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[16年目の視座~周南市の課題~]

しゅうニャン市プロジェクト
ぬぐえぬモヤモヤ感

 岡山県のご当地菓子の写真を載せた周南市の公式ツイッターを見て市内の60代の無職男性は目を覆った。
 「デリカシーがない」
 周南市の愛称「しゅうニャン市」を広めようと全国を回るキャラバン隊が岡山県入りしていた。菓子の名は「晴れの国岡山」。隊員の市職員が土産にでも買っ
たのだろう。当日は雨だったようで「晴れの国なのに雨。誰が雨男なんだ」とコメントを添えている。
 ツイッターの日付は昨年9月8日。大きな被害をもたらした西日本豪雨の発生から2カ月しかたっていない。岡山県ではその時点で61人の死亡が確認され、400人以上が避難している。
 ツイッターの写真から隊員の浮かれっぷりが伝わる。被災者の心情を察したら、同じ周南市民として合わせる顔がなかったという。
 「そんな暇があるなら泥かきでも手伝ってこい」
 しゅうニャン市プロジェクトは市を全国に売り込む「シティープロモーション事業」の目玉として2017年度に本格的に始まった。猫の鳴き声を掛けた造語を発信し、知名度を上げる。2年間で事業全体で4,100万円の市費を投じた。

周南市役所新庁舎建設現場を囲むフェンスに描かれたしゅうニャン市のロゴ。キャンペーンの賛否は分かれている

周南市役所新庁舎建設現場を囲むフェンスに描かれたしゅうニャン市のロゴ。キャンペーンの賛否は分かれている

 「モヤモヤしている」
 猫を飼っている周南市の飲食店経営の女性(35)はすっきりしない思いがぬぐえない。
 なぜ猫なのか。周南市に猫に由来することはこれといってないのに。
 猫で街おこしをするとか具体的な取り組みがあるのかと思いきやそれもない。
 知名度を上げたとしてそれを市勢向上につなげる施策も見えない。
 モヤモヤ感は市議会も抱き、事業の白紙撤回を求める予算修正案を2年連続で提出した。修正案は両年度とも否決され、市は計画通りに事業を進めている。
 16年度450万円。17年度3,800万円。18年度8,700万円。
 市はしゅうニャン市効果として市の受けたふるさと納税の寄付額を挙げる。事業が本格始動した17年度から目に見えて増え、「知名度アップの成果」と強調する。
 市は17年度に返礼品をそれまでの25品目から130品目に拡大した。返礼品の額も従来は3千円程度が上限だったのが、寄付額に応じてより高価な品を受け取れるようになった。これらの返礼品効果も寄付額を押し上げた一因になっている。

「出」は2億円超え

 ふるさと納税は周南市が他市町村の住民から受ける「入り」があるのと同時に、周南市民がよその市町村に寄付する「出」がある。
 「出」は16年が1億9500万円、17年が2億1,200万円で「入り」より大幅に多い。「入り」と「出」は算定基準が違って単純比較はできないが、流出が流入を上回っているのは確かだ。
 市は事業規模を小さくしながらも新年度もしゅうニャン市プロジェクトを続ける考えで、シティープロモーション事業全体で1,690万円を組んだ新年度予算案を市議会に提出した。
 市議会側は一部議員が議会最終日の15日に修正案を出す動きがあり、同じ事業に3年続きで見直し要求が突き付けられる異例の事態を迎える。
 「周ワン市」
 しゅうニャン市が話題になる時、よくセットで出るフレーズだ。
 周南市は野犬が異常に多く、「野犬王国」の汚名が知れ渡っている。17年度の県周南環境保健所管内の犬の捕獲数は1,032頭で全県の6割を超す。今年度は住民が野犬にかまれる被害が市内で4件起きた。
 「猫より先に犬」
 野犬対策は喫緊の課題で、今度の市長選の論点に野犬対策を挙げる市民は少なくない。
 野犬の増える主因は自然繁殖だが、それを促しているのは人間の餌やり行為だ。野犬も元はと言えば飼い主の飼育放棄で捨てられたペットが野生化したものだ。
 17年度に全県で捕獲された犬のうち200頭前後が殺処分されている。
 しゅうニャン市が批判の的になると、市側は「猫に罪はない」と言う。
 犬にも罪はない。
(井藤進吾)

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