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市川氏、1,800票差で4選

追いすがる磯部氏振り切る
「組織」が「風」を僅差で制する

光市長選 両候補の論戦かみ合わず

光市議選 共産2議席維持できず




 任期満了に伴う光市の市長選と市議選(定数18)は25日に投開票があり、市長選では自民、公明両党と連合山口が推薦する現職の市川熙氏(73)=光井=が、前市議の新人、磯部登志恵氏(61)=室積松原=を1799票差で振り切って4選を果たした。市議選は現職と元議員、新人各1人が涙をのんだ。投票率は市長選が63.61%で前々回の66.7%より3.09ポイント下がった。市議選も63.61%だったが前回の58.43%より5.18ポイント伸び、接戦に持ち込まれた市長選が市議選を引っ張った形になった。当日有権者数は両選挙とも42,729人▽投票者数は市長選が27,178人、市議選が27,179人。市長、市議とも11月14日から新しい任期が始まる。

 市長選は4選を目指す市川氏以外に立候補の動きがなかった中、告示1カ月前の9月18日に出馬表明した前市議の磯部氏が市川氏にどう迫るかを焦点に展開された。2人の政策論争がかみ合わないことから、選挙戦は「組織」対「風」の戦いという構図になった。
 市川氏は自民党、公明党、連合山口を3本柱に戦い、光市選出の自民党の河野亨県議も全面支援。市議選の候補者13人も市川氏の支持を鮮明にして「市議は○○、市長は市川」と呼びかけるアベック選挙を繰り広げて幅広い浸透を図った。
 磯部氏は自身が会長の光年金受給者協会や磯部氏と親交の深い周南市の藤井市長に近い周南市議や同市長の後援会関係者の支援で戦った。これら支援者による選挙戦術の細かいサポートは、短期決戦の磯部陣営を盛り上げる大きな力になった。
 一方、市議選は新人8人中7人が当選。1位の公明党の仲小路悦男氏、3位の武田薬品労組の小林隆司氏、6位の27歳の西村慎太郎氏、7位の中村譲氏は10位以内に入り、12位は34歳の清水祐希氏。17位の幸福実現党の早稲田真弓氏、18位の日本維新の会推薦の西崎孝一氏は、共に前回の落選を乗り越えて雪辱を果たした。
 半面、2議席維持を目指した日本共産党は新人の岩根洋志氏が次点に泣き、同党の議席は再選された現職の田辺学氏1人になった。
 現職では2位の森戸芳史氏ら8人が前回より得票を増やし、8位の河村龍男氏ら3人が得票を減らした。

「両市立病院守り、災害に強いまちを」
市川候補 4期目に意欲いっぱい

万歳する左から河野県議、能美会長、万智子夫人、市川氏、原田本部長、福島事務局長

 「やった!市川市政を守ったぞ」―4選を果たした市川熙候補の光井の選挙事務所では、午後11時15分にテレビ局の当選確実が報じられると、支持者約30人が万歳を繰り返して喜びを爆発させた。
 事務所には西村憲治市議会議長や、下松市の国井市長や中村隆征市議会議長、柳井市の井原健太郎市長、自民党の河野亨県議、公明党の上岡康彦県議、光商工会議所の藤井勝会頭をはじめ、周南市の田村勇一、福田吏江子、古谷幸男市議も訪れて開票を見守った。
 当確の報を受けて市川候補や万智子夫人、後援会の能美龍文会長や原田健久選対本部長、福島正事務局長らが壇上で万歳を三唱。
 市川候補は「大変苦しく、皆さんにご心配やご苦労をおかけした選挙戦だった。当選は私の政策を信じていただいた市民の皆さんのおかげ。公約を着実に実行し、両市立病院を守り、災害に強いまちづくりに取り組む」と力強く語った。

「市民の力を自分の力に」
磯部候補 惜敗に前を向く言葉も

磯部候補(右)と山下和恵後援会長

 磯部登志恵候補は午後11時10分、支持者が集まる室積松原の選挙事務所に来たが、その5分後、テレビのニュース速報が市川候補の当確を伝えると落胆のため息が広がった。
 「清水の舞台から飛び降りて」出馬表明をしてから1カ月。惜敗に「僅差まで押し上げてくださった市民の力を誇りに感じる。この力を自分の力にしていきた」と振り返った。
 市川候補には「職員を大切にし、いい仕事ができる環境を作ってほしい」と求めた。政治活動は「白紙」だが、今後の取り組みには「暮らしやすいまちづくりへ、自分なりの活動をせいいっぱいやっていきたい」と前を向いた。


新人7人当選!

「困っている市民の声を届ける」
トップ当選の仲小路候補

万歳で当選を祝う仲小路さんら

 引退する公明党の森重明美さんの後継として出馬した仲小路悦男さんは最多得票で初当選し、同党の議席を守った。浅江の選挙事務所で上岡康彦県議や支持者ら11人と万歳で祝った。
 長年、学習塾と家電修理業を続けてきたが8月中旬に出馬を決めた。この時は同じ自治会の住民が手を叩いて出馬を喜んでくれたという。妻の恭子さんは「66歳で新たな道を選んだ夫の意思を尊重して、応援してきた」と当選を喜ぶ。
 選挙戦を通じて様々な人からの応援を実感したという仲小路候補は「家電の修理や販売を通じて様々な相談を受けた経験を生かして、市民の困っているという声を聞き、市政に届け解決していく」と意気込んでいる。

「若い力で市民のために」
最年少で当選の西村候補

当選を喜ぶ西村氏ら

 今期で市議会議員を引退する父、西村憲治議長の後継者として市議選に臨んだ西村慎太郎候補は最年少での当選。
 選挙事務所で支持者を前に、選挙活動を振り返り「地域を回っているとご年配の方からも、若い力で頑張ってというあたたかい声をいただきました。そういった人たちのためにも、これからも一生懸命に勉強し市民のために働きたい。今からがスタート」ですと述べた。
 母の寿美さんの音頭で憲治さんと並んで万歳を三唱。今後は、選挙に向けて活動する中で年配者から要望を求める声を聞いた「デマンド型乗合バスの実現」や議会の傍聴で紙の資料の多さに驚いたことから「資料のウェブ化・議会のIT化に取り組んでいきたいと」話す。

地盤継承なく初当選
若い力結集の清水候補

当選を祝い万歳する清水さんら

 新人の中で唯一、継承する地盤を持たない清水祐希候補は千票を超える得票で初当選を決め、選挙事務所で若い支持者らと万歳をして当選を喜びあった。
 選対本部長で弟の清水喬太さんを始めとする若い支持者たちにとっては初めての選挙戦。一人でも多くの市民に清水祐希の名前を知ってもらおうと走り回り、日に日に支援者が増えていくことが陣営のやる気にもつながった。
 「地元である島田地区の方々に支持いただいたことと、若年層の票を獲得出来たことが結果に繋がった」と感謝し、税収増など掲げた公約だけではなく選挙期間中に聞いた市民の様々な要望にも積極的に応えていきたいと今後の活動に意欲を見せた。

「次世代のための政策推進」
早稲田候補・幸福の県内2議席目

当選を祝い万歳する清水さんら

 幸福実現党公認で2回目の立候補になった新人の早稲田真弓候補は、前回より314票多い849票を獲得して初当選を果たした。
 早稲田候補の当選で同党は県内では下松市議の山根栄子さんに続いて2議席目を確保した。中国5県では3議席目、全国では39議席目になる。
 和田町の早稲田候補の自宅の選挙事務所には支持者約20人が集まり、得票が800票を超えると「よし、間違いない」と、松岡清司後援会長の発声で万歳を繰り返した。
 「GIGAスクールの推進や若者の就職サポートなど次世代のための政策を進めたい」と意欲を話し、河井美和子党県本部代表や山根下松市議から花束を贈られて目頭を熱くしていた。


解 説

3市連携の今後に暗雲?

 こんな複雑奇怪な選挙戦は珍しい。この選挙戦ほど「郷に入っては郷に従え」ということわざの意味が現実味を持つ選挙戦はなかった。
 4選を目指す市長選の市川熙候補に挑んだ新人、磯部登志恵候補の選挙戦は周南市からの助力なしは盛り上がらないものだった。
 磯部氏は9月17日に西村憲治市議会議長や本紙記者など複数の報道機関の記者に「市長選には出ない。市議選に出る」と明言したが、その数時間後に市長選出馬を明らかにし、ほぼ同時にすでに準備していたと見られる出馬宣言の画像をユーチューブにアップした。このことで磯部氏は他の市議や報道機関の信頼を失い、自身の主張を市民に伝える手段を自ら弱くしてしまった。
 その穴埋め役が磯部氏と付き合いの深い藤井周南市長に近い人たちや周南市議の応援だった。期日前投票に異常なまでの力を注ぎ、高校生の有権者にも積極的な支持を呼びかける徹底した選挙戦術の伝授は、磯部陣営のすそ野をかつてなく広げる役目を果たした。
 半面、期日前投票に積極的に取り組むなど、光市ではなじみの薄かった選挙戦術は、磯部氏を長年支えてきた地元支持者に違和感を抱かせることにつながった。
 藤井市長自身は特定の候補への支援を否定するが、関係者の応援が周南3市の市長連携に今後、影響を及ぼさないか、懸念される。
 一方、市川氏は最後まで「攻め」をあきらめなかったことが、磯部氏の追撃を振り切る力になった。しかし市川氏が記者会見で「この選挙戦で8年ぶりに会う市民が多い」と話したことは日常活動の不足を自ら認めた形。ここが磯部氏が勝機を見出す市川氏のすき間だったのかもしれない。
 それにしても市長を3期12年務めた市川候補が、ここまで磯部氏に追い上げられたことは、今後の市政運営をより市民に寄り添うものにしていく課題が市川氏に突き付けられたと言えるだろう。
 市議選は新人が7人当選し、議員全体の約4割を占めることになった。議会内でどんな新風を吹かせるか、西村議長の下で進められた議会改革が、新人の新風に乗ってさらに推進、深化していくかが注目される。正副議長がともに今期で議員を引退したので、議長選に向けた動きも活発になるだろう。
 市政は市民のもの。選挙では候補者と共に市民も試される。この選挙で市民が託した願いを当選者がどう受け止めて市政に反映していくのか、一票を投じた市民は静かな視線を送り続けるだろう。(山上達也)



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