一言進言

今のいじめ、年寄りには理解不能

~学校現場だけでは処方箋は書けない~
周南市内の高校生が昨年、櫛ケ浜駅構内で列車に飛び込んで自殺した事件が問題になっている。県教育委員会の対応が不誠実だと遺族が怒っているようだ。県教委はいじめはあったが、それが自殺の原因とは断定できないと報告した。さらに、非開示を報告書提出の条件にした。生徒が通っていた高校の保護者からも話を聞いたが、状況はわからない。この種の自殺は全国で起こっている。子どもの自殺は大きな社会問題だ。
中学生になると不登校が増える。各市教委によると周南地域では周南市が小学生15人、中学生94人。光市が小学生5人、中学生32人。下松市は13人と48人。悩める子どもたちが増えている。不登校もいじめだけが原因ではなく、いろんなきっかけ、理由がある。しかし、いじめを感じる子は少なくない。
今のお年寄りの多くは、自分の時代にはいじめもいっぱいあったが不登校や自殺を考える子どもはいなかった、と理解に苦しむ。理解不能なのだ。だから、今の子どもは軟弱なのが多い、と一言で片づける人が多い。
確かに私でもそう思う時がある。中学校時代、父親が校則を見て、全員丸坊主はおかしい、髪を切るなと、1人だけ長髪で登校していた。1,500人中ただ1人だった。先輩からは髪を引っ張られ、ハゲじゃろうがといじめられ、先生からも再三注意された。それでも学校が嫌にはならなかった。
学校での悩みを親に打ち明けるのは圧倒的に少数派だ。想像するに、どれだけ支えてくれる友人がいるかだ。私の場合も常にかたわらに友人がいた。しかし、今の時代はよくわからない。スマートフォンでやり取りをする。あの短文で気持ちを伝えることが可能だろうか。
教育委員会で結論を明確に出せと言っても、土台無理だろう。解決を求めるなら、まずは遺族と真しに向き合い、一人々々の子どもたちと話し、いじめをした側にはいけなかったことを納得させ、謝罪する気持ちにさせることだ。随分な手間暇を要する作業になるだろう。
大事なのは原因の調査だけでなく、どうしたら不登校や、自殺まで追い込まないですむのか、再発の防止だ。学校現場で何が大切か、適切な指導が必要だ。一因となったであろう教師を叱責しただけでは解決にならない。子どものいじめや自殺は、家庭の親子関係まで踏み込まないと、本当は解明できまい。
たくましい防長っ子を育てるために、学校現場での具体的な指針、家庭への啓もう活動、多種多様な子どもたちへ何を大切にさせるか。個人主義が主流の時代、権利と義務の境目など難しく際限がない。不登校や自殺に向かう子どもたちへの処方箋は学校だけでは書けない。社会全体で書くことだ。(中島 進)