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周南市議選で投票できず

憲法保障の参政権が不行使に
新型コロナウイルス感染症防止対策

 利用者数が50人以下のため施設内で投票できない小規模な高齢者入居施設で、新型コロナウイルス感染症対策が強化されて以降、入所者が投票できない事態が続いている。7日投開票の周南市議選(定数30)でも「投票したい」というグループホームの入所者の意思に、施設側が「外出禁止」を盾に応じなかった。憲法が国民に等しく保障する参政権の行使へ、行政側と施設側の対応改善が求められる。(山上達也)

入居50人の病院、施設内で投票可能

 病院や老人ホーム、障害者支援施設、保護施設で、おおむね50人以上の入居(入院)者がいる施設は、都道府県選管の指定を受けて不在者投票を受け付けることができる。
 指定には施設が市区町村選管を通じて都道府県選管に申請することが必要。山口県選管は「収容人員が50人以下の施設でも、不在者投票の執行や管理の機能があると認められれば、指定している例がある」という。

3市の小規模高齢者施設に800人

 しかしグループホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など小規模高齢者施設の大半は県選管の指定を受けていないため、入所者は施設内で投票ができない。
 周南3市では48施設があり、入所定員の総数は798人。実に3市で800人近い人たちが少なくとも施設内で投票できず、今回のコロナ騒動のようなことがあれば投票したくてもその機会を奪われることになる。
 周南市内のグループホームに入所中の女性(85)は、7日投票の周南市議選で家族の送迎で投票所に行こうとしたが、施設側がコロナウイルス対策で外出を許可しなかった。女性の家族は女性の投票意思を実現させてほしいと施設に何度も要請したが外出は認められず、女性は投票できないままだった。
 女性は取材に「投票したい候補者がいたのに、投票できなくて残念。私の外出でウイルスを(施設の)中に持ち込んだらと思うと、投票をあきらめるしかなかった」という。

小規模施設でも施設内投票へ申請を

 ではどんな改善策があるのだろうか。
 50人以下の小規模施設であっても、施設内で投票できるように施設側が県選管に申請することはできる。投票管理者や投票立会人を選任し、必要な準備や事務処理が可能な施設なら問題ない。
 市区町村選管も移動型の期日前投票制度を活用し、希望する各施設を職員が回って入所者の期日前投票を受け付ける対応が可能だ。
 実際に山口市ではワゴン車で山間部の集落を巡回する移動式の期日前投票制度を導入している。このやり方で希望する小規模の高齢者施設を回る形だ。
 入居先や自宅で投票用紙に記入し、郵便で市区町村選管に送る「郵便投票」の制度も改善が必要だ。
 現状では郵便投票ができる人は要介護5の人や重度の障害を持つ人に限られているが、要介護5は身の回りのことがほとんどできない人。郵便投票の対象者を要介護5~3あたりまで広げて、郵便投票の制度を幅広く使えるようにすべきだ。


憲法が保障する国民の参政権を最優先に

 県選管は取材に「病院や施設での不在者投票は病気や負傷で歩行困難な人や、歩行は可能でも自宅がある自治体以外の施設の入院、入所者のためのもの。コロナウイルス対策では特段の対応は考えていない」という。
 しかし投票率をアップさせようと啓発活動を展開しているのは、各自治体の選管自身ではないのか。そして選挙の主役は有権者自身のはずだ。
 その有権者には心身の状態でいろんな境遇の人がいる。どんな境遇であっても最大限に投票の機会を保証するのが選管の役目。選管には今一度、憲法が保障する国民の参政権の行使のあり方を再考するよう求めたい。
 施設側にもコロナウイルス対応を最優先するあまり、入所者の投票の機会を奪うことのないように、釘を刺しておきたい。

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