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地元クリエーターから批判

周南市 クリエイティブ産業創出 事業
 周南市が2016年度から取り組んでいるクリエイティブ産業創出支援事業に対し、地元で活躍しているデザイナーなどクリエーターから批判の声があがっている。ソーシャル・ネットワーキング・サービスのフェイスブックには「地元クリエーターをつぶすために遂行している」などと激しい言葉も並んでいる。この事業の何を問題としているのか。市やクリエーターたちに取材した。

 「クリエイティブ産業」とは市の施政方針用語解説によると「芸術、映画、ゲーム、服飾デザイン、広告など知的財産権を持った生産物の生産に関わる産業のこと」。事業はクリエーターの仕事を都市部から持ってくると同時に、クリエーターを市に移住させるなどして育成することを目指している。
 16年度に始まり、実施にあたっては県東京営業本部支援アドバイザーを務めている男性を市クリエイティブ産業創出支援アドバイザーに委嘱。この男性が経営するコンサルタント会社に随意契約で300万円で業務委託して展開している。
 市商工振興課によると、16年度は関係者10数人の研究会を9、10月に2回開き、都市部から市へクリエーターを呼び寄せようと11月に東京と京都でクリエーターを集めて周南市を説明するセミナーを開いた。さらに2月10、11日に都市部のクリエーターを市に招くスタディツアーも開き、7人が訪れた。

 地元クリエーターらの批判のきっかけはこのツアーの案内にあった地元と都市部のクリエーターの公平性を欠くととられる表現。同じ仕事でも都市部では高単価、地方は低単価であることが多いため、この事業の「先行登録クリエーター」には「都市部と(内容及び価格面で)遜色ない仕事」や「地方ならではのゆとりある豊かな生活」を手に入れるべく、仕事を優先的に紹介するという文言が入っていた。
 市内のグラフィックデザイナーの土江孝さん(45)、福永みつおさん(49)は1月にこの内容を知り、地元で頑張っているクリエーターをないがしろにしていると、木村市長に会ってこの文言の存在を指摘した。その場では、2人は市長も修正を了承したと受け取った。
 しかしその後、商工振興課に、この文書に対する質問書を提出したが、口頭だけで文書での回答はなかった。同課は2月9日に文書の一部を修正したが、2人は内容が十分でないとして、都市部、地元のクリエイターに差をつけないことが明確にわかる文書も同課に示した。しかしツアーが終了したこともあって文書は修正されないままだった。
 このため同12日以後、福永さんはフェイスブックに「市の担当者3人と話をしたのだけど、あまりにも酷い考え方に大激怒」、「(口頭では)完全に非を認め謝罪している。なのに改善しないのはなぜか」、「周南市のスローガン『共に。』の中に、地元クリエーターだけはないがしろにされている」などと投稿。
 これに対して商工振興課は誤りがあるとして口頭で訂正を求めたが、文書でどこがどう間違っているのか、明らかにしてほしいという求めには応じず、フェイスブックはそのままになっている。

 一方、この事業は17年度も継続し、予算案には前年度に続いて前述の男性のコンサルタント会社への業務委託料300万円などを計上。予算案の説明書では「都市部であふれている案件を持ち込む仕組みづくりや、地域のクリエーターのネットワークを構築するための研究会を行うとともに、研究会での成果報告及び都市部の案件と市のクリエーターの案件のマッチングイベントを実施」とあり、想定される成果では「クリエイティブ分野での新規事業所3件」とある。
 木村市長はこの事業に関して「地元のクリエーターを大切にするのは当たり前のこと」と話し、都市部のクリエーターだけを優遇する事業ではないと強調している。果たしてその狙い通りに進むのか、注目される。