一言進言

混沌とした世界に突入

トランプ大統領誕生でどう変わる
最近のニュースを見ると何となく暗くなる。世界中がそうだ。イギリスはEUから離脱を決めるし、ドイツもフランスも排他的な極右政党が勢力を伸ばしている。世界がグローバル化する一方で、他国民を排斥する運動が、白人たちの間で大流行だ。連日、大企業の多国籍化がニュースで流れるが、移民排斥が主流の欧米諸国になっている。挙げ句に米国はトランプ氏が次期大統領に選ばれた。「汝隣人を愛せよ」と説いたキリストの教えもどこ吹く風。世界はどこに向かうのだろう。
TPP(環太平洋連携協定)など絶対反対と豪語した候補者が大統領になり、日本の国会論議は茶番劇の様相だ。保守的と言うか、自国主義と言うか、グローバル化の正反対の道を世界中が突き進んでいるとしか思えない。冷静に物事を見つめる知性、理性はどこに消えたのか。損か得か、判断基準は大きく変化してきた。
日本でも確実に変化してきた。自治会から連絡網の名簿が消え、隣近所とのつきあいを拒否する流れは顕著だ。地域のことなど関係なく、我が家だけ良ければすべて良しの風潮は止まらない。その延長線上に企業、国家観も変化する一方だ。多くの企業が合併、買収を繰り返し、企業風土なんかそっちのけだ。何を守るために会社を立ち上げ、そして継続してきたのか。寡占化が進む流通業界など最たるものだ。
沖縄・石垣島の街の風景も、ここ、周南の街の風景も変わらなくなった。どこにもイオングループが出店し、全国チェーンのドラッグストアが軒を並べ、以前からあった街のスーパーマーケットも薬屋さんも多くは姿を消した。金持ちがより金持ちになり、貧乏人がより貧乏になる。確かにこんな経済のあり方は間違っている。グローバルな時代に対応すると称して、大店法を改正したり、大企業に有利な施策ばかり取り込んできた。
アメリカはそんな世界に、全く違った思考でノーを突きつけた。原因は他国企業、他国民のせいだと思い込んでいる。底にある人種差別観も大いに働いて、トランプ大統領を生んだ。我が国は個人主義がはびこる中、日本国を守るためとの大義名分に傾倒する流れだ。矛盾を内蔵したままの流れは無理がある。
要するに、うわべの強い言葉に酔い、自分だけは救われると信じるミーハーたちが国を左右している。個人主義とグローバル化の矛盾はうまく収まりを見つけられない。ここ周南でも、トップが外国人になった途端、地域とのつながりを無視するような企業体質になりつつある企業も出てきた。人とのつながりを何よりも大切にしてきた日本らしさは、欧米諸国の影響で消える運命かも知れない。トランプ大統領誕生は拍車をかけるのだろうか。(中島 進)