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先を見据えてベトナム進出

誠宏(周南市)

代表取締役社長

福 田 欣 司さん(39)

【PROFILE】ふくだ・きんじ 1981年生まれ。周南市出身。

―赤外線カメラを使った建物の外壁調査を手がけておられますね。

 通常、マンションなどの大きな建物の調査では、建物全体に足場を組み、人が外壁をたたいて調べていきます。当社は、地上から建物に向けて赤外線カメラを照射し、カメラがとらえる温度をみて外壁の状態を把握します。

―なぜ外壁調査が必要なのですか。

 建物本体を保護するためのタイルやモルタルは、年数の経過とともにひび割れや剝離が生じます。剝落の事故防止と資産価値維持のため修繕が必要になりますが、実際の修繕作業前に劣化した部分を特定する目的で調査をします。

―カメラでの調査のメリットは何ですか。

 まず、経費の安さがあげられます。足場を組んでの人による調査は資材費や人件費が発生しますが、赤外線カメラの調査ではこれらが生じないためコストを抑えられます。次に、作業員は地上にいるだけなので、マンションでは住人のプライバシーへの配慮がいりません。
 カメラはオーダーメイドで操作や取り扱いも特殊なので、技術面でも当社独自の強みにもなっています。

―カメラでの調査を始めたきっかけを教えてください。

 長く建物の耐震調査と工事をメインの業務としてきました。ただ、国の政策である耐震化の助成がいずれ終了することを見越し、次の事業の柱として赤外線カメラを使った外壁調査の方法を採用しました。おかげさまで、10年間実績を積んでまいりました。
 トンネル内コンクリートの剝離診断や屋上防水シートの劣化診断、住宅の省エネルギー断熱診断など、様々なシーンで好評をいただいています。

―将来を見すえての経営判断ですね。

 マンションの数にも限りがありますが、建築基準法で10年に一度外壁の定期点検が義務付けられていて、リピートしていただけるお客様にも支えられております。
 さらに、外壁に関連した公共工事の入札へも積極的に参加しております。現状維持では仕事が先細りになると考え、常に先を読んで手を打つようにしています。私も社員も必要な免許や資格を取得し、会社全体の技術力と知識の向上を図っております。

―海外からの技能実習生の受け入れも積極的です。

 主に左官の経験があるベトナム人が外壁改修工事の現場で日本の技術と工法を学んでいます。
 現在、地元の化学メーカーと共同で、工事用材料と工法について強度を高める研究開発を進めていますが、ゆくゆくは実習生にもその技術を身につけてもらいたい。帰国した実習生が活躍できる場として、現地での合弁会社設立も進めております。

―地元から海外への大きな一歩です。

 ベトナムはインフラ整備が進んでいますが、日本で培われた安全な工法や技術は現地の工事現場でも大きな需要があると思います。
 縁あってこの周南で学び一緒に仕事をした仲間はかけがえのない存在。日本を離れた後も彼らを応援することによって、周南で生まれた技術を海外に広められたらうれしいですね。