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[振り返る2018](3)

死者1人、島田川氾濫
7月豪雨災害で課題浮上

 7月の豪雨は西日本各地で大きな被害をもたらした。7月5日から7日にかけて大雨が続き、周南市樋口では7日午前2時56分ごろ、土石流で住宅2戸が全壊、1人が死亡した。島田川も氾濫し、周南、光市では床上、床下浸水の家屋が続出。下松市でも切戸川などが増水、山陽線、岩徳線も寸断された。これに避難情報の遅れや周南市では災害対策本部の未設置など“人災”も加わり、さまざまな課題が浮かびあがった。(延安弘行・山上達也)

周南市・災害対策本部設置基準見直し

 周南市では島田川の氾濫で三丘を中心に熊毛地区で床上浸水35棟、床下浸水63棟。道路や農地にも市内各地で多数の被害が出た。岩徳線も線路の下の土がえぐられるなど大きな被害が出て、9月22日まで77日間にわたって不通となった。
 ところが市は災害対策本部を設置せず、避難勧告も樋口には出されていなかったことが問題になった。県内では光市など7市1町が市長、町長を本部長に全職員が出動する災害対策本部を設置したが、死者も出た周南市では第2警戒体制にとどまり、熊毛総合支所との連携にも課題が残った。
 このため、9月に災害対策本部設置条件の見直しや、より効率的な初動体制、迅速な災害復旧体制の確立を図るなど7項目の対策をまとめた。
 災害対策本部では、災害が特定の地域に限られていた場合も設置し、総合支所に現地総合本部を置くことや、土砂災害警戒情報が発表された場合も設置するとし、応援体制も強化した。

樋口の災害現場

樋口の災害現場

 避難情報の発令も、結果的に被害がないという空振りを恐れず、ためらわずに出すことにした。島田川の決壊情報が県から市に迅速に伝達されなかったことから情報伝達の方法も改善。災害復旧では技術職員による庁内を横断する災害復旧対策班の編成や災害廃棄物の臨時搬入場所を事前に選定しておくことも決められた。
 10月13日に市文化会館で防災シンポジウム「共に。アクション!」を開き、行政がすべき公助、地域の防災組織などによる共助、自らの自助でそれぞれ取り組むことを考えた。
 11月18日にあった市総合防災訓練は山間部の須金地区が会場。豪雨、地震で須金が孤立したという想定で、住民自身による避難所開設、被害状況の調査、把握、アマチュア無線も使った情報伝達、消防団の救助訓練などが展開された。
 この訓練のために地区内で1年前から取り組んできたことが7月の豪雨やそのあとの台風襲来時に役立ったという報告もあった。減災、防災へ、行政、市民ともこれからも地道な取り組みが続く。

光市・市本庁舎建て替え凍結に

 光市では島田川の氾濫などで家屋の全壊2棟、大規模半壊8棟、半壊220棟、床上浸水183棟、床下浸水223棟と大きな被害が出た。島田川に近い三島コミュニティセンターも床上浸水し、三井小体育館には一時、地元住民約200人が避難した。
 浅江ではJR山陽本線が崖崩れで埋まり、9月に一時、運行が再開されたが、再び崖が崩れて10月13日まで運行できなくなり、市民生活や貨物列車も運行を見合わせたことから企業活動にも大きな影響が出た。
 災害の甚大さは市の財政も直撃した。補正予算だけでも約22億6千万円の災害復旧費を組んだ。今年度の事業のうち市役所新庁舎建設の基本構想策定事業を凍結し、復旧事業や防災対策を優先させた。

下松市・笠戸島の完全復旧が課題

 下松市が補正予算で組んだ災害復旧費は光市の約3分の1の約8億円。しかし笠戸島で唯一の生活道の県道が2カ所の土砂崩れで寸断され、島の中南部の江の浦地区や深浦地区が孤立した。
 両地区の住民や江の浦の新笠戸ドックの従業員には7月7日から21日間、市や同社が手配した連絡船が本土との唯一の交通手段になった。
 応急工事による県道の開通で孤立状態は解消できたが、本格的な復旧工事はこれから。住民には災害再発の不安が依然としてあるだけに、抜本的な対応が求められている。

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