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下水と海水から水素製造

【周南(徳山)】アストムが技術協力、世界初の実用化実験

 下水処理水と海水の塩分の濃度差を利用して水素を製造する世界初の実用化に向けた実証実験が周南市鼓南の徳山東部浄化センターで始まり、17日、実験装置などが関係者や報道陣に公開された。事業実施者は山口大学と福岡県の正興電機製作所、日本下水道事業団で、㈱トクヤマの関連会社でイオン交換膜を製造しているアストムが技術協力している。
 県は周南コンビナートなどで多量の水素が生産されることから「水素先進県」として県や関係省庁の補助制度も使って水素関連の事業に力を入れている。この実証実験は国土交通省の3,000万円を上限とする委託事業に採択されている。

水素製造装置(右)と前処理装置

水素製造装置(右)と前処理装置

 イオン交換膜は食塩製造などに使われており、今回の水素を発生させる装置は、陽イオンだけが透過できる陽イオン交換膜、陰イオンだけが透過する陰イオン交換膜を交互に200枚ずつ並べている。ここに海水と淡水の下水処理水を流すことで電流を発生させ、その電力で水を電気分解して水素と酸素を作る。電力と水素、酸素の両方を同時に取り出すこともできる。
 今回の実験装置は最大でも毎分数ℓずつの下水処理水、海水を流す小規模なもので、発生する水素は1時間に1.3ℓほど。実験では少ない流量で効率よく発電、水素製造ができる条件などを調べる。実験棟にはこの装置と下水処理水の前処理装置が置かれている。

説明する比嘉教授

説明する比嘉教授

 この日は山口大学の比嘉充教授がシステムの仕組みやメリットを説明。理論的には同浄化センターの下水処理水の全量1日10,000㎥で年間では水素自動車に8,700回フル充てんに相当する水素が製造できる。
 太陽光、風力発電に比べて天候に左右されず夜間も休みなく稼働させられ、製造装置の敷地も少なくてすむことなどがメリットとしてあげられ、生活排水や工業排水、河川水も利用できるため臨海地であれば都市近郊にも設置できて安定した電源となる。規模を大きくして普及が進めば低コスト化も可能という。