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周南市・湯野荘の民間譲渡先送り

土地の境界問題で陳情、来春は誰が運営?
 周南市は湯野温泉にある国民宿舎湯野荘を民間に譲渡する方針を決め、今年度中に公募で譲渡先の選定を進める予定にしていたが、隣接する旅館の経営者から土地の境界問題を理由に計画の見直しを迫る陳情が市議会に出された。陳情は7月28日に開かれた市議会臨時会で否決されたが、この問題で今年度中の譲渡は難しくなり、一方で湯野荘の指定管理期間は来年3月までであることから、4月以降の経営者が決まらない状態となっている。(延安弘行)

民間譲渡が予定される湯野荘

民間譲渡が予定される湯野荘


年間約9万人が利用
 国民宿舎湯野荘は1965年に開設。定員は60人で、開設時に建設された2階建ての本棟と91年に建てられた平屋の浴場棟がある。敷地面積は2,743.42平方メートル。
 指定管理者は2006年度の指定管理制度導入前から運営委託されていた市国民宿舎運営協会(代表・住田英昭副市長)。15年度は89,730人、16年度は88,440人が訪れたが、建物の老朽化もあってほとんどが日帰りの入浴。15年度の場合で入浴が83,868人、休憩は2,745人、宿泊は3,117人にとどまった。
 収入は16年度が約7,700万円。この年は黒字になったが11年度から5年間は赤字で累積額は1,700万円になっている。

協議、解決求める付帯意見
 15年8月に市がまとめた公共施設再配置計画の分類別の取り組み方策では「国民宿舎湯野荘については、民間譲渡・地域委譲を含めた検討を進める」とし、この方針に沿って指定管理の期間も11年~15年度は5年間だったが、16、17年度は1年間とした。
 執行部は今年2月の市議会企画総務委員会で、17年度の指定管理者決定にあたって16年度に民間譲渡に向けた準備として土地の分筆登記と鑑定評価を進め、17年度は公募による民間譲渡を予定していると説明した。
 ところが、陳情した紫水園の西田宏三会長の話では、2月に市から話を聞いた際は紫水園に譲渡する意向が示されたため境界のことは市の提案通りにして特に問題にしなかったが、5月ごろに公募という情報を得たことから「話がもつれてしまった」と感じたという。
 陳情では、紫水園と市の所有地の境界が未確認であり、市は一方的に同社に勝手に踏み込んで測量していることからこの境界線の取り消しを求めた。議会で否決されたが、審議した企画総務委員会で「民間譲渡を進めるため、速やかに陳情者と協議し、解決すること」という意見が付けられた。
 この協議をまとめたあと今年度中に条件を決めて公募、審査して譲渡先を決めることは時間が不足すると見られている。

観光資源に生かしたい温泉
 光市では市が開設していた三島温泉を改築、ゆーぱーく光とし、全国公募の指定管理者が運営して現在は日帰り温泉施設として人気を集めている。下松市の国民宿舎大城は建て替えて昨年、リニューアルオープンし、日帰り、宿泊とも好調という。
 神功皇后が新羅からの帰国の途中に立ち寄り、生まれたばかりの応神天皇の熱病を治したとも伝えられる歴史を持つ湯野温泉だが、現在の宿泊施設は湯野荘を含めて4カ所。温泉は有力な観光資源であり、譲渡にあたっては市内外の人が広く利用できる施設の維持は不可欠。
 周南市の場合、指定管理者制度導入後も湯野荘のように既存の市に関係する団体が運営を引き受けている場合も少なくない。その中にあって今回、公共施設再配置計画で示した方針に基づいて民間譲渡に踏み切る。
 しかし譲渡して終わりではなく、将来にわたって温泉を観光資源として生かせる方策を立案し、市民に理解してもらうことが求められている。
 譲渡時期の先送りと、それに伴う指定管理による運営の延長があるとすれば、そのための時間にしてほしい。