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災害対策本部設置せず

【金曜記者レポート】
周南市は死者1人、床上・床下浸水47戸
出動は一部職員

 西日本を広範囲に襲って甚大な被害をもたらした豪雨は5日から8日まで続き、周南市でも死者1人が出る大きな被害を出したが、市は市長を本部長に全職員が配備される災害対策本部は設置せず、一部の職員による第2警戒体制で対策にあたった。大きな被害の発生が予測され、実際に死亡者も出る被害が発生しており、課題が残る対応と言えそうだ。(延安弘行)

新庁舎の防災危機管理課=奥に防災対策室がある

新庁舎の防災危機管理課=奥に防災対策室がある

島田川決壊 9日に県から連絡

 今回の豪雨では5日未明に下松市の気象台の観測所で1時間86ミリの豪雨を記録、その後も周南では大雨が続き、6日午後5時からも59.5ミリに達した。
 この大雨で河川は増水、周南市では夜市川が増水したため6日午後3時に夜市、戸田地区の724世帯、1,690人に避難勧告を出した。続いて島田川の増水で6時20分に三丘地区安田の578世帯1,336世帯にも避難勧告を発令した。ここでは最大500人がゆめプラザ熊毛などに避難した。
 夜市、戸田地区の避難勧告は7日午前8時に解除され、家屋への浸水被害はなかった。一方、三丘地区の勧告は9日午前10時まで続いた。島田川は周南市荒瀬で堤防が決壊、三丘地区で27戸が床上浸水、20戸が床下浸水の被害も出た。
 しかし市防災危機管理課がこの浸水被害の戸数を特定して県に報告したのは9日夕方になってからだった。また堤防の決壊は8日の深夜、県からの通報で初めて知った。
 熊毛地区では7日未明、樋口で土砂崩れが住宅を押し流し、1人が死亡、重傷1人、軽傷2人の被害を出した。避難勧告は土砂崩れが発生、住宅に土砂が迫る事態となった櫛浜地区の栗南にも7日午後2時半に出され、この勧告は12日午前11時半まで続いた。
 このほかにも全域で土砂崩れなどが発生。熊毛地区ではJR岩徳線の線路の路盤がえぐられてレールが浮き、運行再開のめどは立っていない。
 県のまとめで土砂崩れは、県が管理する県道、国道だけで9日午後2時現在で47路線63カ所にのぼり、その中には周南市金峰の国道434号を含め同市内が7カ所ある。
 光市では島田川の氾濫に備えて三井、島田地区の広い範囲の避難勧告を出したが、12日午後2時53分現在で軽傷2人、家屋の半壊3戸、一部破損20戸、床上浸水80戸、床下浸水120戸と被害が広がった。同市は7日午前7時15分に市長を本部長に災害対策本部を設置した。
 下松市は切戸川、平田川、末武川が増水、床上浸水1戸、床下浸水27戸の被害が出た。同市では災害対策本部は設置しなかったが、6日から市長を本部長とする災害警戒本部を設置した。

出動人数把握できず

 周南市の第2警戒体制はAとBがあり、今回はAより強い体制で臨むB。災害時の市の活動をまとめた市地域防災計画では、職員は災害の規模に応じ、ア・配備カ所の職員の一部または全員、イ・本部各班等、応援が必要な場合はア以外の職員の一部とある。
 防災危機管理課の通常の職員は6人だが、応援を得て20人で新庁舎4階の同課と隣接する防災対策室を拠点に活動。同課によると、90部署のうち60部署の職員が出勤し、そのほかにも応援の職員がいたという。
 もちろん、これらの職員はボランティアでなく仕事。ところが同市の全職員、約1,200人のうち何人が活動に携わったか全体を10日現在も把握できていない。
 災害対策本部が立ち上がると全職員が組み込まれ、部署ごとにその役割も明確に指示される。例えば広報戦略課が情報提供班になり、写真、映像などの記録、報道機関への情報資料の発表、記者会見などを担当する。
 今回、避難勧告などの情報は随時、スマートフォンなどで登録できる周南メールで連絡し、ホームページにも掲載した。一方、報道機関への被害状況の情報提供は県を通じて。個別の取材には対応したが、市側からの発表はなく、記者会見も開かれなかった。
 同課では「災害対応のトップが市長であることは災害対策本部でも第2警戒体制でも同じ」で、市長も同課に顔をのぞかせ、状況の把握をしていたというが、各部長を集めての連絡調整会議などは開かれなかった。
 地域防災計画の風水害対策での災害対策本部配備基準は、ア・特別警戒警報が出された時、イ・市全域にわたる災害が発生し、または局地的災害であっても被害が特に甚大である時、ウ・大規模の災害発生を免れないと予想され、市の全組織を挙げて災害対応が必要な時、エ・台風の上陸が明らかである時の四つのいずれかに該当した場合。市は今回、このイ、ウにも当たらないと判断した。
 県内では今回、光、山口、山陽小野田、美祢、防府、柳井、岩国市の7市と周防大島町が災害対策本部を設置した。
 死者は全県で3人だが、そのうち1人が周南市。床上浸水は251戸だが、周南市の27戸は岩国市の138戸、光市の80戸に続く多さ。床下浸水は331戸で、そのうち151戸が岩国市、光市120戸、下松市27戸、周南市の20戸と続く。
 本当に災害対策本部設置の基準でなかったのか、もし設置して全職員が配備についていれば、より円滑に支援、情報収集、各機関との連携などができたのではなかったか。同課では「状況、体制を検証しなければならない」と話している。

【きょうの紙面】
⑶光市の深山浄苑、分断でし尿運び込めず
⑷周南市、14~16日も被災者相談窓口開設
⑷光市民夏季大学延期
⑸徳山小校区見守りタイに帽子とベスト

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