一言進言

全国に優れイノベーター多し

~ユーモア通じない「しゅうニャン市」にがっかり~
フォーブス6月号で「日本を元気にする88人」イノベーターの特集をしていた。全国地方自治体の苦悩と、それを課題化し、解決していこうという取り組みが各地で展開されている。ユニークさを競うだけでない、住民を奮起させたり、全国に注目され、移住者を増やす活動であったり、新しい産業を生み出す仕掛けなどさまざまな成果をあげている。そこには常に前向きな地方自治体職員がいて、地域を愛する優秀なイノベーターがいる。はっきりしているのは箱物行政はその場面では登場しないことだ。
最近では、別府市の長野市長が注目されている。「住民一丸型」市長で有名だ。公金を1円も使わず「湯~園地」を作ろうと企画。温泉でタオルを巻いた市民が湯をかぶりながらジェットコースターに興じている動画はネットでたちまち大評判になった。100万回を超えたら本物を作ると公言、実際たった3日で100万回突破した。クラウドファンディングで寄付金を募集すると、あっという間に3,400万円も集まった。
まだまだいる。鹿児島県長島町に出向した総務省出身の井上貴至さんは、町特産の養殖ブリにちなんで「ぶり奨学プログラム」を考えた。町出身の学生が10年以内に戻ると奨学金の元金を補てんする仕組みだ。ブリ1匹が売れると1円寄付をしてもらうなど、資金づくりも工夫した。福井県鯖江市は「市民主役条例」を制定、市民を参加させながら実効性のあるアイデアを取り入れる取り組みが興味を持たせる。
周南市は徳山駅と新庁舎でおよそ200億円の投資をしたが、そこに市民の姿はない。形はデザイン会議など市民も参加したことになっているが、実質的にはゼロに等しい。ほとんどが行政が決めたことを発表しただけだ。「しゅうニャン市」プロジェクトも最初は市民が一部参加していたが、結局、行政主導になってしまった。
徳山駅の南北自由通路のサイネージ広告に我が社も参加している。劇画チックに記者たちが登場。菊川でヌートリアを発見したり、「えっ!しゅうニャン市になるんだって!」と驚く場面を使ったが、木村市長からクレームがついて却下された。もともとギャグ的発想で作られた「しゅうニャン市」だから、ギャグ的な表現をと作った広告だ。JRの担当者も、なんでこれが却下されるんでしょうと不思議がっていた。何でも批判的な印象を与えるそうだ。
批判も多いと書いたが、賛成も多いとも書いた。そんな「日刊新周南」のコマーシャルは批判的だと断定する神経は解せない。ギャグ的な発想で始めたキャンペーンを、ギャグ的に表現しただけで、そこに批判的な意図は皆目なかった。堅物市長らしく、ユーモアの範囲は限定的なようだ。別府市のPR動画はギャグ的だから受けた。そんな堅いことを言うぐらいなら、周南市のキャンペーンに中途半端なギャグを使わねばいい。市民参加型にはほど遠い感覚だ。主役は市民であるべきだ。ニャンとも悲しい。(中島 進)