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【金曜記者レポート】野焼き

【周南】“野焼き”に苦情相次ぐ 法律で禁止だが例外多く
 雑草が生い茂る夏場、刈った草などを野外で焼く“野焼き”の苦情が後を絶たない。周南3市でも苦情を受けた市や消防が火元の地権者など責任者に消火を要請しているが、根本的な解決に至っていない。野焼きの現状と課題を探ってみた。(山上達也)

国道188号を覆う野焼きの煙=7月21日、光市光井

国道188号を覆う野焼きの煙=7月21日、光市光井


国道をふさぐ煙の帯
 7月21日午前8時10分、光市光井の国道188号戸仲交差点で4車線の道を煙が覆い、視界不良の煙の帯の中を進む危険な運転を体験した。
 市にはこの野焼きに近隣住民から「洗濯物が外に干せない」「臭くて窓が開けられない」の苦情があり、環境事業課の要請を受け入れた火元の主が火を消したという。
 野焼きなど野外焼却は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で禁止され、違法な野焼きをした者には懲役5年以下または1,000万円以下の罰金のいずれかまたは両方が科せられ、消火対策を怠ると火気乱用の軽犯罪法違反に問われる。しかし、条文には例外規定やあいまいな表現が多く、すべてを規制することはできないという。このため県内で違反の適用例はない。

農家の雑草など例外
 同法は第16条2項で「何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない」とし、例外に一般廃棄物や産業廃棄物などの処理基準に沿った焼却▽他の法令に基づく焼却▽公益上もしくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるものを挙げている。
 この政令には「風俗習慣上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却」「農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却」「たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であって軽微なもの」がある。
 この規定は具体的にはどんど焼きや仏教の火祭り、田畑の雑草や森林の下枝、漁網にかかったごみの焼却、小規模なたき火やキャンプファイアが該当する。

消防に通告ないケース多く
 各市町や県はホームページなどで野焼きが禁止されていることを知らせている。例外として野外焼却する場合も各消防署は事前に届出書を出すか電話連絡を求めているが、光地区消防組合中央消防署の久保英之警防第一係長は「事前に通告がない場合が多い」と話す。
 消防では事前に連絡があれば、強風の日や空気が乾燥した日は避け、周囲に燃えやすいものを置かない、水バケツや消火器を用意する、火が消えるまで火元を離れないなどの指導をしている。
 農家の場合、昔から続けている場合が多く、下松市のように宅地開発が進むと新しい住民から苦情が出るケースも増え、年20件前後に上っている。苦情に「後から来た人が文句を言う」と開き直る人もあり、市環境事業課の鬼武輝明課長は「トラブルにならないようご理解をいただくのが精いっぱい」と話す。
 またトラブルを避けたいと住民が通報をためらうケースもある。光市の主婦(45)は「網戸から煙が入って寝る時まで布団が臭い。気づけば窓を閉めるが、それでもにおう」と悩まされているが、人間関係を考えて苦情を言ったことはないという。
 結局は燃やす側がどこまでその影響を理解し、迷惑をかけないよう気配りするかにかかっている。