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災害時どこへ避難?

【金曜記者レポート】
「ハザードマップ」と「避難所」
周南、下松、光市の状況を7月の豪雨災害を踏まえて探る
安全でない“避難所”も、ハザードマップで確認を

 7月の西日本一帯を襲った豪雨災害で改めて注目されたのが「ハザードマップ」と「避難所」。ハザードマップは災害時の被害の予測地図。洪水、高潮、土砂災害など災害ごと、地域ごとに各自治体が作成し、市役所などで配布している。避難所は被災者が一定期間、滞在できる施設。どちらも災害から命を守るための大切な手立て。周南、下松、光市の状況を今回の災害を踏まえて探った。(延安弘行)

【周南市】ハザードマップが53種類

 周南市のハザードマップは53種類。洪水、高潮、土砂災害、地震、津波の災害別で、土砂災害だけでも小学校区ごとに31種類ある。防災危機管理課で配っているが、在庫が少なくなっているものもある。
 市のホームページには、これらの地図をすべて掲載し、上空から撮影した映像に危険な区域などが表示されるWeb版も見ることができる。
 避難所になる施設は138カ所あり、緊急時に安全を確保するための緊急避難場所も兼ねているが、このほか学校の校庭や公園など緊急避難場所だけの場所が44カ所ある。
 避難所は市が「避難勧告」「避難準備・高齢者等避難開始」を発令した際に開設し、避難してきた住民の食事なども用意する。同市では今回の豪雨で、熊毛地区のゆめプラザ熊毛、熊毛北高、三丘小に避難所を開設して44世帯の109人▽徳山地区の櫛浜市民センター(旧公民館)に13世帯27人▽夜市市民センター(同)、戸田市民センター(同)に12世帯20人が避難した、
 このほか41世帯90人が避難所に自主避難した。自主避難の場合、食事などは自分で用意しなければならない。

【下松市】安全区域外に避難所

 下松市のハザードマップは津波2種類、高潮1種類、土砂災害7種類の計10種類。総務課防災危機管理室ではなく土木課で配っている。土砂災害ハザードマップには土砂災害の危険カ所と河川のはんらんで予想される浸水の深さも記されている。
 今回の豪雨で床下、床上浸水の被害が出た中央地区の土砂災害ハザードマップを開くと、末武川、平田川、切戸川がある同地区の中心部は広い地域がはんらん予想地域。しかし、実際に今回、浸水被害が多かったのは、はんらん予想地域よりやや東寄りの豊井地区だった。
 同市では7月5日未明に、1時間で86ミリの雨量があったが、これはこの地域で観測された最高値。もし、河川に挟まれてはんらんが予想されている西寄りの地域でもこのレベルの雨量があれば、より大きな被害が出た可能性もある。

下松市中央地区の土砂災害ハザードマップ=浸水が予想される区域に避難所がある

下松市中央地区の土砂災害ハザードマップ=浸水が予想される区域に避難所がある

 避難所は28カ所、緊急避難場所はこれに津波避難ビルになっているゆめタウン下松(旧ザ・モール周南)を加えて29カ所ある。
 これらの避難所などがどんな災害に対応できるか、種類もホームページの緊急避難場所を紹介したページにあるが、はんらん予想地域内にある避難所は“安全区域外に立地するが退避スペース基準を充たしている”で「△」と表示され、避難はできるが十分ではないことを示している。
 洪水に対しては下松小、下松中央公民館(ほしらんどくだまつ)、市民体育館、きらぼし館、久保公民館、末武公民館、末武中体育館、下松工高体育館、あおば保育園、老人福祉会館「玉鶴」の10カ所がこの「△」の表示。特に末武地区では安全区域内の「〇」はスターピアくだまつだけ。ただ、ここも、高潮に対しては「△」。
 今回、12カ所の避難所に188世帯、313人が避難したが、最も多かったのは下松中央公民館の42世帯74人、続いて豊井公民館の36世帯40人、国民宿舎大城の25世帯36人、花岡公民館の21世帯37人。
 はんらんした場合、避難所が水の中に取り残される可能性もあり、避難すれば安全というわけにはいかず、それぞれ災害に応じてどこへ避難すればいいのか、自宅にとどまるのか、避難するのか、どちらがより安全か、市民が判断を迫られることになる。

【光市】浸水想定地域で被害

 光市のハザードマップも管理は道路河川課。12種類の地区別土砂災害ハザードマップがある。このほか同市もホームページからWeb版のハザードマップを見ることができる。
 今回、島田、三井、小周防で島田川のはんらんで大きな被害が出たが、ハザードマップで浸水が想定されていた地域だった。
 同市の避難所兼緊急避難場所は50カ所、校庭など緊急避難場所が46カ所ある。今回はこのうち13カ所に最多時で262世帯532人が避難した。最も多かった三井小は118世帯250人で、島田中は51世帯104人、周防コミュニティセンターは45世帯107人、あいぱーく光は24世帯45人など。
 7日から避難所が閉鎖される9日の朝食まで、市は非常食のアルファ化米500食、カップめん600個、弁当59食、お茶のペットボトル1,119本、保存水457本を提供した。

求められる周知

 各市ともハザードマップが整備され、完成時には全戸配布もしているが、その後はホームページに掲載していることから、市民は必要に応じて閲覧したり、プリントアウトすることになる。積極的に配付はしておらず、配布場所も周南市以外は防災担当課ではない。
 しかし、ハザードマップは地図だけでなく裏面には防災や避難のための注意事項も書かれ、被害を減らす減災にも役立つ。防災訓練などの機会を通じてその利用方法などをもっと市民に知らせてほしい。
 避難所も、避難所であることは知っていても、すべての災害に対して安全というわけではない場合も多い。
 災害で痛ましい被害が出るたび、日ごろの備えの重要性が指摘されながら、なかなか我がことに結びつかないのも現実。今回の豪雨は比較的災害が少ない周南でも大きなつめ跡を残した。これを機会に市民一人々々の意識の高まりとともに、市もその実情をもっと積極的に市民に知らせる必要があるだろう。

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