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「判断基準額」知れば有利

[記者レポート]周南市・官製談合事件
防止策はどこに?

 周南市の条件付き一般競争入札で、幹部職員が工事の設計金額を業者に伝えた官製談合防止法違反と公契約関係競売等妨害罪、建設会社社長が伝えられた設計金額をもとにした金額でその工事を落札した同妨害罪の疑いで、11月19日に逮捕、起訴され、12月10日に再逮捕された。公共公事をめぐってはその防止策がさまざまに検討され、従前とは違ったシステムになっている。昨今の入札事情を追った。(延安弘行)

①「談合」なのか疑問も

 以前であれば、官製談合といえば、行政側から伝えられた金額をもとに業者間で文字通り談合して落札業者を決め、そのほかの入札参加業者は高い金額で入札に参加、結果的にはあらかじめ決めた業者が予定価格に近い金額で落札するというもの。予定金額などをもらした職員などに金品が渡り、贈収賄事件になる場合が多かった。
 ところが今回の事件の入札では、落札額はこれ未満であれば自動的に不落札になる判断基準額と同額か、これに近い金額。工事はすでに終了し、市に不必要な支出をさせたわけでもない。
 業者間での談合は判明しておらず、情報を利用したのは1社にとどまったとみられ、職員の弁護人の弁護士は「法律の通称名は官製談合防止法だが『談合』」にあたらないのではないかと指摘する。
 また建設会社社長は設計金額を電話で聞いたと自供したとされているが、職員は金額を漏らしていないと無実を主張。金銭のやりとりについては職員はもちろん、社長側も否定している。

②判断基準額未満は不落札

 最初の逮捕は2017年12月6日に入札があった徳山動物園リニューアル北園広場修景工事。建設会社は8,015万280円で落札したが、これは低入札価格調査で、これ未満は不落札になる8,014万9300円と980円の差額しかなかった。そのほか9社が低価格調査の対象となる8,178万5千円未満で、落札業者との差はわずかだった。
 再逮捕は16年11月24日の周南緑地(メインエントランス)整備工事。こちらは2,447万3540円と判断基準価格と同額での落札。この工事では23社が参加、7社がこの金額を下回ったため不落札、15社は判断基準価格を上回ったが、調査基準価格2,497万3千円未満。
 記者会見や一般質問の答弁で執行部は入札にあたっては工事の単価を発表しており、市販のソフトを使って設計金額や判断基準価格を推測することが可能と説明。その結果、判断基準価格に近い金額での落札や、入札額が同じになり、くじ引きになる場合も多くなっている。
 低入札価格調査は低すぎる金額で入札した業者から下請け業者にそのしわ寄せがいくことや工事の質の低下を防ぐもの。周南市も県の制度にならって導入している。
 判断基準額未満で入札に参加する企業もあり、入札は最も低い額の参加者が落札することが原則だが、現実は判断基準額以上で最も低い企業が落札でき、この金額を知ることができれば入札で有利になれる。このため、市議会一般質問でもこの金額が高すぎるとのではないかという質問もあった。
 また判断基準額で落札した場合、市にとっては最低額の支払いになり、業者が必要以上の利益を得たということにはならない。
 それでも、設計金額を漏らし、その情報に基づいて落札していたとすれば、公平公正であるべき入札を妨害した行為で、許されるものではない。
 その疑惑を招いた要因の一つは普段から逮捕された職員と業者が日常的に電話を掛けあう親しさだった。低入札価格調査、最低制限価格制度の改善とともに、不信を招かないよう職員が業者に接近することはもちろん、業者につけいられるすきを与えないようにする対策が求められる。

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