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「物流はクリエイティブ」

東ソー物流(周南市)社長

佐伯哲治さん (61)

【PROFILE】さえき・てつじ
1957年周南市生まれ。徳山高、九大経済学部卒。81年東ソー入社。
南陽事業所副事業所長を経て2016年から現職。新南陽商工会議所会頭。


 ―常々「物流はクリエイティブな仕事」と言われています。

 物流は荷主から「何をどこにいつまでに届けて」という注文を受けて動く仕事ですから一見、決まり切った仕事の印象を持たれるでしょうが、実は違います。
 注文を受けたら荷の包装、保管法、輸送手段、ルートを一から考えます。安全性や品質の維持、法規制との適合、コスト削減の観点も組み入れ、最も合理的な形態に絞り込みます。その工程は白地のキャンバスに自由に絵筆を走らせる作業で創造性に富みます。
 輸送形態が定まった後も見直しが欠かせません。「カイゼン」を重ね、最適化に近づけます。社員のカイゼン提案は年6,000件に上り、中には輸送船のスクリューの形を変え、船体塗装を変更して数千万円のコスト減につなげた案もありました。

 ―「物流はライフライン」とも述べています。

 物流の工程を細かく分けると単なる作業や事務にしか見えませんが、全体をつなぐと「必要なものを必要な時に」を実現するサプライチェーンでライフラインそのものです。政府も通信やエネルギーと同様に物流を重要な社会インフラに位置付けています。

 ―安全性の確保がかつてない水準で要求されています。

 取扱品の多くは化学製品で危険物や毒劇物、高圧ガスも含まれます。半分以上が海外向けで国ごとの安全規制に対応する高いレベルの管理が求められています。ですが、人手不足や自然災害の増加で安全性や品質管理の維持を難しくさせています。

 ―人手不足は業界を問わず深刻化しています。人員が足りなければクリエイティブな仕事もできませんし、ライフラインの担い手にもなれません。

 少子化に加え、大手製造会社の活発な採用活動の影響で十分に採用できず、退職者の補充をしきれていません。地元だけでは限界があり、県内全域や中国、九州地方に採用圏を広げて募集しています

 ―7月に新独身寮ができました。遠方から人材を集める受け皿に位置付ける考えですね。

 住環境を整えないと人は集まりません。寮は「健康増進」「人間形成」「地域共生」のコンセプトを掲げています。
 健康増進は社員が心身ともに健康でないといい仕事はできません。食事にも気を使い、栄養バランスの取れた食事を提供します。
 人間形成では語らいの場として交流ルームを設けました。昭和時代の学生寮をイメージしました。部屋に引きこもらず、同僚と大いに飲み、大いに語り、人間力を磨いてほしい。
 地域共生では寮生を地元自治会に加入させました。自治会費も納めます。自治会の会合や行事に参加し、住民と交流を深めてほしい。そうすれば会社が地域からどう見られているかが分かります。「地域と共に」。社員は会社が地域に生かされていることを認識しなければなりません。