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徳山動物園で「ぞうさん堆肥」

【金曜記者レポート】園内のプラントで製造販売 環境、コスト両得
 周南市の徳山動物園(三浦英樹園長)は昨年4月からスリランカゾウなどのふんと敷きわらを原料にした堆肥を「ぞうさん堆肥」と名付けて販売している。農家などに好評で、6月までの1年間に50tを売って16万円の売上があった。以前は年間約400万円をかけて焼却処分していたが、環境に配慮して資源として有効利用することで経費の大幅な節減にもつながっている。(延安弘行)

10㎏入りの袋を持つ木原さん

10㎏入りの袋を持つ木原さん


次世代エネルギーパークにも
 同園は現在進めているリニューアル事業による新エネルギーなどの導入計画が2011年に経済産業省から「次世代エネルギーパーク」に認定され、昨年3月にオープンしたウサギやモルモットなどとふれあえる施設「るんちゃ♪るんちゃ」では井戸水を清掃などに使っている。
 また水素で発電する電気はゾウ舎などで使い、発電時に出る熱でわかした湯をゾウやカピバラの獣舎で使用する純水素型燃料電池コージェネレーションシステムの研究開発・実証試験も園内で続けられている。そのほか、リニューアル工事では太陽光発電装置も設置する。
毎日500~700㎏のふんを処理
 園内で1日に回収する動物のふんはゾウ、キリン、シマウマ、ダチョウや豚、ポニー、ヤギ、レッサーパンダ、ウサギやモルモットまで含めると500㎏から700㎏にものぼる。以前は市内に処理できる業者がなかったため、萩市で処理していた。
 住宅地の中にあるため、園内で処理するには悪臭対策が必要だが、大阪市の市街地にある天王寺動物園で畜産用の密閉型堆肥化プラントを使って処理していることがわかり、導入を決めた。
園内の堆肥化プラント

園内の堆肥化プラント

 導入費用は約2,200万円。2014年12月に設置されたプラントはタンク内に堆肥と敷きわらを入れ、1週間かけて微生物で発酵させるとふかふかの堆肥ができる。処理する過程で水分などが抜けるため出てくるときは3分の1ほどの重量になる。豚のふんを処理する場合で1日に2トンを処理する能力がある。
完成した堆肥

完成した堆肥

 導入してしばらくは水分量が一定にならないなど堆肥の品質が安定せず、知り合いの農家などに使ってもらうていどだったが、1年たって動物のふんに適した微生物になったのか、品質が安定するようになった。
有機肥料、市内は配達
 13年にスリランカから贈られた時は子どもだったゾウ2頭も大きくなってふんの量が増え、堆肥もたくさんできるようになったこともあり、昨年4月から本格的に販売を始めた。売り始めた当初は市広報に載せたり、永源山公園のつつじ祭りで見本を配るなどしてPRした。
 原料はふんと敷きわらだけの有機肥料で、値段は10キロの袋入りが200円、軽トラック1杯分の約300キロが2,000円、2トンダンプカー1台分の約1,200キロが4,000円。市内なら同動物園の職員が配達する。
 当初は稲作用に田植えの前に水田に入れる場合が多く、田植え時季以後、在庫が増えることもあったが、最近は野菜の畑やミカンなど果樹園にも使われ、ほとんどの人が1,200キロをまとめて購入するため、在庫がたまることはなくなった。
 環境負荷を減らし、イメージアップにもつながると始めた堆肥化事業だが、現在、同園ではゾウなどに与える牧草などを農家に委託栽培してもらっており、この堆肥で育てた牧草や葉物野菜などを動物に与え、その動物のふんを堆肥にするというサイクルを作ることも可能になっている。
 木原一郎園長補佐(48)は「将来はこの堆肥を使って育てた“ぞうさん野菜”を園内で販売できるのでは」と夢を膨らませている。問い合わせは同園(0834-22-8640)へ。