一言進言

エチレン噴出で危険な産業道路発覚

~発展の影を直視しよう~

日曜日の朝、知人から電話があった。「新幹線が止まっている。何か高架下で事故があったみたいだ」。すぐ会社に電話して取材を始めた。新幹線の高架下で工事中にガスが噴き出しているようだ。新幹線も急きょ止めて調べているとのことだった。驚いたことに、原因はエチレンの噴出だという。あらためて石油コンビナートの街だと気が付いた。

周南市は戦後、石油コンビナートの街として国内有数の地域となった。1964年、出光佐三社長の提案で「和のコンビナート」結成がなされた。もちろんトクヤマ、東ソーとの三者での結成だった。その年12月、パイプライン完工式で、佐三氏の弟で出光石油化学社長の計助氏は「パイプ1本で結ばれ親子、夫婦より密接な関係になる」と団結を誓った。その後は日本ゼオンが進出、仲間入りを果たし、日鉄ステンレス(日新製鋼)などともつながって行った。

出光からは、重油やエチレンなどを複数のパイプラインで各企業に燃料や原料として供給してきた。重油は現在ストップしているが、それによりトクヤマなど効率的な原料供給で、新たな製品を開発、世界でも名だたるコンビナートとして発展を遂げてきた。各社をつなぐ産業道路はそれらパイプラインを埋設、未だに役立っている。

エチレン供給用パイプが、地表からわずか10数センチのところに埋設されていたのは、今回初めて知った。そもそもパイプラインが産業道路の地中に埋まっているのも意識することが無かった。たまたま水道工事でパイプを破損したが、今まで事故が無かったのが不思議なくらいだ。と思っていたら、半年前トクヤマの正門前で、しばらく道路の真ん中に赤い標識が立っていたが、聞くとそれも破損はしなかったが、道路工事でパイプが傷つき、その修復のためだったという。

「和のコンビナート」完成時は、今のような60センチ以上深く、などパイプの埋設基準もなく、産業道路はまさに、産業界専用の道路として認識されていたのだろう。今回出光からの図面で工事をしたと周南市は言っている。出光側は常に工事をするたびに通知してもらっている。立ち合いもその都度している、と言い分は違うが、なにせ約60年前の工事だ。施工図を水道工事業者に渡したからと言う行政の想像力のなさはいかがなものか。

全長9キロにわたり危険なパイプが埋設されている産業道路は、常に点検はしているだろうが、もう一度県も交えて検証すべき大切な案件だ。今回引火しなかったから言い分もまかり通るが、もし引火していて、その上を新幹線が通っていたらと想像したら、血の気が引く。今後、産業道路の水道工事や、道路工事を請け負う会社はいなくなる。県と市と企業は早急に検証すべきだ。地中のどこを通っているか調べる機械は無いのか。

(中島