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「却下」…もっと温かい言葉を!

[記者レポート]

介護度の認定変更文書に
厚労省の標準様式が原因

周南市長名の「却下」通知書



 「もっと温かい言い回しを使って!」―市区町村長名で発行する介護保険の要介護認定・要支援認定の通知書で、現在の介護度からの変更(区分変更)を求めたものの認められなかった場合は、理由欄にただ一言「却下」と記される。まるで門前払いを想起させる冷たい言い回しだが、これは厚生労働省が各自治体に示している標準様式に沿った表現のようだ。筆者の母親(86)に届いた通知書をもとに実態に迫ってみた。(山上達也)

非認定は「却下」「非該当」

 介護保険は介護保険法の規定に沿って「要介護」「要支援」とも1~5度の等級があり、市区町村の介護保険審査会の審査で決定される。結果は1回目の申請の場合、認められれば「結果通知」▽認められなかった場合は「非該当通知」が申請者に発行される。
 区分変更は認定を受けている間に心身の状態が変化した場合に、等級の変更を求めるもの。認められた場合は「結果通知」▽認められなかった場合は「却下通知」を発行する。
 筆者の母親は要介護2で周南市内の高齢者施設に入所している。6月1日に区分変更を申請したのに対して、同30日付で藤井市長名の「却下通知書」が息子である筆者に送られてきた。
 却下とは本来、官庁や裁判所が申請や訴願を取り上げずに差し戻すことを指し、申し立てや提案を受け付けないことを意味する。
 行政に対する異議申し立てが却下されることは門前払いを示すもので、刑事訴訟の場でも「移送申し立ての却下」「証拠調べ請求の却下」など、訴訟手続き上の求めを退ける場合の法律用語として使われている。

担当職員も「冷たいね。何とかしたい」

 本来は最大の温かさが求められる高齢者福祉の現場で、なぜこんな無味乾燥で冷厳な「却下」という言葉が使われるのだろうか。
 周南市高齢者支援課の担当者は筆者の指摘に「厚労省の標準様式に沿った書き方。すぐにどうこうはできないが、今後どうするかはあなたのご意見を踏まえて研究したい」と話した。
 下松市介護保険課の担当者も「職員の間では却下という言葉に“冷たいね。何とかならないだろうか”と声が上がっていた。理由欄に“却下”としか書けないのもつらい」とこぼしている。
 光市高齢者福祉課でも「却下は全国一律の表現」と説明。3市とも好んで「却下」という言葉を使っているのではないようだ。しかし厚労省の壁を乗り越えてまで改善しようという動きも感じられない。
 厚労省の標準様式は市区町村に対する金科玉条なのだろうか。市区町村レベルでもう少し親切な「理由」は書けないものだろうか。
 福祉の現場は厚労省ではない。現場の声、高齢者の心をどこまで温かく包み込めるか、それが高齢者福祉の原点だ。この「却下」という言葉を介護認定の手続きの文書にいつまで使い続けるのか。少なくとも周南3市から改善が進むことを期待したい。

【きょうの紙面】
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