一言進言

少子化対策と若者定住を

~生まれ変わる「日刊新周南」目指して~

新年あけましておめでとうございます。
平成最後の年明けになりました。「日刊新周南」も平成と共に歩んできました。平成になる4年前に会社設立、「天皇御崩御」の見出しは、かつてない大きな文字を使った覚えがあります。その日から数日は、歌舞音曲はご法度で、国中が喪に服した感じだったのを忘れません。バブルがはじけ、リーマンショックがあり、「日刊新周南」も苦難の道だらけの地方紙作りが続きました。全国の地方紙が廃刊に追い込まれる中、何とか今日まで発行し続けていられるのも、多くの読者、スポンサーのおかげだと、心から感謝申し上げます。
ここ周南も平成の終わりに、象徴的なことがありました。戦後復興のシンボルとでも言える旧徳山市庁舎の取り壊しは感慨深いものがあります。また、戦後に出光興産と旧昭和石油が製油所建設を競っていましたが、当時の黒神直久市長などが、出光佐三さんの人柄に惚れて、起工式も済ませた昭和石油から出光興産にシフト、遂に国内最初の製油所が徳山に誕生しました。それが今年4月の経営統合の決定で、因縁を感じさせられました。
戦後昭和の時代は、それなりに変化はありましたが、国のありよう、国民の意識などは大きな変化はなかった感じです。当時、改憲論議などは夢のまた夢のようでした。地方では、投票率は70パーセントをはるかに超え、地方自治や、政治に多くの市民が関心を持っていました。街中でも、普通の人たちが政治論議に花を咲かせていたものです。
新しい元号を迎えるにあたり、「日刊新周南」も大きな変化を模索する時がやってきました。地域の情報を提供するにも、何の情報が役立つか、吟味に吟味を重ね、市民のニーズに応える紙面作りを展開します。地方自治の問題点、ビジネスに役立つ情報、生活をエンジョイできる情報、正確で的確な情報収集に努め、読みやすい紙面構成を展開するつもりです。
地方の問題は明らかです。若者を増やし、出生率を高めることが一番なのです。これなくして地方の課題はどれも解決できないことは明白です。周南地区が一体となって取り組むべき課題はそれに尽きます。山口県もそうです。維新150年のお祭りも終わりました。高校統廃合ばかり考えていないで、若者定住と子育て環境整備に、すべての部局が取り組むべき時代です。出生率が上がれば、統廃合も無くなります。企業の誘致も進みます。若者が激減しているところに企業も投資できません。「日刊新周南」は訴え続けます。少子化対策と若者定住を。(中島 進)

西京銀行3人目に100万円

~出生率アップに邁進せよ!~

先日、毎日新聞などが主催するマニフェスト大賞が発表された。市長など首長や市議会など地方自治を発展させた個人や団体を表彰するものだ。表彰者の活動は市民目線で、市民に向けて何ができるかを考え、常に立ち止まって自己評価をすることが肝要なことがわかる。いずれも態度が真摯だ。
最優秀賞の小林常良厚木市長は3度目の受賞。子育て環境日本一など10項目の公約を掲げ、それを外部委員が評価、達成率を公表している。行財政改革では260億円もの削減を実現した。もちろん、市民との対話集会も数多く、大賞受賞の常連となった。
過去も含め受賞理由を見ると、その多くは、まずは公約を具体的に掲げ、自己検証だけでなく、外部から見てもらい、達成率を公開している。市民との対話を重視しているのは共通している。上越市議会は、なぜ議員のなり手が少ないかをテーマに、市民との議論を展開した議会改革が評価された。
来春は周南市長選挙がある。今のところ木村市長続投の流れだが、これまで応援してきた人たちの中にも不満が満ちている。原因の一つが市民の声が届かないところにある。公約もほとんど形に見えず、何を目標にしているかわからないからだ。「共に。」「自助、公助、共助」など象徴的な言葉が並び、具体性に欠けるからだ。小ホール建設も約束していたが、計画案すらできない。
今、地方が生き延びるためには、希望を持てるためには、出生率を上げる以外にない。若者の流出を止め、若者を増やし、子どもを育てる環境を守り、出生率を上げるための施策を、全部署が共通のテーマとしてアイデアを競うことだ。住宅、福祉、教育、課題は面白いほどある。街中の再開発にしても、若者が増え、出生率が上がっている地方都市なら投資者も増える。西京銀行は3人目の出産に100万円出すという。これだ!
箱もの行政に批判的な公約を掲げていたが、結果、2期8年で数百億円の税金を使って箱ものを作った。それは良しとして、今後は、将来に夢が持てる施策を公約に掲げてほしいものだ。周南に帰ったらこんないいことがある、周南に住んだらこんなに大切にしてくれる。若者たちにそんな思いを抱かせるために何ができるか。アイデアも募集したらよい。出生率日本一を目指せ!(中島 進)

緩すぎる周南市役所

~的確な人事行使を!~

昔の話になるが、旧徳山市の黒神直久市長時代、贈収賄事件が起きた。黒神市長はその責任を取って、さっさと市長を辞めた。その潔さに反黒神派の市議会議員も、市民も褒める以外なかった。高潔な人格者としてのエピソードだった。地方の神社の宮司としては異例の神社庁本庁総裁まで上り詰めた御仁だった。
巷のうわさは私たちのところにも、随分入っていた。最近は別の業者が実名でネット上に登場している。業界の人に聞くと、入札最低価格ぴったりの金額で仕事を取っていたと話す。うわさは数年前からだ。木村市長は2016年に警察に相談しろと指示したという。しかし、庁内の対策は何もしなかった。今後、綱紀粛正に努めるそうだが、何をどういう風にしていくのか見えてこない。
容疑者の子どもが数年前、市に採用されたと聞いた。現職部長の子どももいる。世間の常識では考えられない事案だ。はっきり言って、緩すぎる。一事が万事というが、まるで昔の村役場のような緩さだ。仲間の子どもでもなんでもいい。人事権を持っているはずの市長は怖くない存在なのか。しっかりした企業では到底許せない採用だ。
その緩さが、今回のような事件になったのかもしれない。仲間うちでかばいあう風潮が強いのではないか。庁内の通達も、まずは副市長名で出すなど、緩い。全職員を一堂に集め、市長の言葉で熱く語るべきだった。事件発覚後、職員と市民団体との交流に欠席する職員もいる。幹部の不祥事で、最も萎縮するのがまじめな職員たちだ。職員には誇りと、より積極性を持たせることが肝要だ。
役所の構図を変えるには人事権しかない。緊張感を持たせ、市民目線の施策を提案させるには、信賞必罰的に人事権を行使することだ。先の集中豪雨で災害対策本部すら立ち上げられなかった責任を誰も感じないところに、今の役所体質が如実に出ている。副市長などに一任しているのかと思われるのは癪(しゃく)だろう。
ちょっと前の建設部長は、業者と一緒の海外旅行中に急死したと聞いた。業者からのお中元、お歳暮など最近はご法度だったはずだ。合併によって人事がいびつになった。10年ほど前だったか、業者とのうわさが絶えない元部長が私に悪態ついた。天下り先でも業者にたかっていた。役所に抗議して辞めてもらったが、後味の悪い出来事だった。綱紀粛正は的確な人事権の行使しかない。(中島 進)

周南市の人口が3人増!

~外国人の流入続く~

コンビニエンスストアや居酒屋で働く人の主役は、外国人になりつつある。ベトナム人やネパール人、もちろん中国人も多い。専門学校の学生たちが主流のようだ。そんな中、外国人労働者受け入れが国会で論議された。また下松市では、日立製作所で働く技能実習生の実習計画が国に認められず、大量解雇に至った。周南でも外国か ら来た人たちと接する機会が急速に増えた。単純労働でも良しとする法案が通ると、一気に外国人が増えそうだ。
10月末の周南市の人口は最近では珍しく3人増加した。月平均90人近くが減少していた。増加の原因を聞いたら、やはり外国人の転入が増えたからだそうだ。日本人は減少の一途だ。市内に住む外国人は1,633人になったそうだ。一方、下松市は100人減った。そのうち44人は外国人だった。日立製作所の実習生が大きな要因だった。光市も確実に外国人が増えている。
来年4月以降は、想像するに相当な数の外国人が増えそうだ。コンビナート企業群を擁する周南地区は下請け、孫請けなどが多く、人手不足は深刻だ。当然、外国人労働者に頼る企業は増加するだろう。問題は受け入れる自治体の対応だ。果たして、地域の中にすんなり溶け込めるのか。
周南市に聞いたら、ごみの分別収集の案内は英語と中国語を用意している。下松市は英語版を、光市は日本語のみだ。大企業だと宿舎を含め、担当者も置けるが、中小、零細企業がどこまでできるか、生活指導まできめ細かく面倒が見れるだろうか。世界各国からやって来れば、医療機関も大変だ。片言の日本語しか話せない患者にどう対応するのか。ベトナムやネパールの言葉を話せる通訳がおいそれと見つかるとは思えない。
国が拙速に進める外国人労働者受け入れ法案に、不安を覚える地方自治体はないのか。各市議会でも問題にならないのも不安だ。家族でやってくるとなると、学校教育も対応が迫られる。
それにしても少子化対策を置き去りにしての外国人労働者受け入れ増に、この国の将来に不安を感じる人は多いはずだ。出生率をせめて2.0以上にするための法案を考える官僚や国会議員はいないものか。地方から声を上げよう。(中島 進)

「しゅうニャン市」プロモーション水泡に帰す

~議会はうみを出し切れ~

周南市のしゅうニャン全国キャラバン隊が帰って来た。市役所前で大勢の職員などが出迎えた。全国に市を宣伝できたと胸を張った3日後、全国のメディアに周南市で官製談合、幹部職員逮捕のニュースが流れた。キャラバン隊が訪れた自治体では、逆にこのニュースに関心を持っただろう。キャラバン隊で全国を駆け巡った若手職員の落胆が心配だ。市のイメージは地に落ちた。
木村市政2期目の最終コーナーでの不祥事に、多くの市民も落胆した。多額の税金を投入しての「しゅうニャン市」プロモーションは一瞬にして水泡に帰した。しかも、逮捕された福谷産業の福谷徳三郎社長は木村市長とは、旧来じっこんであったことは、周囲はみんな知っている。後援会事務所も長く福谷産業の建物内だった。私も足しげく通った。記者会見で、市長は節度ある付き合いを強調したが、後援会の人ではなかった、の言い訳はいただけなかった。田舎ではみんな知り合いだ。「親しかったけど残念だ」でよかった。
問題は職員に対するスタンスだ。旧新南陽市役所出身の某氏が人事を牛耳っていると、多くの職員がうわさしている。重要なポストはすべてその一派が握り、まるで傀儡(かいらい)政権みたいだと評する職員もいる。国民年金の個人情報が漏れても、防災行政無線工事でずさんな設計監理があっても、集中豪雨で死者が出て対策本部を作らなくても、責任を取る体質ではない。税金の無駄遣いなど気にしない。そんな体質に思えてならない。目が市民に向かっていないと感じるのは私1人ではない。
市民からの要望、批判を真しに受け止める体質は、市長が常に職員教育に熱心かどうかにかかわる。行政マンはかくあるべきだと指針を明確にすることだ。旧新南陽市は市長が1期で変わった時期もあり、一部の職員は政治家と組むことが恒常的にあった。その泥臭さは小さな町だから黙認された。批判する新聞にも敵対的だった。その職員たちは今でも日刊新周南を敵と思っている節がある。
それにしても兼重元市議会議員などは、この場面でも行政を擁護するような発言をしている。木村市政を支える最先鋒だから仕方ないが、身内が市の関係機関にいるからなのでは、と、うがった見方をする市民がいることを忘れないことだ。これからは市議会がしっかり原因究明に乗り出し、市政のうみを出し切ることが肝要だ。まじめに、懸命に仕事している大多数の職員のためにも、血税を払っている市民のためにもだ。(中島 進)

交流人口を増やせ!

~好立地を無駄にするな~

かつては県内最高値をつけていた周南市の徳山中心市街地だったが、下関に大きく差をつけられている。商店街の衰退と、地価の下落は平行線上にある。近鉄松下百貨店が閉店して加速した。そんな中、みなみ銀座の駅寄りの地帯の再開発計画が進行している。周南市も15億円支援することになった。
主な施設はマンション、ホテルとコンベンションホール、商業施設、それに徳山商工会議所だ。商業施設部分などは土地を買い上げて建設するという。そのために買い上げ用の会社も設立した。2,700坪(約8,926平方メートル)の商業施設だが、土地代を30数億円見込んでいる。家賃は坪あたり1万円を想定している。
注目すべきは、今、中心市街地に必要なものは何かだ。商業施設もさることながら、最も渇望されるのはコンベンションホールだ。ザ・グラマシーがなくなったことで駅から徒歩圏内で400人以上規模のホールがなく、さまざまな大会や会合ができなくなった。
一方、山口市の新山口駅隣には千人以上収容可能なコンベンションホールが建設される。全国大会クラスでも誘致できる。ザ・グラマシーがあるころは、会合の帰りに歩いて行ける範囲に、多くの飲食店があって、域外の人たちも徳山での飲食を楽しめた。飲食店もその恩恵で少しは潤った。
全国の地方都市が交流人口を増やそうと躍起だ。在来線と新幹線とが合体した徳山駅は羨望の的だ。しかし、駅周辺ではホテル・サンルート徳山しか集まるところがない。周南市が交流人口を増やそうと本気で思うなら、街中にコンベンションホールを作ることが絶対条件だろう。
駅ビルを図書館にした今、足りないものは何か、もっと議論すべきだ。小ホール建設も木村市長が市長選の際、確約したが、一向に進まない。全体の青写真ができていないから、思い付きの行政に見える。駅ビルなり、新庁舎に小ホールを併設するのはできたはずだが、目もくれなかった。
全国の地方都市がシティーホテルの誘致を考えている。実現は実に困難で、可能性は低い。行政が箱モノを作り、運営だけを依頼する方式以外無理だ。専門のコンサルタントに来てもらって勉強したが、市民館跡地に建ててくれるなら可能性があるとのことだった。スターバックスにしても駅ビルという箱ものを作ったから出店した。
シーモール下関の社長に会う機会があったが、H&Mに出店してもらうために家賃をタダにしたそうだ。地方の市街地に投資する会社は皆無に近い。再開発は、自治体が腹を据えて、決死の覚悟がないとうまくいかないかもしれない。(中島 進)

「しゅうニャン市」を徳山市に?

~キャンペーンに怒りの声~

木村市長が3選を目指す。確か、最初の選挙時、2期しかしないと言っていたが、やり残したことがあるらしい。シティープロモーション事業の「しゅうニャン市」キャンペーンは随分論議を呼んだ。市議会の議決もわずか1票の差でかろうじて可決した。賛成した議員も積極的に支持する声は少なかった。小川亮元徳山市長も「止めていただきたい」と訴えていた。
民間人たちが面白がって楽しむには良いが、行政が多額の税金を投入して、人件費も含むと1億円をはるかに超える経費をかけている。これだけ市民の意見が割れた施策はない。新南陽地区の人の中には「これなら徳山市に戻したほうが良い」と熱く語る人も多くなった。
大阪の逃亡犯が道の駅「ソレーネ周南」で捕まって、全国的に話題になった。「周南市」の名前が飛び交った。格好の宣伝になった。ビートたけしの番組で、安住アナウンサーと「周南市ってどこ?」「宇部と広島の中間ぐらい?」「確か徳山ってとこじゃない」。これが一般的な認識なんだろう。
のぞみが止まる駅として、徳山の認知度は高い。工業関係者には、トクヤマ、出光興産徳山製油所などで、徳山の地名は知らない人はいないぐらいだ。特に、徳山曹達からトクヤマと市名そのものを社名にしたことは大きかった。
新南陽地区は戦時中、一時徳山市だった。戦後、福川町、富田町として独立したが、その後、南陽町となり、新南陽市となった。新南陽地区の人は、戦前戦後を通じて何度も町名、市名が変わり、遂には徳山市との合併で周南市になった。それを「しゅうニャン市」とだじゃれ的に遊んだから、勘弁してくれと言う人が多い。新南陽駅は旧来、周防富田駅だった。駅名と市名はなるべく一致したほうが良い。わかりやすい。
「しゅうニャン市キャラバン隊」まで登場。市職員を全国に回らせている。周南市の何を売り込むのか議論もない。木村市長の力の入れようはすさまじい。一方で、ホテル、ザ・グラマシーがなくなり、街中で県内外から人を集めようにも場所がなくなった。何もしないより「しゅうニャン市」キャンペーンでもしたほうがいい、というのが賛成者の一般的な意見だ。
さて、市議会議員の皆さんはどうしたいのだろうか。そろそろ徳山市にしてすっきりしようという論議が起こってもおかしくない。新幹線駅を街中に作った苦労は、並大抵ではなかった。(中島 進)

出生率最高の町に学べ

~若者定住に全力を~

岡山県の津山市の隣にある奈義町は出生率日本一になったことで有名だ。今も高い出生率を誇っている。人口6,000人の町だが、これ以上人口を減らさないと町長は公約する。以前にも紹介したが、再度紹介する。
時期は未定だが、徳山高鹿野分校と徳山北分校が生徒の募集を停止する。光丘高と光高は統合が決まっている。人口減少が原因だ。周南地区で唯一、下松市だけが微増だが人口を増やしている。県に高校の統廃合を止めさせるには、将来、子どもが増えることを見せつけることだ。
奈義町は目標がはっきりしている。人口を減らさないことが最重要課題と公言している。そのための施策が最優先だ。まずは若者用定住住宅を建てた。車が2台置けて、3LDKで子育てが可能なものだ。家賃も3万円台と格安だ。これに若者が飛びついた。格安な団地造成にも力を入れた。1区画400万円台の団地を売り出し、人気を集めた。これなら光市でも周南市もできる。通勤20分圏内、須々万地区などで可能だ。
従来の市営住宅は国の規定で作られている。駐車場はどんなに広大な場所でも1台。同町は雇用促進住宅として建設し、広さや駐車場を確保した。零細企業、小企業で働く若者は共働きだ。そうでなくても田舎では1人1台の時代だ。1家に1台の市営住宅には住めない。共働きも、子育ても可能な住宅を提供することは、基本中の基本だ。行政が本気になればできる。
子育て支援も徹底している。高校生まで医療費は無料だ。出産への援助も手厚い。子どもを増やすためなら、できることは何でもする。若者が増えれば、店も増える。確実に子どもが増えるとなれば、高校の統廃合も考え直すかもしれない。高校がないところで子育ては考えられない。行政が、少子化は仕方ないとあきらめたら、その地域はおしまいだ。
20~30年もすれば団塊の世代がほとんどいなくなる。高齢化率も大きく減少するだろうが、人口も激減する。今、行政が最も力を入れるべきは、若者定住だ。中山間地域に若者を増やすために多額なお金を費やすが、街中で働く若者を増やすことを真剣に考える時だ。周南3市で共同プロジェクトチームぐらい作ってはどうか。行政の柱をどう立てるか、各市長にかかっている。(中島 進)

翔北中学校の怪

~何千万円もかけて定住者獲得~

中山間地域に若者を定住させるのに、国も県も市も必死だ。先日は、若者2人の就農に2千万円ものイチゴハウスをプレゼントした。周南市長穂地区では、廃校になった翔北中の校舎の有効利用へと、周南クリエイティブセンターなる会社に年間1千万円を3年間出して誘致した。場所が中山間地域という理由だけだ。将来の雇用増が条件だそうだ。一方、地域の人は、草刈りを手伝ってくれるわけでもないし、地域の何の役にもたたない、と疑問を抱く人もいる。街なかのクリエーターたちは、事務所を山に持っていっただけで、何千万円ももらえるなんて、と大いに怒っている。
先日、翔北中に出向いた。車が1台あったので、入り口を探したら、営業担当の社員が1人いた。制作している人影は皆無だ。「働いている人は」「みんなノートパソコン持ってるし、営業に出かけている」。現在6人の従業員を、来年春までに10人に増やすのが条件だそうだ。それも週20時間以上働いたらいいのだ。在宅勤務でもなんでもオーケーだ。なんと緩い条件だ。それで年間1千万円もらえるなら手を挙げる会社はごまんとあるだろう。
問題は、こんな中山間地域の活性化案が、議会をすんなり通ることにある。クリエイティブセンターはもともと防府にある会社が作った。母体は防府だ。中山間地域にどんな効果をもたらすのか、吟味して決めたのか。起業したい若者は多いが、今の施策ではほとんど有効な手助けはない。銀行からの借り入れが少し楽になるだけだ。
一方で、周南市では年間千人以上の人口減少が続いている。若者の流出が止まらない。何千万円もかけて、大道理に若者が数人住んだと喜ぶことか。大きな視点で、将来の市を見ないと、子どもだましのような施策では、お金がどんどん使われる。
周南市は広報紙の制作をクリエイティブセンターに委託した。値段が若干安かったそうだ。1千万円の補助金を出している会社と、苦しいながら長年税金を納めている会社と競わせて、安い高いで広報を委託するのは、既存の会社にはやりきれなさが残る。これこそ、制作力で競わせる案件だろう。数人の若者を田舎に住まわせるのに何千万円もかけている。何千万円もかけて、若者流出を防ぐか、さてどちらが良いか。市職員、議会の対応次第だ。(中島 進)

つながりが切れる家族葬

~世代間の分断は解消できるか~

長生きすることは、別れの数が増えることだ。年齢を重ねるたびに、葬式に出る回数が増えてくる。多くの同級生も失った。若いころ一緒に遊んだ友の訃報は何とも言い難い。自分より年下の人の不幸は耐えられない。葬式に出るのがつらい、と電話があった。その心情が痛いほどわかる歳になった。
最近は家族葬が増えて、知らないままで送ることもままある。新聞に掲載することを嫌がる人も多くなった。親しかった人の葬儀を後から聞くのは、いかにも残念だ。なぜこんな風潮になったのだろうか。
さまざまな事情もあるのだろうが、遺族が、その後のつながりを拒否している。つながりたくないのだ。かくして人間関係は希薄になるばかりだ。昔から冠婚葬祭は、周囲とのつながりを保つ儀式でもあった。結婚も家族だけ、葬式も家族だけ。親がどんな人たちと親しかったか知る由もない。
唐津市のケーブルテレビは、市内のお悔やみ情報を毎日放映し、市民から喜ばれていると聞いた。シティーケーブル周南のメンバーと唐津市に、その実情を調べに行ったことがある。たまには放映拒否もあるが、大半は放映に好意的だという。同市も核家族化が進み、多くの若者が都会に出ているのは一緒だ。なぜここ、周南地区は身内がなくなったことを知られるのが嫌なのか。
以前、ある葬祭場に訃報の情報の相談に行ったことがあったが、警察からお悔やみ情報を出さないでくれと依頼されたそうだ。最近は葬祭場で見送るので、家が空き家状態になって、空き巣に狙われやすいから、が理由だった。隣近所との付き合いが希薄になった証拠だ。北海道新聞は道内のお悔やみ情報を何ページにもわたって伝えている。
故人のさまざまな人間関係を、遺族は知る由もない。家族葬が盛んな今日、考えさせられるテーマだ。人と人とのつながりを大切にする社会はどうしたら構築できるか。
徳山に帰った時、実に多くの先輩諸氏に助けられた。確かに多くの苦言も聞いてきたが、それが糧になり、今日まで日刊新周南が継続できた。最近、苦言を言う年寄りは徹底的に避けられ、地域の中でも阻害されているのではないか。世代間の分断の一つが家族葬に表れていると思えてならない。(中島 進)