一言進言

お願いします木村市長様

~新庁舎完成を変換のチャンスに~

周南市の新庁舎が完成し、きょうから一部で業務も始まった。豪華な庁舎に市民も驚くだろう。何よりそこで働く職員たちも気持ちが高揚するだろう。新しいものはいいもんだ。最後の最後に、落札者が決まらないイタリア製家具でみそをつけたが、それだけこだわった建物のようだ。設計者は賞を狙っていると聞いた。総事業費も破格で、110億円を超す勢いだ。周南市民にとって、遜(そん)色ない建造物だ。
光市も庁舎を建て替える予定だ。こちらは今のところ概算で35億円のようだ。金額をあれこれ言うつもりはない。豪華だからいけないとも思わない。周南市は山口県の玄関口の一つだ。胸を張れる建造物でいい。問題は別だ。地方自治体の評価は庁舎の豪華さでは決して決まらない。みうらの元社長で相談役の三浦義孝さんが以前、社内報で書いたコラムは秀逸だった。静岡県の掛川市を訪れた時の体験談だ。
街の食堂で食事をしている掛川市民に聞いた。「掛川で誇れるものは何ですか?」。すると、何人もの人が「うちの市長ですよ」と答えたという。掛川城の復元で募金を始めようという時、市長が先頭に立ち、まず、市職員がこぞって募金を始めたそうだ。市長の目線の持ち方がわかるいい話だ。周南市野球場の改修の際、スポ少の子どもたちも含めて、多くの市民が募金を集めた。その後、ようやく市は改修へ重い腰を上げた。
全国で地震が多発している。防災拠点として、耐震がしっかりしている庁舎は必要だ。しかし、庁舎はそれだけではない。建て替えは市民サービスを大きく転換するチャンスだ。たらいまわし行政を撤廃し、職員の意識改革を起こす大きなチャンスだ。例えば夫を亡くした子どもを抱えた女性が、子ども手当の相談に来たらどうするか。国保の減免措置など、さまざまな制度の活用方法をどこで教えてくれるだろうか。住まいの問題も大きなテーマだ。
私の知る限り、今の周南市では、市営住宅は住宅課へ、国保は担当課へ、ほとんどは自分で探して訪ね歩くしかない。制度も知人に聞くしかない。障害者もそうだ。どんな制度があるか、自分で探すしかないのが現実だ。行政側から教えてくれるシステムはない。新庁舎建設を機会に、制度も含め、市役所内部を大きく変える機会へと変換したらどうだろうか。木村市長の腕の見せどころだ。
昔、どこかの市が「すぐやる課」というセクションを作って評判になった。櫛ケ浜駅のトイレの水洗化など、すぐに取り掛かれるようになるかもしれない。市民が本当に望んでいるのは、困った時に助けてくれる役所だ。お願いします、木村市長様。(中島 進)

18歳で国家体制を決める役割

~制服姿の成人式はどうなる?~

若者に限ったわけではないが、政治に関心を持たない人が増えた。先日の防府市長選挙も投票率46・68%と低調だった。市を二分する市長選でこの低さはどうだろうか。直接生活に直結する地方自治体の選挙とは思えない。年代別の投票数はわからないが、18歳から20歳までの若者たちは、おそらくもっと低かっただろう。
18歳からを成人とする民法改正案が今国会に提案され、衆議院で可決された。成立すれば2022年4月1日の施行という。各地の成人式も開催が問題になっている。受験生が対象に入り、式典どころではない。そもそもなぜ18歳を成人扱いにしたのか。選挙権だけでなく、ローンの契約など、多くの権利も与えることになる。高校生たちが権利を求めたわけではない。
高校では政治活動は禁止されている。なのに選挙権は与えると言う。学生運動が盛んな時、反戦高校生たちがヘルメットをかぶってデモをしていた。退学になる高校生がいた。学外でのデモ参加などは自由になるのだろうか。成人の定義を少々変えるのだろうか。稚拙な法律制定としか思えない。考え方が固まっていない。
酒やタバコはだめだ。18歳から働く若者は多い。社会人として納税もしているのに、会社の宴会に参加してもお酒はだめだ。成人式では「大人として責任を持てる人間として生きていきます」と宣言する。大人として、罪を犯しても平等に扱われる。容疑者として名前も公表される。
万引きしても、大人は名前が記事に出る。高校生で万引きして世間に公表されたら、その後の人生にどう影響するのだろうか。少年法という枠の中で守られていた犯罪の扱いも難しくなる。国家の体制を決める権利を与えるなら、義務も大人と同様に扱うべきなのか。ほとんどの子どもが高校に行く時代で、整理がつかないまま法案が通る。
一方で、大人の自覚のない人も目立っている。平気でうそを言い、公文書を勝手に書き換える人もいる。学生に犯罪もどきのことをさせる大人もいる。18歳に大人の自覚をと語ることのできる大人はどれだけいるのだろうか。高校の制服を着た若者が、これからは成人式で、成人の誓いを述べるのだろうか。彼ら、彼女らに大人の自覚を持ちなさいと言える社会を目指すのが、今の大人たちの義務だ。まずは義務を果たす努力をしよう。(中島 進)