一言進言

停電の怖さを忘れた

停電の怖さを忘れた ~サイクル早めた大地震~(5月19日掲載)
■ 地震、雷、火事、おやじと昔から言われてきた。かように地震は恐ろしい。防ぐことはできず、逃げ場に困る。この20年で大きな地震を3回経験した。いずれも想定外だった。戦後ごろからいえば、3つの大地震が起きるまでの災害は風や雨が中心で、足元から崩れるような類はなかった。多少防げるものもあった。川のはんらんもそれなりに対応できただろう。しかし、地震だけは対応のしようがない。耐震化と言っても限界がある。
■ 南海トラフがよく語られる。大地震のサイクルが縮まっている。地殻変化が急速に早まっている気がしてならない。目に見えないだけに不気味だ。静岡県に住む知り合いは、テレビやたんすなどをすべて金具で壁に固定している。周りの家も多くはそうしているそうだ。南海トラフ対策もあるが、日ごろからよく揺れているから、自然にそうしたのだ。瀬戸内地域はその点、のん気だ。
■ 1991年、台風19号が周南地区では経験上最大の天災だった。1週間以上停電し、我が社も電気が使える場所にパソコンを持って移動し、編集して、他社に印刷を頼んで新聞を発行した。強い風による塩害が大きな原因だった。電気が使えないつらさを思い知った。父がマンションの9階に住んでいたので、毎日水を抱えて階段を昇ったが、文明のぜい弱さを思い知った。
■ 思い知ったが、いつからか頭の中からスッポリ抜けてしまった。震災が起こるたびに、もう少し備えをと思うが、それもつかの間、日常に埋まってしまう。懐中電灯、電池、水など常備しておくものは多い。瀬戸内に住む人々は、天災に遭う頻度が極端に少ない。熊本も近くに阿蘇山とか雲仙など火山地帯だが、地震は起こらないだろうと思っていたようだ。
■ こんな穏やかな地域に住む人は何ができるか。ひたすら不測の事態に対応できる最低限の備えをしておくことぐらいか。行政はと言えば、震災に遭遇した地方自治体を見習い、同じ過ちを犯さない、しっかりした対策を持つことだ。周南市は今回、ハザードマップを整備したが、とにかく的確な情報と日常的な広報活動を怠らないことだ。先日のような誤報を決してしないことだ。市民から信頼される役所が何より一番だ。それにしても我が家が危ない。(中島 進)