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若手移住者の活躍光る

【金曜記者レポート】「大津島海の郷」オープン4年、利用者増加傾向、課題も
 周南市の離島、大津島の市体験交流施設「大津島海の郷」がオープンから4年を迎えた。県内外の企業や学校などの団体が宿泊しながらカッター訓練や釣り、野外炊事、石風呂体験、平和学習にも取り組んでおり、利用者は毎年増加している。パートを含めた従業員は当初の5人から現在は8人と島民の雇用の創出にもつながり、昨年は20歳代の若者が移住するきっかけにもなった。現状や課題を追った。(安達亮介)

カッター訓練=海の郷提供

カッター訓練=海の郷提供

釣り体験=海の郷提供

釣り体験=海の郷提供


【リピーター根強く】
 海の郷は2013年4月、本浦地区の大津島中旧校舎跡地にオープン。鉄骨造2階建て床面積602・68平方㍍で、最大100人が宿泊できる。解体も含めた総事業費は約3億円で、指定管理料は毎年約2,000万円。大津島研究所(小池良太代表)が運営している。
 利用人数は13年度が57団体の1,736人、14年度が58団体の1,985人、15年度が74団体の2,078人、16年度が93団体の2,654人。当初掲げた17年度に5,000人の目標には届きそうにないものの、順調に伸びている。
 増加を支えているのがリピーターの存在で、特に新入社員研修として利用する企業が多く、今年の4月は稼働率93%と過去最高の利用だった。
 しかし昨年度全体の稼働率は49%。5,000人の目標達成に向けて今後は利用率の低い冬場に馬島地区の大津島小体育館を活用したスポーツ合宿を増やすなどしていきたい考えで、2月には輸送用の2台目の車も導入した。

【奉仕作業で喜ばれ】
 4月1日現在で人口278人、高齢化率は79.9%という大津島。力仕事などは高齢者には大きな負担だが、島中の溝にたまったごみや木の枝、落ち葉などをさらうなどの奉仕作業が新入社員などの研修プログラムに組み込まれ、住民を喜ばせている。
 研修では大戦末期の特攻兵器、人間魚雷「回天」の発射訓練基地があったことから馬島地区にある回天記念館も訪れ、平和学習をしながら島の歴史を知ってもらう機会になっている。

溝をさらう奉仕作業=海の郷提供

溝をさらう奉仕作業=海の郷提供

吉本さん(左)と安在さん

吉本さん(左)と安在さん


【若手移住の呼び水に】
 昨年2月には20歳代の若者2人が市外から移住して海の郷に勤めて活躍している。
 熊本県出身の吉本岳史さん(24)は海の郷施設長の小池さん(33)がかつて勤めていた周防大島町の旧大島青年の家に中学時代から手伝いに通って高校卒業後にその運営会社に入社し、インドネシアで地域おこしをする業務も体験。その後、小池さんに誘われて海の郷に入ることになり、小池さんと2人でメーンの指導員として活躍している。
 一緒に移住した恋人の安在志穂さん(27)は長崎県出身で、大学卒業後は下松市内で働いていた。海の郷では4月から本格始動した利用者に食事を提供する「海の郷工房」の副代表を務め、大津島支所の臨時職員にもなっている。
 漁師を志していることもあって移住を決めた吉本さんは「釣りが日常的にできるのがうれしい」としながら「海の郷では“日本一厳しい”を目指し、同時に漁師の仕事もしたい」と抱負を語る。安在さんも当初は島に生鮮食料品の売店がないことや、使ったことがなかったボイラー式の風呂などに戸惑ったというが「いろいろな人に仲良くしてもらっている。工房では利用者の要望を聞いてなるべく応えていきたい」と話している。
 島ではほとんどが島内産というイノシシ肉のコロッケがお気に入り。最近は「新しく作った畑でスイカを収穫するのが楽しみ」と海辺で笑顔が光る。