コラム・エッセイ
No.70 うれしい誕生日会でした。
美人薄命 走れ!おばさん 中村光子6月18日は私の誕生日でした。何歳になったの?などと言う野暮なことは聞かないで下さい。娘と我が子同様の娘の友人が、中華料理店に招待してくれました。
久し振りの外食に心うきうきです。お気に入りの一張羅の洋服をタンスの奥から引っ張り出し、鏡の前で後ろ姿を確認し、ついでに笑顔もして見ました。
さて予約席に通されて、ふたりはメニューを見ながらあれこれと相談しますが、なかなか決まらない様子でしたが、やがて
「スミマセーン、ギョーザ、ひと皿、お願いしまーす」と言いました。「えっ、ひと皿」驚きのあまり、私は言葉もありません。
出てきました!ギョーザ一皿。小皿には6個のギョーザがのっていました。ひとり、2個ずつです。ハイ。
食べ終わると、ふたりはまた、メニューとにらめっこです。ふたりの優しい心根はわかりますが、私には考えもつかない注文の仕方なのです。ご馳走になるのですから、母親と言えども差し出がましい口をきくことはできません。むかし人間の私にしてみれば、料理人の方をおもんばかってしまうのです…ハイ。
しかし、運ばれてきた料理は、目先の代わったご馳走ばかりです。ふたりの心遣いに感謝しながら、ひと口でパクリ、ふた皿を仲良く3人で分け合うのです。
「お母さん、まだ少し残っているよ」
なんと指摘も受けます。いえ、私のために残しておいてくれたのでしょう。
「ハイ、ハイ、パクリ」と、大急ぎで口にほおりこんだ。いえいえ、美味しくいただいたのであります。
おいしいお料理にはお酒がつきものです。
娘の友人は全くお酒が飲めません。私は最初ビールで、次にレモン割ハイボールで、とってもいい気分になってしまいました。
昔、夫が元気な頃はお酒が大好き、いえ、飲んべえでしたので、糟糠(そうこう)の妻(私のことです、念のため)は、あまり飲ませたくなかったので、相伴していたら、私も飲んべえになっていました。
あっ思い出しました。お見合いのあと仲人さんが「動物園にお行きなさい」と言われました。が、彼はいきなりビアホールに誘ったのです。
「あら、ビールって苦いのですね」
「はい、これにはホップというものが入っているのです」
この会話、一字も違えず覚えています。
食事を終えた時、勘定書をちらりと盗み見したら結構な値段でした。少し負担かけたなあー、と思いながら感謝しました。