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イノシシ最多、次いで猿

【周南】有害鳥獣被害、対策に四苦八苦“モンキードッグ”の活躍も
 田畑を荒らすイノシシなど有害鳥獣。農家にとってその被害は深刻だ。全国各地で農林産物への被害が報告されて久しいが、耕作放棄地の増加、中山間地域の農林業の衰退はさらに進み、人間にとって“有害”となる鳥獣はさらに人里近くに分布、拡大していて住宅地に姿を現すケースも増えてきている。周南でもわなや猟銃の免許を持つ猟師らが捕獲・狩猟活動を展開し、各市でも防護柵の設置などに補助するなど、被害防止へ注力している。鳥獣ごとの被害額や対策をまとめた。(安達亮介)

・イノシシ被害は3市で3,000万円
 水稲や芋、野菜、果物など農林産物を荒らす鳥獣のうち、各市で最も被害額が大きいのはイノシシで、2015年度は周南市で1,587万4,000円、光市で959万6,000円、下松市で400万6,000円。
 次いで被害が多いのが猿で、周南市で506万4,000円、下松市で274万7,000円、光市で105万4,000円。このほかカラスやクマ、タヌキ、ノウサギ、スズメなどによる被害も報告されている。
 県周南農林事務所によると、3市でわな猟免許を持つのは375人、第一種銃猟免許は172人、網猟免許は3人、空気銃の第二種銃猟免許は2人。これらにより昨年度はイノシシ894匹が狩られ、1,234匹が捕獲されたほか、ニホンザルも73匹が捕獲された。
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・各市で柵の設置を補助
 被害の防止へ各市では侵入を防ぐための柵の設置の補助制度を設けており、周南市ではトタンや電気柵、フェンス(ネット)などを共同で設置する農家や団体を対象に購入費の2分の1を補助し、昨年度は30件の申請を受け付けた。
 下松市では電気柵やフェンスなどの資材費の2の1を年間1人当たり10万円を上限に補助し、昨年度の受付件数は22件、そのうち昨年度から始めた防鳥ネットも1件ある。
 光市ではトタンや電気柵、ネットなどの購入金額の3分の1を上限5万円で補助して昨年度は79件。またイノシシ用箱ワナを無料で貸し出す制度には16件、昨年度に始めたくくりわなの資材費の3分の1を上限1万3,000円で助成する制度には3件の利用があり、狩猟免許取得に対しての補助も六件あった。

・周南市にはモンキードッグが
 農作物被害対策には〝モンキードッグ〟も活躍している。イノシシや猿、シカなどを追い払うために訓練されて各市町で認定される犬のことで、県農林水産政策課によると5月31日現在で2005年度以降に延べ68匹が認定され、死亡などで取り消されたのを除くと現存は45匹、うち周南では周南市に6匹いる。
 周南市樋口の農業、大中保忠さん(72)宅では11年に同市初のモンキードッグ認定を受けた雌の柴犬、チャコ(8歳)とその翌年に認定されたチャコの息子の源吉(5歳)がいる。近くに猿などが現れるとリードを外し、畑などを守るために家を飛び出していく、頼もしい家族の一員だ。

大中さんとモンキードッグ

大中さんとモンキードッグ

 認定と同時期に大中さんの住む上大歳地区では地域住民など約200人が協力して電気柵やフェンスを全長約2キロにわたって設けたこともあり、鳥獣被害は激減。大中さんは「以前は家の前まで猿が来ることもあったが、今では被害はほとんどない」と話している。
 畑などで被害を許すことはそこが餌場と認識される恐れがあり、被害に遭わないようにすることが将来の危険を防ぐことになるとも考えられる。そうした有害鳥獣の被害防止策を効果的に進めるには、個人の対応のみならず行政、地域と連携した取り組みが重要。安易な解決策はないだけに、地道な取り組みが今後も求められるだろう。