ヘッドラインニュース

自由闊達でエネルギッシュに

【この人に聞く】注目される製品育てたい
日本ゼオン執行役員徳山工場長 渡辺 誠さん(54)

170719

 周南市那智町の日本ゼオン徳山工場長に就任した。前職は富山県高岡市にある高岡工場長で、徳山工場は3度目の勤務となる。自動車タイヤの原料として注目される溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)の生産拠点で、世界初の単層カーボンナノチューブの量産プラントもある徳山工場の現状や周南コンビナートへの期待などを聞いた。(聞き手・延安弘行)

──徳山工場は4年ぶりということですが、工場長としてどの分野を伸ばしたいと考えていますか。
 渡辺 今の段階では2つあります。まず徳山工場は合成ゴムの基幹工場です。現在はシンガポールでも生産していますが、低燃費用のタイヤ原料として高性能を生み出せるS-SBRに力を入れていきたい。もう1つはカーボンナノチューブです。世界初の量産プラントがありますが、これから実際の展開が始まります。この2つが伸びていけばと期待しています。
──カーボンナノチューブは一昨年、プラントができ、用途を開発中のこれからの製品ですね。
 渡辺 用途はまだごく一部が出てきているところです。合成ゴムも改良された製品が次々に出て、低燃費で環境にやさしいタイヤとして注目されています。このほか重合法トナーがあります。
──これらの製品を育てるためにもどんな工場を目指しますか。
 渡辺 永遠にもうかる工場でありたいですね。研究部門もあるし、自由闊達、エネルギッシュな組織を維持したいと考えています。
──具体的にはどんな職場ですか。
 渡辺 一人々々が生き生きと仕事ができる職場です。上下や部門の壁を取り払って“オール徳山”でいきたい。そのために私自身が機会を見つけて対話を進め、部門の異なる人同士のつながりを広げたいですね。
──雇用面はどうですか。
 渡辺 団塊の世代が退職したころに継承が途絶えることがあり、これを教訓に一定のレベルでコンスタントに採用を続けています。ここ10年ぐらいは一定数の雇用を確保しています。
──設備投資も新分野を中心に積極的ですね。
 渡辺 新しい分野もあるし、既存の分野でも、効率化や省エネ、安全、環境への投資はやっていきます。
──コンビナート企業の連携強化や徳山下松港をもっと生かそうという動きも活発になっています。
 渡辺 もちろん参画していきたい。インフラや設備、物流など、やればやるほど互いの企業にも、地域にもメリットがあることですから。エネルギーの融通、原料や製品の共同配送といった物流関係でもやる余地はまだあると思います。
──徳山下松港の整備も進んでいます。
 渡辺 製品は輸出もしているので目の前から輸出できるというメリットは非常に大きい。また徳山に着任したからには周南の繁栄に貢献したい。徳山駅前のリニューアルも進んでおり、活気を呼び戻すお手伝いができればと思っています。
──ありがとうございました。

 [プロフィール]
 長野県出身。慶応義塾大学理工学研究科修士課程修了。入社して間もなく研究所に配属され、トナーの開発を担当した。30年の勤務のうち25年はトナーの開発、生産に携わった。
 徳山工場はまず、開発したトナーの生産開始時、2回目はこれも開発に携わったカラートナーの生産開始時に製造課長として赴任した。家族は東京で、この10年ほどは単身赴任を続けている。ゴルフは徳山工場に最初に着任した時に始めた。

 [徳山工場] 徳山駅にも近い周南市那智町にあり、従業員は360人。1965年にまず合成ゴムのスチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムの製造設備が稼働、86年からS-SBRの生産を始め、91年からは重合法トナーの生産を始めた。
 2015年には単層カーボンナノチューブの量産工場が完成。カーボンナノチューブは炭素原子だけで構成されるナノ炭素材料で、軽量、高強度で電気や熱の伝導率が高いことからさまざまな用途への利用が期待されている。