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「徳山大学は地域の財産」

選ばれる大学へ、課題も
公立化有識者会議が終了

職員の説明を聞く委員


 周南市の徳山大公立化有識者会議(会長・榊原弘之山口大学教授、10人)が予定されていた5回の会議を2日に終了した。今年度中に報告書を藤井市長に提出する。一昨年の市長選で藤井市長が公約に掲げたことから始まった徳山大学の公立化。会議の議論では必要性とともに課題も明らかになった。市が最終的にどう判断するか、新たな段階に入った。(延安弘行)

求められる市の「覚悟」


 会議の委員は公立化についての専門家と市内の高校長、徳山、新南陽商工会議所の会頭など。9月から5回の会議では徳山大学の現状、徳山大学がまとめた将来構想、看護学科、情報科学部の新設、公立化の経済波及効果、経営収支の見通しなどを話し合った。
 最終回の第5回は公立化のメリット、課題、市や徳山大学への意見を出し合った。榊原会長は、①徳山大学は地域の財産②公立化は徳山大の救済策ではなく、大学という財産をまちづくりに生かすことが目的で、成功させるためには市としての覚悟が求められる③一方で、リスク評価が不可欠④情報を開示し、市民とともに考えることが必要、という4点では委員の意見は一致していると指摘した。最後に藤井市長があいさつして公立化について「来年度の早期に決定したい」と述べた。

「大学を生かしたまちづくり」


 この日、委員が意見を出し合う前に、事務局の市企画部の職員が「大学を生かしたまちづくりの方向性―公立化についての市の考え方」(案)と、公立化から4年目までの収支の赤字に対する市の財政負担について説明した。
 「市の考え方」では、市の現状認識として「徳山大学は地域の財産、地域になくてはならない高等教育機関(県東部唯一の4年制大学、千人を超える若者による賑わい創出、年間18億円の市内経済波及経過など)」と明示。
 大学を生かしたまちづくりの方向性として、シンクタンク機能の発揮など、大学を「地域の成長エンジン」とした地方創生▽若者定住による地域人材循環構造の確立▽若者によるまちの賑わいの創出をあげた。
 市の財政負担では、4年目までに9億5,100円の負担が必要だが、新学部、新学科の設置と学生数の増加で収入が増え、7年目までに回収でき、その後は施設の改修などに向けて積立が可能になるという見通しを改めて示した。

公立化で「市民の大学」に


 委員からは課題として、新学部、新学科のための教員確保、公立化当初の財政負担、交付金に依存するため国の政策に運営が左右されること、近隣に類似の学部・学科ができることによる競争の激化、少子化による18歳人口の減少などがあげられた。「公立化する前の自由度がある、私立のうちにできることを進めるべきだ」と体制づくりなどの提言もあった。
 公立化によって“オーナー”となる市長のリーダーシップや市の役割の重要性、ビジョンの明確化、選ばれる大学にするための魅力ある教育プログラムの必要性、産業界と市、大学の3者の連携の“見える化”を求める意見もあった。現在、市は周南市立の大学とする考えだが、県や広域連携も課題としてあげられた。
 長期的視点に立ち教育レベルを維持するための「哲学」と、少子化など社会情勢の変化の中での学生の確保策を求める意見や、将来的に大学同士の合併や、授業料、国の交付金以外の収入確保策の必要性にふれた委員もあった。地元からの若者の入学者を増やす一方、世界から学生を受け入れることや生涯学習の場とすることも大切という考えも示された。
 論議の中で、新学部、新学科が構想の通り、早期に開設できるのか、全国の大学が学生を求めて競争する中で、若者に魅力ある、選ばれる大学になるのか、課題は少なくないことがわかってきた。
 一方で、公立化の必要性、効果も明らかになってきた。その効果の一つが市民に市の方針を明らかにし、市民の意見を聞き、市民の大学にできること。将来に向けては若者だけでなく、多くの市民が学び、まちづくりの“知恵袋”や、時には実行主体として市民と手を携えて進む姿が5回の会議を通して見えてきた。今後、市議会や市民への説明も日程にのぼってくる。論議の発展、広がりを望みたい。

【きょうの紙面】
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