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道の駅「ソレーネ周南」存続の危機?

出荷者増で赤字
道の駅「ソレーネ周南」存続の危機?
周南ツーリズム協にも課題

 2014年5月に周南市戸田の国道2号沿いにオープンして一般社団法人周南ツーリズム協議会(藤井良治代表理事)が指定管理者となっている道の駅「ソレーネ周南」(江本伸二駅長)が2016年3月期決算で赤字となったことがわかった。赤字額は約2,200万円。同協議会内の業務執行体制にも課題があり、オープンから約2年で存続の危機を迎えている。

誰もが「順調」ととらえていたが…

 ソレーネ周南は建物全体を覆う鉄骨の大屋根の下に販売施設や食堂、軽食コーナー、研修交流室があり、駐車場は170台分。開設にかかった総事業費は19億円。このうち市が13億円、駐車場、トイレ部分は国が6億円を負担した。

「ソレーネ周南」

「ソレーネ周南」

 周南ツーリズム協議会はこの施設運営のために生産者団体や商工団体など11団体で設立。市は出資しなかったため民間団体だが、設立は市が支援し、構成員などには市の意向が働き、指定管理者の選定では公募もなかった。
 周南農協、県漁協、須金ぶどう梨生産組合、徳山花き生産組合、西徳山三地区活性化協議会、周南観光コンベンション協会、徳山商工会議所、新南陽商議所、都濃商工会、熊毛町商工会、鹿野町商工会が社員で、出資金は10万円ずつ110万円。11団体が理事を出し、西徳山三地区活性化連絡協議会の藤井さんが代表理事に選任された。
 開業に向けて市は道の駅のプロデューサーを全国から公募して江本さん(55)を採用。江本さんは市職員として開業準備から携わって開業後は同協議会職員となって駅長に就任し、近く理事に入る。
 収入は委託された野菜などの販売収益、年間1,400万円の指定管理料、軽食などのテナント料。決算書などによると、14年度の事業収益は5月中旬にオープンして4億8,000万円。約2,000万円の黒字を確保した。
 15年度も事業収益は4億9,000万円。直営の野菜、鮮魚、加工品、レストラン、コンビニエンスストアの売上はそのうち4億4,000万円。委託販売の出荷者は当初の400人の1.5倍となる680人に増え、経営は順調であることが市議会でも報告されてきた。
 今年の3月議会の一般質問ではソレーネ周南の今後の展開を問われた木村市長が「24時間、365日開く道の駅を作りますと言いましたら、随分地元や関係の団体の方からもお叱りを受けたが、私が考えている道の駅ソレーネ周南がパワーアップしていっているかなと思っております」と答弁している。

2,000万円の黒字から2,200万円の赤字へ

 ところが、2年目はまだ順調と誰もがとらえていた陰で、2,000万円の黒字から減価償却を含めると2,200万円の赤字へと、財政状況は一挙に悪化していた。
 江本駅長によると、原因の1つは出荷者の増加。地産地消を進める施設であるため、委託販売の手数料は市内産の農産物は15%、水産物や加工品、工芸品は20%、市外の出荷者はこれに5%上乗せした金額になっている。
 売り場にはこのほか同協議会が仕入れて委託販売より利益の大きい土産品なども並べている。ところが市内の出荷者が急増したことから売り場を広げるため仕入れ商品を減らし、その結果、利益率が低下、前年度は売上の30%を占めた粗利が15年度は25%に下がり、利益が減った。
 昨年は大屋根の下に置くテーブルや日除けのテント、出荷者のための冷蔵庫なども同協議会で購入しており、この手数料収入の減少と物品購入はいずれも想定外だったという。
 テナント料も収入の一つだが、食堂はテナントが決まらず直営でオープンさせてパンを主体に販売していたが、現在は半分を休憩所にして牛すじカレーやローストポーク丼などを提供している。そのほか備品などはリースだが、その支払いは月100万円になる。
 16年度は臨時の出費がなく、6月までは毎月、黒字を維持。このまま売上が減らなければ年間を通しても黒字を確保する見通しという。また24時間営業を継続するのかや、売り場面積を増やすためのレイアウトの変更も市と交渉していきたいという。
 しかし中長期的に見た場合、これといった観光地がないことから地元の来客に期待しているが、県東部にも次々と道の駅や同様の地産地消を目指す施設、大型ショッピングセンターなども増え、売上をいつまで維持できるのか、不透明さは払しょくできない。

問われる役員の責任

 もう1つの課題が経営体制の問題。一般社団法人は社員が出資して設立し、社員総会で理事、監事などを選び、理事は理事会で業務を執行する代表理事を選び、代表理事は執行状況を理事会に報告しなければならない。

江本駅長(左)と藤井代表理事

江本駅長(左)と藤井代表理事

 同協議会では社員になった全団体が理事を出して運営に加わっている。しかし江本さんの駅長就任時の3年間は現場の意見を尊重してほしいという希望もあり、江本さんが起案、代表理事の藤井さんが承認する形で物品購入、従業員の採用も含めて実際の業務が進められている。理事会は昨年度、書面による開催を含めて6回開いたというが「そんなにあったのか」と首をかしげる理事もいる状態。
 条例では指定管理者は年度終了後30日以内に管理に関わる収支状況などを記した事業報告書を市長に提出しなければならず、市長は指定管理者に定期または必要に応じて業務、経理の状況の報告を求め、改善を指示できるとなっているが、市農林課に文書で赤字の報告があったのは7月の社員総会のあとだった。
 しかし木村市長は取材に対し「今の時点で話すことはない」としている。
 社員のリスクは設立時やその後も出資額の範囲内で、何かあっても10万円が返ってこなくなるだけと説明されているが、理事会は業務執行の決定、監督の権限があり、役員の経営者としての責任は小さくない。業務を執行する代表理事が職務を怠って法人に損害を与えれば、損害賠償を請求する責務もある。
 もし、現状のまま赤字を再び発生させたり、最悪、債務超過で解散という事態になれば、役員の責任が問われる可能性も出てくる。道の駅の今後の行方とともに同協議会の動きも注目される。