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12月に帝人徳山事業所閉鎖

跡地19万平方メートルの活用これから 従業員の雇用は確保
 周南コンビナートの一角を占める周南市由加町のポリエステル繊維工場、帝人徳山事業所(河野正幸事業所長)は12月までに生産を終了し、閉鎖する。敷地は約19万平方メートル。現在は90人にまで減っている社員の雇用確保など閉鎖に向けた作業が進むと同時に、広大な跡地利用が今後の課題となっている。(延安弘行)
■コンビナートの一員として50年
 同事業所は1968年4月に操業を開始。当時は隣接する出光石油化学徳山工場からパイプラインで送られてくるキシレンからパラキシレン、DMTを経てポリエステル繊維を製造する一貫生産体制の工場として注目され、最盛期の72年ごろには社員だけで680人が働いていた。

帝人徳山事業所

帝人徳山事業所

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 河野所長(61)は2013年2月に所長に就任して50年の歴史の幕引き役を果たすことになったが、入社は1974年。南陽工高を卒業して入ったころは協力会社を合わせると1,000人以上が働いていたという。
 現在は回収ペットボトルのフレークスも原料にしてポリエステル短繊維を製造しており、製品の95%が水処理膜、紙おむつなど産業用の繊維で、5%が紡績用。
 今回の閉鎖は国際競争力強化のための構造改革の取り組みとして2014年11月に示された。この構造改革では一部を松山事業所に残すほかはポリエステル繊維の生産の大半をタイの子会社に移す。このため徳山事業所は3年がかりで閉鎖への準備を進めることになった。
 この間、最優先で取り組んできたのが雇用確保。当初から社員のうち希望者は全員、引き続き同社で働いてもらう方針だが、現在の自宅を離れることができない場合、再就職を支援することになり、就職支援会社とも契約している。帝人に残る人には6月末までに転属先が示されるが、ポリエステル繊維製造の経験を生かすには松山事業所が主体になりそうという。
 社員のほか現在は協力会社の100人が構内で働いているが、地元のほかの工場での作業にはなるが、引き続き協力会社で雇用を確保する方針。グループ会社の帝人物流も徳山事業所の仕事はなくなるが、他社の仕事も引き受けているため業務を維持する。
 今夏の徳山夏まつりにはみこしで参加し、10月には恒例となっていた萩市須佐から同事業所まで空き缶などを集めるクリーン駅伝も開くほか、12月の閉鎖式までさまざまに社内行事を計画している。
■帝人単独の跡地活用は困難
 タイへの生産の移管も順調で、このまま進めば10月下旬には生産を終了し、続いて12月末までかけて危険物の抜き取り作業などで排水など環境汚染の不安がない状態にする。
 閉鎖後は安全確保のために最小限の撤去はあるが、プラントや建物の大半は残る。跡地の活用方法が決まれば早まることもあるが、設備の撤去には、通常は3年ていどかかるという。
 雇用確保を優先して跡地活用はまだ白紙状態だが、同社は全社的に全国で生産拠点などの数が多すぎるとして減らす方針で、現時点で同社が単独で新たな投資をする可能性はない。河野所長は今後、活用について県、市や近隣の事業所とも相談したいと話し、提案などを受けていくことになりそう。
 同事業所は周南工業地帯の中心で、徳山下松港の中にあり、一方で山陽自動車道にも直結する好立地。緊急に取り組むべき課題ではあるが、拙速にならず、中長期的な展望にたった跡地活用が望まれる。