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記者座談会

新人・藤井候補、現職・木村候補 市民の決断迫る

 周南市長選は新人の前県議、藤井律子候補(65)と現職で3期目を目指す木村健一郎候補(66)が21日の投票日に向け、激しい選挙戦を続けている。市民の決断が迫る中、記者座談会で今回の市長選の特徴を語り合った。

・「たまたま」続いた不祥事
  合併してから4回の選挙のうち前回までの3回は元市長の島津幸男氏と木村候補の一騎打ちだったが今回は1月下旬に藤井候補が出馬を決め、現在は市議の島津氏も藤井候補を支持している。藤井候補が出馬することになったのはどうしてだろうか。
  この4年、防災行政無線では設計の問題から工事が遅れ、昨年7月の豪雨災害は死者も出たのに災害対策本部を設置せず、その後の復旧工事も遅れている。そして秋には土木工事の入札情報を落札業者に事前に漏らした疑いで市職員、情報を聞いた疑いで市長の知人の建設会社社長が逮捕され、この元社長は有罪が確定した。
  中心市街地が新駅ビルの完成で注目されても熊毛地域の住民からは「そんな金があるなら豪雨災害の復旧を早く」と悲鳴のような声が聞こえてくる。
  3月には完成予定だった新庁舎の工事も遅れているし、これらは「たまたま」だったんだろうか。市政のつまづきの要因の一つとして旧市町のバランスに配慮したための人事の偏りを指摘する声もある。
  確かに合併以来、副市長は旧新南陽市の職員が就任することが多かったし、職員数では旧徳山市が多いのにその割には部長への登用などが少ないと感じている職員もいるようだ。
  それに木村候補が地域のリーダーや有力な支持者など相談すべき人に相談するなどの「根回し」的なことをしないため、独断が目立つと言われてしまっている。また市民ともひざを交えてじっくりと批判を含めて話を聞く場面が見えない。公開の場で一般市民と真剣勝負の話し合いをする地区懇談会のような場はほとんどなかった。
  真面目で勉強家、威張ることもない人なのに政治家としてのふところの深さという点が問題なのかな。候補自身は市民の意見はしっかり聞いていると言っている。むしろ一部の有力な人の意見で政策が左右されるのもどうかというところはある。長所と短所は表裏だよね。

・頑張っている職員も多い
  藤井候補の決断の直接のきっかけは職員が逮捕されたのに市長を辞任しなかったことだそうだが、伏線はその前、前回の市長選の時からあったという。
  前回も選挙戦の前半までは木村候補がリードしているようには見えなかったが、最終盤で国会議員や県議などが動いて結果としては大勝した。
  この大勝が木村候補の自信から自分でも気づかないうちに心の油断につながり、周囲の職員にも広がったということだろうか。この応援した県議の1人が藤井候補だった。
  今後相談しながら市政運営すると藤井候補に約束したが、一切相談はなかったと言っているが、そのあたりが出馬決意の原因の一つかもな。
  木村候補に油断があったとは思わないが、不祥事が続くとそうとらえる市民もいるだろうね。
  一方で、頑張っている職員が多いことも確かだ。子育てのための施策や福祉の総合窓口設置など全国的に見ても「よくやっているな」と思える事業は少なくない。
  新徳山駅ビルも反対意見を退けて公設民営の駅前図書館にしたが、目標をはるかに超える入館者でにぎわっている。このにぎわいをどう周囲に波及させるかという課題はあるが、担当の職員はたいしたものだと思うよ。これは木村候補の功績に加えるべきだ。
  これに副市長以下の幹部職員にもう少し、泥をかぶってでも根回しに汗を流すとか、市長の目の届かないところへの気配りとか、市長を支える行動があれば、市長が何度も記者会見や議会で謝罪することにはならなかったかもしれないね。
  副市長を中心に職員の仲間意識が強く、不祥事があっても、不問ですませてしまうところがあったね。

・「ちゃぶ台返し」はない?
  藤井候補だが、県議として4期16年間の経験はあるが、市政は初めて。不安視されているがどうだろうか。
  市民のコンセンサスを得ながら施策を立案、実行する人間力という点では大丈夫ではないだろうか。信頼されない人物では4回連続、県議選でトップ当選はできない。政策がないという批判もあったが、この出馬表明から告示までの2カ月でも話す内容が説得力を持ってきたように思う。
  県と市の違いはあっても人口減少、少子化、高齢化対策、新しい産業の育成、中山間地の生活維持など課題はほとんどが共通。しかも市の施策はまちづくり基本計画に基づき、市議会の意見も聞きながら進める仕組みだから、施策の柱は勝手に変えようがないはずだ。
  これまでの施策を充実させながら策定中のまちづくり基本計画後期計画に藤井候補らしさをどこまで織り込むか、「市民の声を生かす」という気持ちを持続すれば独断もないわけだから心配はいらない。
  いわゆる「ちゃぶ台返し」はないというわけだね。でも、それならなぜ、市長を替えなければならないのか、という最初の問題に戻ってしまうよね。
  市長の政策以前の姿勢に加えて初の女性市長を望む声もあるし、合併時の新市建設計画の期間が終わって財政面の特例措置も2018年度でなくなり、周南市の未来を考える良い機会だと思うよ。
  今回は選挙戦も激しくなっているが、選挙戦術では40年間、市議、県議選を勝ち抜いてきた藤井陣営に分がありそうだね。
  公示日にポスターを張るのは藤井陣営の早さが際立った。活動のきめ細かさは県議時代からほかの県議を圧倒していた。
  出陣式では光市の市川市長は木村候補の出陣式に出たが、下松市の国井市長はどちらも出なかった。なぜなのか、こんなことからもさまざまな憶測が広がっている。選挙は恐いね。
  戦術面でリードしても現職はやはり強い。木村候補も告示前に各地区で市政報告会を開いて浸透を図ってきた。見えないかもしれないが、その効果は大きい。
  市長選の結果は下松、光市民も注目している。前回は49.78%で半数が棄権した。投票率が上がってほしいね。
  選挙が終わったあとはノーサイドで、どちらかの候補を応援した人も、応援しなかった人もまちづくりのために力を合わせることが必要だね。
  しこりを残すようではまちそのものがダメになってしまいかねない。まちが一つになって前に進むために力を尽くすことも日刊新周南の役割だからね。

【きょうの紙面】
(3)向道湖マラソン大会に481人
(4)(5)周南市長選立候補者アンケート
(6)「桜を見る会」に周南からも多彩な顔ぶれ
(7)28日まで、銀河鉄道で向道湖のアート展

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