2022年01月24日(月)

コラム・エッセイ

峨嵋山の惨状

翠流

▼光市室積の峨嵋(がび)山。室積公園内にあり、国の天然記念物に指定されているが、昨年、約0.5ヘクタールの樹木200本以上が切り倒されたり、穴を開けられ、危険なため管理している県が樹木を伐採した。現地では杵崎神社までの参道の両側の樹木が伐採され、切株や切られた樹木の一部もそのままで痛々しい姿をさらしている。一抱えもある大木も少なくなく、元の姿に戻るにはいったい、何十年かかるのだろうか。

▼山頂の杵崎神社は風の神様。風鎮祭には神前奉納相撲が開かれていたという。近くには古くから海運、漁業者などに信仰されてきた普賢堂、周防天の橋立といわれる象鼻ケ岬の先端には弘法大師が唐から帰ってきた時に立ち寄ったことに由来する大師堂が建つ。かつて海運で栄えたことを伝える光ふるさと郷土館もある。室積は人と自然が織りなす千年の歴史がある街でもある。

▼峨嵋山は1932年に国の天然記念物に指定、40年に県が周辺34ヘクタールを買収して県立室積公園とし、戦後、瀬戸内海国立公園に追加指定となった。樹林内には自然研究路も設定され、“森林浴”の地として注目されたこともある。

▼ふもとには駐車場もあり、杵崎神社の参道の入り口や同神社の社殿の周辺には説明板や案内板も設置されている。ただ、中には傷んだままのものもある。今回の惨状がなぜ生じたのか、その説明は見当たらない。案内板の再整備などで今回の受難が室積への関心を高める機会になればと思う。(延安弘行)

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