一言進言

19億円詐欺の謎!

~何が彼女をそうさせたのか~

会えば必ず数日以内に感謝の葉書が届いた。丁寧で上品な物言いで、決して押しつけがましい勧め方をすることもなかった。何よりも断られることで嫌な顔をするわけでもなく、むしろ熱心に顔を出すことに精を出した。彼女は瞬く間にトップセールスの座に就いた。

彼女は多額の詐欺で告発される身となった。彼女を知る人は一様に驚いた。「なぜ、あの人が」と。何年前だったか、彼女は第一生命のセールスウーマンの鏡だった。それは多くの顧客が集い、第一生命の幹部も周南を訪れ、大きなお祝いのパーティーが催されたことで、多くの人が知った。

彼女と何回も会ったが、彼女が国内で有数のセールスウーマンになった秘密を探ろうと、いろいろな話を聞いた。ある団地に越してきた子づれの家を訪れたら、困っていることを聞き、手書きで周辺のお店情報の地図を作って持って行った話とか、親戚が生保を扱っているからと一言で断られても、毎月一回は顔を出してあいさつだけしていたら、数年後、先方から「親戚と関係が悪くなったから」と呼び出されて成約になった話など、実に楽しい話が続いた。

医師の顧客が多かったが、年収3千万円だとか、破格の高給取りの社員だった彼女がなぜ?と誰もが耳を疑った今回の騒動だった。19億円ものお金を集めたが、対象が20数人と聞いても驚かない。彼女が話せば信用しただろう。私の周りにも何人か信用した人はいた。しかし、第一生命がそのほとんどを弁済するとなって、なぜかほっとした。

「30%の利息が付く」と言ってお金を出させたわけだから、れっきとした犯罪で許されるものではない。いろいろな話を聞くと、どうやら彼女は神戸あたりの新興宗教にのめり込んだ節がある。だましたお金はその宗教団体にほとんど捧げたのかも知れない。それなら彼女の行為に納得がいく。数年前から変な感じだったらしい。

何年も前からその宗教団体の話は聞いたことがある。周南では信者がそこそこいるのは知っていた。私の推測でしかないから、不確かなことだが、オウム真理教も私の身近なところで信者がいた。本も何冊かもらった。心の隙間に入り込むことは、今の時代、容易なのかも知れない。あの彼女にも心の隙間があったのかも。

(中島