続ける。先日、ATM(現金自動受払機)を使おうとしていたら、突然おばさんが乱入。「急いでるんだから」とはねのけて操作を始めた。唖然としてそばで待っていたが、終わってすみませんの一言もない。すたすたと帰るおばさんの後ろ姿にため息が出た。
新幹線などでもそうだが、列に平気で割り込むのは年配の女性が圧倒的に多い。一方、カウンターで怒鳴り散らしているのはたいてい年配の男性だ。はなからけんか腰で話している。
こんなに暴走する老人が増えるとは何という時代だろうか。確かに平均寿命が伸びて、お年寄りは元気だ。肉体的にはすこぶる健康になった一方で、精神的にはかなりすさんできている。その一因は核家族化の中での孤独感ではと思える。孫や子どもに囲まれていると、人間は丸くなる。1人だと周囲との関係も疑心暗鬼になる。
地域で子どもたちを育てよう、地域でお年寄りを支えよう。スローガンは立派だが、それには相当のリーダーが必要だ。リーダーを育てる場所、システムが必要だ。私の知る元公務員の中には何人かリーダー的な活動をしている人がいる。法律や行政の仕組みもわかっているから的確な指導ができる。しかし、そんな人物は少数派だ。毎年多くの公務員が退職するが、地域と関わりを避ける人が大半だ。
常に言っているが、首長の大切な役割は公務員の意識改革だ。取材を通して知り合った公務員で、現役時代、新聞記者と積極的に情報交換していた人は、総じて退職しても社会と関わっている。自分の仕事に自信を持っている行政マンは、むしろ記者の取材を喜ぶ。最近はどうだろうか。取材の申し込みにしり込みするか隠すことにきゅうきゅうとしている。
市民にとってより良い施策を考え出すことが公務員の最大の仕事だ。どんな部署でも、どうしたら市民の生活がより良くなるか、アイデアは民間から吸収することだ。昔、旧徳山市ではごみの収集車には童謡「ぞうさん」のメロディーが流れていた。聞いた住民は急いでごみを出しに行った。それもいつの間にか流れなくなった。日曜日に住民課の窓口も開いていた。工場勤務の人にはすこぶる便利だった。
話が飛んだが、暴走老人を少なくするのに妙案はない。核家族を防ぐ手だてを地道に続けることが最大の防衛策だろう。また地域コミュニティーを支えるために、市民と共に公務員も積極的に参加することも大切だ。失敗を避け、取材を避け、市民を避ける行政から抜け出すことだ。こう書く私も少々暴走老人の仲間入りをしているのかも。自戒を込めて書く。(中島 進)