一言進言

どこで市役所は汗をかくのか?

~市民に寄り添う行政を求める~

宣言解除直後、街の居酒屋の前に10数人の若者が集っていた。もう本格的に外出をしているのかと思ったが、まだまだ一部の居酒屋だけで、ほとんどのお店には客の姿はまれだ。街に出ない習慣は定着しているようでもある。テイクアウトを始めた店は周南市だけで200店近いというから、生き残りをかけて懸命なのがわかる。

理美容はもちろん、自動車、印刷、石油、あらゆるところにコロナ禍は襲っている。そんな中、特別定額給付金の本紙の記事は、大きな波紋を投げかけた。「周南市は県外業者に丸投げ」と報じた。何人もの読者から本紙にも驚きの声が届いた。開封作業から、市民からの問い合わせも業者がすべて応じる内容だった。「こんなにみんなが困窮しているのに、どこで市役所は汗をかくのか」と辛辣な反応が圧倒的だった。

下松市や光市は多くの職員が懸命に申請書郵送の袋詰めをして、一日でも早く市民に届けたいと頑張っているとの記事があっただけに、周南市の対応は奇異に感じる人が多かった。特に、書類に不備があれば、委託を受けた印刷業者が直接市民に連絡するとあった。これはまずいと思った。印刷、発送を一括して業者に託す自治体は全国でも多少はある。市民は今回の業務の煩雑さや、難解さはわからない。せめて市民への窓口は行政スタッフが担うべきだ。

光市や下松市ができるのに、職員の数もはるかに多い周南市がなぜできない、と市民は単純に思う。いかに早くできるかを考えて発注したのだろうが、そこに市民の感情を想う想像力が欠如していた。説明も市民感情を害するだけになっていた。今回の件で、あの大きな災害になった時の、災害対策本部を立ち上げなかった周南市の体質を思い出した。対策本部があっても災害は防げなかったかもしれないが、市民の感情を感じ取る感性がなかった。

市長の発案ではなかったと議会でわかったが、行政マンたちと市長の思いが一致する難しさも感じた。サービス業などにせっかく他市より数段と手厚い給付をいち早く進めてきた周南市だけに残念だったが、何とか修正して、3市ともに給付のめどがつきそうだ。

何もかも初めての体験で、事務方の苦労も大変だが、市民にとって頼れるのは行政だけだ。そのために市役所がある。火災の時に消防署だけが頼りなのと一緒だ。市民に寄り添うということは、今回のような事案の時にくっきり現れる。保健所の職員の残業が総じて100時間を超えて、中には200時間を超える人もいた。よくないことだが、戦争時と言われるほどの事態だ。市役所挙げて取り組む姿勢に、市民は全幅の信頼を置く。

(中島