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海上自衛隊そうりゅう型潜水艦を見学

【金曜記者レポート(周南(徳山))】隠密行動の兵力、大津島沖にそうりゅう型潜水艦
 「光も電波も届かない海中に深く潜航し、隠密に行動できる唯一の兵力」とされる潜水艦は機密事項の固まり。一般公開されることはほとんどないが、周南市の大津島で12日にあった回天烈士・回天搭載戦没潜水艦乗員追悼式に合わせて大津島沖に停泊した海上自衛隊のそうりゅう型潜水艦(2,950トン)を見学する機会を得たので報告したい。(延安弘行)

見学者を見送る乗員

見学者を見送る乗員


 海上自衛隊の潜水艦部隊は広島県の呉基地に第一潜水隊群と神奈川県の横須賀基地に第二潜水隊群があり、潜水艦は練習艦を合わせて20隻ほど。隊員は1,800人で、海上自衛隊全体の4%と限られている。
 今回訪れた潜水艦は第一潜水隊群の所属。川崎重工業の神戸造船工場で建造され、2012年に就役した。そうりゅう型は海面近くまで浮上して空気を取り入れることなく長期間、潜水したまま航行できるAIP機関を搭載している。
 黒く塗装された船体は全長84メートル、最大幅は9.1メートル。乗員は約70人。ディーゼルエンジンで発電した電気でスクリューを回して航行する。
 大津島の馬島から潜水艦までは沖合の船と陸地を結ぶ徳山港の小型船。船体の上に移り、艦内にはハッチから垂直のはしごで降りた。
 一緒に見学したのは企業経営者や自衛隊に興味を持つ高校生など10数人。艦内は狭いため2班に分かれて見学。ブロックとブロックの間の出入り口は腰をかがめないとくぐれない。
 まず潜望鏡や航行、浮上、潜水などの運転装置が壁いっぱいに並ぶ潜水艦の頭脳、発令所に入る。望遠鏡で見える画像はモニターに映されて共有できる。ソナースペースでは隊員が近寄ってくる船舶などの音で周囲の状況を把握しているという。
 続いて船首部分にある発射管室。この潜水艦が所持している武器は魚雷とミサイル。魚雷がむきだしのまま並んでいる。その奥はベッドになっていて、研修などで臨時に乗り込んだ乗員はここで眠る。
 食堂やAIP室も見学し、士官室で二等海佐の艦長から潜水艦部隊の概要などの説明を聞いた。艦長をはじめ、どの乗員も質問に明りょうな口調で返答してくれるので気持ちがいい。
 乗員は3段ベッドで個室は艦長だけ、3班に分かれて6時間勤務したあと12時間が非番となる三直勤務。館内ではスマートフォンは使えず、禁酒、禁煙でテレビも映らない。DⅤDを見ることができるが、大きな音を出せないためヘッドホンを使うなど艦内の生活の説明もあった。
 食事は調理師資格を持つ給養員と呼ばれる担当者が中心になって作るが、海軍時代から名物とされるカレーライスは毎週1回必ず出される。スペースが限られているため食堂の椅子の中も食材の収納箱になっていて、ジャガイモやタマネギが入っていた。
 長期間、閉鎖された空間で団体生活ができるのはなぜかという質問には、心理の適正検査であまり怒ったりしない隊員が選ばれていることや、限られた人数のため複数の仕事を担当、各パート間の垣根が低いことなど仲が良い要因を丁寧に説明してくれた。
 最後に乗員の1人にやりがいを聞くと「実務任務であること」という答えが返ってきた。哨戒など日本を守るために必要な直接の業務を担っているという誇りがうかがえる。
 一方で、乗員は追悼式の前日の11日は交替で大津島に上陸、回天記念館を見学したが、港で小型船の到着を待つわずかな間もスマートフォンを操作し、たばこを吸う姿に現代の若者らしさも見られてほっとさせられた。