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東洋鋼鈑執行役員下松事業所長

【この人に聞く】技能伝承で高める現場力、安全操業と地域貢献に力
東洋鋼鈑執行役員 下松事業所長 荒瀬 真さん(55)

170613

 4月1日付で下松市の東洋鋼鈑下松事業所長に業務・勤労部長から就任した。同社は東洋製罐グループの鋼板・機能材料メーカー。ブリキ、薄板、表面処理鋼板、機能材料などの製品のほぼすべてを下松事業所で生産している。“1社1工場”の下松事業所を背負って立つ荒瀬さんに、現状や今後の見通しなどを聞いた。(聞き手・山上達也)

 ――就任のお気持ちからお聞かせ下さい。
 荒瀬
 1社1工場の事業所長という立場に、責務の大きさを感じています。
 ――どんなことを心がけていきますか。
 荒瀬
 安全操業と防災の徹底です。どんな生産設備も動かすのは人です。人の意識や気持ちこそ大切です。
 ――具体的にはどう取り組みますか。
 荒瀬
 「みんなで高める現場力」のスローガンの下、技能伝承が世代間でうまくいくようにします。具体的には職場単位の“縦糸教育”と階層別の“横糸教育”の強化です。QC(小集団改善活動)サークルを従来の生産現場だけでなく、事務部門にも広げて問題解決の糸口づくりを進めていきます。
 ――それは頼もしいですね。技能伝承は定年退職者の再雇用が柱になりますか。
 荒瀬
 そうですね。今やらないとできないことだと思います。団塊の世代の定年退職はピークを過ぎましたが、だからこそ今、作業標準などのベースを作っておきたいと思います。
 ――主力商品はやはり“底の白いスチール缶”向け鋼板でしょうか。
 荒瀬
 鋼板事業が大きな柱です。当社ではスチール缶の素材を製造していますが、底の白い缶の技術の“もと”は下松事業所から生まれ、100%当社独自の技術です。アルミ缶の普及やコンビニエンスストアの店頭のひきたてコーヒーの登場で缶コーヒーの需要は減っていますが、電池向け鋼板や磁気ディスク、光学用フィルムも生産しています。
 ――暮らしのいろんな場面で使われているんですね。
 荒瀬
 冷蔵庫の扉の材料やハイブリッド車のニッケル水素電池向けもあります。電気自動車などに使用されるリチウムイオン電池向けは今後の需要拡大を期待しています。地域の皆さんに「鋼鈑はこんなものを作っているんですね」と認知していただく工夫をしていきたいです。
 ――毎年“事業所開放イベント”を開いていますね。
 荒瀬
 地域あっての東洋鋼鈑、下松生まれの東洋鋼鈑ですから。下松市主催の子どものための次世代育成支援事業への寄付も9年目に入りました。今後も地元への貢献を続けます。
 ――がん治療の遺伝子解析キットの開発、生産という新しい分野も待っていますね。
 荒瀬
 ようやく薬事承認が下りました。県や山口大学と連携した産学官の成果で、抗がん剤の投薬の副作用を事前に検査する画期的なキットです。がん治療の現場で貢献できればと思っています。
 ――トルコでの合弁事業はどうですか。
 荒瀬
 5月に営業生産が始まりました。少しずつ生産を増やしてトルコ国内をはじめ欧州、アフリカ、中東の需要を満たします。下松で研修を受けた人たちが従業員約700人の中核的な立場で活躍しています。立ち上げ指導の日本人従業員は今では20人に減り、やがては数人になります。現地で優秀な人材が育っています。
 ――市民の皆さんにメッセージを。
 荒瀬
 下松で生まれ育った当社にとって下松事業所はマザー工場。地域にもっともっと貢献し、地域との信頼関係を深めていきたいと思います。

[プロフィール]
 1961年、周南市三番町生まれ。徳山小、岐陽中、徳山高から立教大学経済学部に進んだ。高校時代は剣道に打ち込み、大学では手品サークルに所属してアルバイト代の大半は手品のネタ代や衣装代に消えたという。
 85年に入社し、本社の情報システム担当からスタートして経理部係長、秘書室で係長と課長、総務部で総務グループリーダーを務めて2013年に下松事業所業務・勤労部長。
 趣味は登山とゴルフ。妻、社会人の長男、大学生の長女の4人家族。下松市末武下