一言進言

活字文化復活の拠点に

活字文化復活の拠点に~ツタヤ図書館に期待しよう~(8月25日掲載)
周南市の新しい徳山駅ビル問題はカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を指定管理者にようやくスタートした。未明までの議会を経て、賛成多数で決まった。駅ビル問題は当初から議論がかみ合わなかった。いわゆるツタヤ図書館を目指してのスタートだった。すぐ近くに中央図書館を持つ周南市と、中央図書館の運営を依頼した佐賀県の武雄市とでは、そもそもの条件が違う。木村市長の強い想いが実現したが、駅ビルに何を持ってくるか、議論は正直希薄だった。議会からの現実的な提案もなかった。従来の駅ビル、市民交流センター的な発想しかなかった。
病院やホテルなどの提案はあったが、具体的にアタックする人はいなかった。商業施設への期待も強かったが、無理だと決めつけた。結局、図書館に決まったが、最後に指定管理者の決定にあたって未明までの議会がおまけになった。決まった以上、何ができるかに議論を集中すべきだ。
文化は形に表せない難しいテーマだ。市文化会館がオープした時、こけら落としはN響のコンサートだった。本格的なオーケストラのコンサートは初体験の市民が多かった。演奏中、せきをする人、隣の人と会話する人などもいた。それが何年か経て四重奏のコンサートに行くと、素晴らしいマナーで、確実に音楽を楽しむ風景があった。これが文化だと思った。今では市民のオーケストラもスタートしている。
今度は活字を通してどんな文化をもたらしてくれるか。全国展開する本屋さんだ。著名な作家たちを周南に招く力がある。活字文化に興味を持たせる仕掛けはいくらでもある。単にカフェで雑誌を読む空間を作るだけでは、年間1億5千万円以上もかける必要はない。中央図書館も子どもたちへの読み聞かせ運動など、地道だが、相当の活動をしている。差別化を図り、もっと活字に興味を持たせる活動を期待する。
活字を扱う仕事を30数年してきたが、近年の活字離れはすさまじい。新聞を読まなくなり、本の売れ行きも激減している。ツイッターなどごく短い文章で伝える時代だ。向田邦子のように流れるような文章に感動する世代にとって、何とも悲しい時代だ。単に集客だけなら、家賃をタダにして東急ハンズなどを誘致すればよい。1億何ぼもお金をかけなくてすむ。駅ビルに図書館を選んだ責任はそこにあると思うが、どうだろうか。(中島 進)