一言進言

アナログ世代排除する国家

~デジタル世代が席巻する世の中~

新型コロナウイルスは変異株が登場して全国で爆発的な感染拡大になった。東京五輪も中止の声が高まり、無観客でなどますます不透明になった。オリンピックのため血を流すような苦闘をしてきたアスリートたちの気持ちを想像すると、賛否を軽々しく言えない。しかし、無観客でテレビの画面だけで、声援もない中の競技は日本で開く意味がなくなる。私が中学生のころ、白黒テレビの前で東洋の魔女たちの試合に、手に汗を握って応援していたのを忘れない。今でも彼女たちの顔を鮮明に覚えている。

ワクチン接種がどんどん進んできた。前に書いたように全国のお年寄りのイライラが増している。自治体の中には80歳以上からなど順番を決めて、イライラが起こりにくい工夫を考えるところもあった。今回最も際立ったのがアナログ世代とデジタル世代の分断だった。ネットが当たり前の人たちが接種業務を遂行している。これから10年間ぐらいがその過渡期になるだろう。

あらゆる情報がネット上で処理される時代は近くやって来るだろう。パソコンもスマホも持たないアナログ世代は、時代に取り残され、情報難民の世界に入る。まだそこそこの人数がいるが、10年後20年後にはごく少数派になる。これも前に書いたが、アナログ世代をこれだけ馬鹿にしたような施策をしていると、きっと地方自治体の首長はしんどい選挙をしばらくは経験するだろう。

選挙に行くのは今の世の中、圧倒的にアナログ世代の人たちだ。投票に足を運ばないのは圧倒的にデジタル世代だ。投票方法もそのうちインターネットでできるようになるだろうが、それまでの間、アナログ世代からの怒りを受ける。私の住む団地は約100所帯あるが、そのうち約40所帯は独居世帯だ。彼ら彼女らが一人寂しく、電話機の前で接種予約の電話をかけ続けている姿が目に浮かぶ。かけてもかけてもつながらない電話機の前でどんな不安な気持ちを抱いているか、想像力を働かそうではないか。

ある新聞に論評があった。老人たちは子や孫に感染させたくなくて、出歩くことを極力控え、我慢してきた。だからワクチン接種に異常なくらい固執するのだと。早く子や孫に安心して会いたい一心で電話をかけ続けている。ネット予約だと確実で早いと聞けば聞くほどつらくなる。

今度、国が開設する大規模接種会場はすべてネット予約だ。国家単位でアナログ世代の排除に向かった。アナログ世代は「つながり」を大切にする世代だ。デジタル世代は「速さ」を大切にする世代だ。デジタル世代が世の中を動かすようになって、アナログ世代は1票を投じる以外、抵抗する術がなくなった。

(中島