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FCVの現状や課題

【金曜記者レポート】
燃料電池車 普及に課題
水素ステーションの利用は23台
“水素先進都市”を目指す周南市をレポート

 周南市は“水素先進都市”を目指し、周南コンビナートで副生される水素を活用したまちづくりを進めている。取り組みの一つに水素で動く燃料電池自動車(FCV)の普及があり、市は鼓海の「イワタニ水素ステーション山口周南」を利用するFCVなどを2020年度末までに200台とする目標を掲げているが、3月末時点では23台にとどまっている。FCVの現状や課題などをまとめた。(安達亮介)

3年間で補助金活用9件

 周南コンビナートは国内有数の水素の生産量があり、市は2013年に市水素利活用協議会を設置してコンビナートから生まれる水素を生かしたまちづくりの検討を続け、15年8月には中国地方初の水素ステーションを誘致した。
 このステーションでは市内の液化水素製造プラント「山口リキッドハイドロジェン」からローリー車で水素が運ばれ、1台につき3分で約5キロの満充てんができる。料金は5キロで税別5,500円。満充てん状態からの走行可能距離は約650キロで、これは一般的なガソリン車と同程度の燃料コスト。

周南市が持つ燃料電池自動車

周南市が持つ燃料電池自動車

 燃料電池自動車は現在、トヨタ自動車の「ミライ」と、本田技研工業が官公庁や企業向けにリース販売している「クラリティ フューエルセル」がある。ミライの希望小売価格は税込み723万6,000円だが、国の補助金202万円を活用でき、さらに周南市も補助金50万円を出している。
 FCVの普及へ市は15年度からこの1台50万円の補助を続け、15~17年度で計9件が申請されている。このほかミライ2台を公用車として導入し、クラリティ1台を市民に日替わりで貸し出すカーシェアリング事業に活用している。

車体価格、ステーション数ネックに

 現在、イワタニ水素ステーション山口周南を定期的に利用するFCVは市役所の3台、県庁の1台と事業者7台、個人5台、ディーラー5台の計21台で、そのうち市内は13台。またステーションに隣接する地方卸売市場で使われるFCフォークリフト2台も水素を燃料として利用している。
 当初の市水素利活用計画ではFCVなどの目標数を20年度までに670台としていたが、国が同年度の目標値を全国で4万台と定めたこともあって今年3月に200台へと修正した。しかし現時点では目標が達成できるかは未知数。
 普及が進まない要因と考えられるのがFCVの値段の高さと、県内1カ所、全国でも約100カ所という水素ステーションの少なさ。クラリティのカーシェアリング事業の利用者アンケートでは「乗り心地が良い」「車に不満はない」としながら価格やステーションの少なさを理由に購入へと踏み切れないとする意見が多い。
 しかし国が昨年末に策定した水素基本戦略では、30年度には水素ステーションを900カ所相当に増やし、燃料の水素価格も製造技術確立などで現在の3分の1以下とする目標を掲げており、こうした環境整備が進めばFCVを自家用車の選択肢に入れる人も増えていきそう。
 世界的なガソリン車廃止の動きが進む中、電気自動車へのシフトもみられるが、燃焼してもCO2を排出しないことから“究極のクリーンエネルギー”と呼ばれる水素への関心、期待は高い。
 市は啓発活動のほか各種企業と連携した水素関連ビジネスの創出にも力を入れており、市商工振興課企業活動戦略室室長補佐の重岡保則さん(42)は「FCVは水素利活用のシンボル。普及に向けた取り組みを続けていきたい」と話している。

【今日の紙面】
⑵日本政策金融公庫が飲食店セミナー
⑶山口F.G.、次世代事業部を新設
⑶下松市でふるさと山口企業合同フェア
⑷周南市で船舶模型展始まる

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