ヘッドラインニュース

一歩踏み込む防犯活動を実践

周南市久米小
110番の家総点検や1人区間洗い出し

 周南市の久米小が一歩踏み込んだ防犯活動に取り組んでいる。学区内の「こども110番の家」を総点検したり、児童が下校時に1人になる「1人区間」を洗い出したり。川崎市で児童ら20人が死傷する無差別殺傷事件が起きるなど子どもが事件や事故に巻き込まれる危険性が増す中、実効性に富む同校の取り組みは教育現場の参考になりそうだ。 (井藤進吾)

市職員から防災倉庫の説明を受ける児童

 「ここは防災倉庫です。発電機や非常用トイレ、非常食を備え、災害時の避難所になります」
 防災倉庫の機能を持つ市久米支所で児童が職員から説明を受ける。
 6月12日、久米小で「防災ウオッチング」が行われた。
 「地下道です。夜の1人歩きはやめよう。大雨が降ると膝まで水に浸かるから通らないように」
 国道2号をくぐる秋本地下道に場所を移し、久米地区自主防災協議会のメンバーがアドバイスする。
 防災ウオッチングは一斉下校の日に合わせ、校区内の避難所や危険個所を見て回る。危険個所は地下道のほか、地震で倒れる可能性のあるブロック塀や大雨で氾濫の恐れのある川など10カ所近くあり、各ポイントで注意点を聞く。防災に限らず、防犯、交通安全の視点を組み入れている。
 久米小は昨年、同校児童見守隊を中心に「こども110番の家」が機能しているかどうかの点検に乗り出した。
 110番の家は学区内に住宅や商店など44軒ある。点検でこのうちの半数近くが空き家になっていたり、世帯主が110番の家に指定されている自覚が薄れたりし、機能していないことが分かった。中でも11軒は110番の家の目印のステッカーやのぼりも見当たらなくなっていたという。
 110番の家は1997年の神戸連続児童殺傷事件を受け、警察庁の主導で制度化された。子どもが不審者に付きまとわれた時などに駆け込み、警察に通報する。緊急避難先として全国に浸透したが、年とともに風化し、有名無実化する傾向が強まっていた。
 見守隊は新たに110番の家を引き受けてくれる住宅や店を探し、44軒のうち20軒を入れ替えて機能回復を図った。
 同校は「1人区間」の洗い出しにも取り組んでいる。新潟市で昨年5月、集団下校で最後の1人になった小学2年の女児が23歳の男に連れ去られ、遺体を線路に放置されて列車にひかれる事件が発生した。
 政府は関係閣僚会議を開き、「1人区間は見守り活動が空白状態」と見て、総合的な防犯対策の強化を促す「登下校防犯プラン」を打ち出した。
 同校は自主防災協議会が主体的に点検に掛かり、全長50メートル以上の1人区間が通学路に数十カ所あることを割り出した。保護者、住民の協力を得て1人区間の重点的な見守り活動を実践している。
 学校の登下校時の防犯活動は一般に教職員や保護者、地域住民による声掛け、付き添い、見守りにとどまる。久米小はこうした基本的な活動に加え、もう一歩踏み込んだ取り組みをしていると評価していい。
 教職員の防犯意識が高い上、自主防災協議会、見守隊のリーダーが活動を引っ張っている。学校と保護者、住民に一体感が築かれ、防犯の実効性を上げている。
 同校は児童525人で市内の小学校の中では規模が大きい。子育て世代の転入で少子化の中にあって児童が増えている。
 郊外型商業施設の出店で市街化が進み、治安の悪化が危ぶまれる。川崎市の事件発生地は都心部から離れた郊外にあり、生活環境が久米小校区と比較的似ている。
 石田勝己校長(58)は「学校単独でやれることは限られているが、保護者、住民と一体となったコミュニティースクールの強みを生かし、広い視野と行動力で子どもたちを守りたい」と話している。

【きょうの紙面】
(3)笠戸島公民館で山下工業所の社員が講演
(4)くだまつ健康パークプールでコスプレ撮影
(5)中村小で防犯訓練、不審者取り押さえ
(6)徳山大の事業で一坂さんが「久坂玄瑞」講演

▼紙面の購読:試読の方はこちら
https://www.shinshunan.co.jp/contact.html
▼電子版購読はこちら
https://www.shimbun-online.com/latest/shunan.html