一言進言

突如「花の乱」

~「驕(おご)る平氏久しからず」を忘れないように~

「桜を見る会」がえらく問題になっている。政策の失敗より重大なようだ。ワイドショー的な話題で、テレビも新聞もノリにノっている。行った人によるとあまりにも人が多くて、芸能人を探しては記念写真を撮ったと話していた。

お祭り騒ぎで、有名人に会えるということで人気があるそうだ。吉田茂首相時代からの行事だそうだが、当時は品格がある大人の集まりだっただろう。名目は各界で功労があった人たちを、時の首相が招待して慰労し、感謝を示すことだった。

それが田舎のおばちゃんやおじさんを集めて、いわばお上りさんの大集合の会になったようだ。招待状を配った議員は、有名人に会わせてくれたと感謝され、次の選挙では、多少の戦力になってくれるに違いない。

実にのどかな景色だ。首相をはじめ、国民みんなが平和ボケして、写真を見るとひとり残らず良い笑顔をしている。こんなことが国を挙げての大事になること自体、平和ないい国かも知れない。香港や韓国の荒れ様を見ると月とスッポンだ。

それにしても藤井律子周南市長まで引き合いに出されて、取り上げられ、いい迷惑だ。昨年の見る会に招待されたそうだが、当時は自民党山口県連の副会長で、県連唯一の女性県議。党県連の総務会長までやった人だ。おばちゃんやおじさんの招待とはちょっと違う感じだ。芸能人も出た出ないで話題になっている。ほんとにいい迷惑だ。

「驕る平氏久しからず」、令和になって「驕る安倍首相久しからず」にならないといいが、ちょっと調子に乗りすぎた感はある。この会を段取りした人たちが軽い。取り巻きが軽いのだろう。安倍首相の人気の高さに有頂天になっているのだろう。あくまで税金を使っていることをしっかり意識しないと、三流国家になり下がる。

いっそ野党の国会議員たちもみんな招待すればよかった。国を挙げての桜を見る会にすればよいのだ。桜の花の下、国民上げて平和な日本を確認しあい、日本の良さを見直そうと叫べば良かった。それなら首相だから、少しぐらいは招待客数の割合を増やしても文句は出ないだろう。「花の乱」はしばらく続きそうだ。

(中島

山間の町に年間90万人が訪れる

~A級グルメの町を創る~

周南市長穂の旧翔北中に年間1千万円、4年間で4千万円を援助、使ってない校舎などの管理を名目にデザイン会社を誘致した。実態はひどいものだった。ほとんどそこで働く人を見ることもなく、最近では校庭は草ぼうぼうだと聞いた。あげくに年間1千万円もの補助金を出しているその会社に、長く地元で活動している会社と競わせて、市広報のデザインを委託した。

クリエィティブな地域が掛け声の事業だったが、担当者にそれを理解する人がいなかったのか、淡々と事業は進められた。4年が過ぎようとしているが、残ったのは古くなった校舎だけに終わりそうだ。若い人が少なくなった地区の草刈りを手伝う社員はほとんど現れなかった。

島根県の山間地域に位置する邑智郡邑南(おおなん)町の町役場に務める寺本英仁さんが、NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で取り上げられたことがある。「AJIKURA」というレストランを成功させ、その後次々と町内にレストランが出店、今や人口1万人の町に、年間90万人が訪れるという。

寺本さんはまず町の特産品を東京で売ろうと試みた。デパートなどへの売り込みに奔走するが、全国の市町村がそうであるように、売り上げとかけた経費が同じと、悲惨な現実を見た。そこで、売り込みに行くより、町に来てもらう発想に切り替えた。レストラン「AJIKURA」は一流のシェフを雇用して、町内産の食材を使って料理を提供、瞬く間に有名店になった。そこに「地域おこし協力隊」などの国の補助金制度をうまく使って、町からの持ち出しを極力抑えた工夫が面白い。

結局、何年か後には、減価償却費を払ってもらって民間に譲渡したが、最初町内に20店舗しかなかったのに、訪れる人が増えてきたことで、40店舗を超えたそうだ。その他「食の学校」「農の学校」など人を育てる仕組みを巧みに作るなど、寺本さんの工夫と努力はまだ続いている。

A級グルメの町として有名になった邑南町に一度行ってみたいが、一人の行政マンが、反省とチャレンジを繰り返した結果、町に変化をもたらした。行政組織の固苦しさは知られているが、やる気のある行政マンに権限と寛大さを与えた町長はじめ行政幹部の英断は、どこから生まれたのだろうか。周南地区でもまだまだいろいろな試みはできる。旧翔北中のような失敗はもうなしだ。(中島 進)