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「現代の名工」に大谷さん(日立笠戸)

下松・鉄道車両製造に高い技能 精密加工、3次元曲面に発揮
 卓越した技能を持つ人を賛える今年度の厚生労働省の“現代の名工”に下松市の日立製作所笠戸事業所車両製造部台車課主任、大谷時博さん(54)=光市千坊台=が選ばれた。表彰式は21日、東京の明治記念館で開かれる。

受賞を喜ぶ大谷さん

受賞を喜ぶ大谷さん

 現代の名工は最高水準の技能労働者を表彰するもので、今年度は県内からは大谷さんと山口市の高山造庭園の高山昭俊さん(69)の2人、全国では160人が受賞する。県内の受賞者は計59人になった。
 大谷さんは1981年に聖光高機械科を出て同社に入った。父親も日立製作所の関連会社に勤め、8歳の時、父に連れられて笠戸工場(現笠戸事業所)に来た日立のショールーム列車「日立ポンパ号」を見て、鉄道に関心がわいたという。
 入社後、35年間のほとんどは車両製造部で鉄道車両の製造に従事。数値制御(NC)フライス加工やマシニングセンタによる精密機械加工に精通し、鉄道車両の台車のような大型で複雑な溶接構造物の機械加工や、新幹線の先頭形状のような3次元曲面の機械加工で優れた技能を発揮する一方、さまざまな改善活動にも取り組んで鉄道車両の先頭構体パネル加工法を確立した。
 現在は約100人の若手作業員を部下に持ち、2013年に創意工夫功労で文部科学大臣表彰、14年に優秀技能者で県知事表彰を受けた。昨年は同事業所でただ1人、全社でもわずかしかいない技術者最高の称号“工師”に認証されている。
 仕事の信条は「安全で安心して働ける職場づくり」と「段取り8割、仕事2割」。「これらがうまく組み合わさらないと仕事は進まない」と話す。
 受賞に「会社の幹部や同僚の皆さんのバックアップがあってこそ。ものづくりのさらなる発展を願いたい」と喜び「製造する側に誇りや喜びがないと楽しく幸せな仕事はできず、そこからいい製品も生まれない。自分で考え、判断し、行動することからいい仕事は生まれる。それを若い人に伝えていきたい」と話している。

「それでも 走れ!おばさん」出版

祝賀会にファン170人が集結
 周南市有楽町の詩人、中村光子さんが「日刊新周南」で連載を続けている「走れ!おばさん」シリーズのうち2001年からの掲載分をまとめた「それでも 走れ!おばさん」の出版記念祝賀会が12日、築港町のホテル・サンルート徳山で開かれ、170人ものファンが集って祝った。

あいさつする中村さん

あいさつする中村さん

出版された本

出版された本

黒神さんの発声で乾杯する参加者

黒神さんの発声で乾杯する参加者

 出席者はさまざまな分野で活躍する中村さんらしく多様な顔ぶれで、呼びかけ人を代表して空手指導者で三松会周南支部長の豊田澄江さんと草炎を主宰する俳人の久行保徳さんが軽妙なスピーチでたたえ、黒神公直さんの発声で乾杯した。
 豊田さんが指導する空手の仲間たちの演武や寸劇、高段者の女性たちが模範演武も披露し、女性たちのサルビアバレーボールクラブの掛け声、うたごえ喫茶風な参加者全員の大合唱などもあり、終始会場は笑いに包まれた。
 中村さんはたくさんの人たちの励ましで出版できたことに感謝し、最後はシタールの演奏をバックに自身の詩を朗読した。
 本はB6判172ページ。2年間の86編を掲載時のイラスト入りで載せている。定価1,000円で、中村さんや新周南新聞社で扱っている。電話での注文も受け付けている。このほかの呼びかけ人は次の通り。(敬称略)
 和田實(周南市体育協会顧問)高原佳子(サルビアバレーボールクラブ代表)中村節子(詩誌らくだ編集同人)小野英輔(徳山商工会議所会頭、同級生)中島進(新周南新聞社社長)

産業道路東進へ蛇島架橋案

周南・産業道路東進へ蛇島架橋案 3市県議と4商議所意見交換 守田会長「課題解決へ連携強化」
 周南、下松、光市選出の県議会議員八人で作る周南地域振興協議会(守田宗治会長)と徳山、新南陽、下松、光商工会議所との意見交換会が14日、周南市のホテル・サンルート徳山で開かれ、事業が止まっている周南市の産業道路の東進問題は県議、商議所双方で協力して解決を目指すことを申し合わせた。

あいさつする守田会長

あいさつする守田会長

 意見交換会は毎年1回開き、この日は県議8人と各商議所の正副会頭や専務理事、事務局長、総務課長計21人が出席した。守田会長は「周南地域の課題を党派を超え、商議所の皆さんのお力をお借りしながら解決したい」とあいさつした。
 新南陽商議所からは県道下松新南陽線の早期4車線化▽光商議所から都市計画道路瀬戸風線、川園線の早期開通▽下松商議所からバルク戦略港湾の推進▽徳山商議所から産業道路の東進問題やザ・グラマシーのコンベンション機能停止問題の解決などの要望が出た。
 徳山商議所からの産業道路東進は守田会長が「市のまちづくりで取り組まないと解決しない。市の声が聞こえてこない」と指摘し、小野英輔会頭、堀信明副会頭も「東進が止まっている日本ゼオン付近から沖合いの蛇島(さしま)経由で鼓海まで橋をかける構想へ地元企業が要望を出して実現に取り組むべきだ」と話した。
 上岡康彦県議が構想の図面化を求めると小林和子専務理事は東進の結論が出ていないため「東進自体の計画が残ったままだ」と説明、東進の是非の結論を急ぐ必要性を訴えた。
 この日の要望は同協議会が年末に村岡知事に提出する要望書に反映させる。

教育でふれあいの森なんでも工房

周南から1団体と15人、県選奨・各分野で功労
 今年度の県選奨の受賞者に54人と5団体が選ばれた。周南、下松、光市からは周南市須々万のふれあいの森なんでも工房(西林稔会長)と15人が受賞する。
 県選奨は自治、芸術・文化・スポーツ、社会福祉、社会活動、教育、保健衛生・環境、産業分野の功労者を知事が顕彰するもの。18日に山口市の県庁正庁会議室で選奨式が開かれる。
 ふれあいの森なんでも工房は教育功労での受賞。村田真博事務局長らがボランティア活動で2001年に設立し「元気な子ども・元気な大人を育む森」をテーマに須々万の「ふれあいの森」で活動し、拠点となるログハウスも建設した。
 年間を通じて子どもを対象に野外活動や竹トンボなどものづくり、食事づくり、冒険遊びなどの体験活動と、大人向けに絵画や陶芸、工芸などが楽しめるようにし、子どもと大人の交流の場になり、海外学生ボランティア研修生も受け入れている。
 このほかの周南3市の受賞者次の通り。
 [周南市]神代政和さん(67)=市明るい選挙推進協議会長▽佐藤幹恵さん(77)=統計調査員▽浅原安子さん(73)=民生児童委員▽原田茂さん(78)=県酒造組合会長
 [下松市]神田忠二郎さん(67)=元県監査委員▽金井道子さん(73)=写真家▽野田忠義さん(73)=県サッカー協会名誉会長▽川谷孝夫さん(80)=ひらきの里理事長
 [光市]秋枝正文さん(70)=県ソフトテニス連盟副会長▽池田芳晴さん(74)=民生児童委員▽小西輝保さん(71)=市消防団長▽吉原清香さん(70)=市交通安全指導員▽松村寿太郎さん(70)=元市医師会長▽浜本朝秋さん(75)=元県指導漁業士▽有沢久さん(67)=元県建築士事務所協会理事

「水素社会実現へ立場を超えた取り組みを」

水素エネルギーフォーラムに230人
 水素エネルギー普及の機運を盛り上げようと「イワタニ水素エネルギーフォーラム周南」が11日、周南市築港町のホテル・サンルート徳山で開かれ、水素関連の先進的な取り組みをしている企業担当者や経済産業省職員などが講演し、県内外の自治体や関係企業などの230人が聞き入った。

講演する川村課長補佐

講演する川村課長補佐

 岩谷産業の主催、市の共催。フォーラムは約10年前から毎年、主に東京、大阪で開かれてきたが、中四国では今回が初めて。同市には同社と㈱トクヤマで作った山口リキッドハイドロジェンの液化水素製造工場や岩谷産業が運営する水素ステーションもあることから決まった。
 まず市水素利活用協議会会長の稲葉和也山口大学大学院教授が人口15万人規模の市で水素利活用モデルを構築することは全国の地方都市に広げることにつながると解説。水素は製造や輸送など全体を見ると必ずしも低炭素にはならないため、市の液化水素製造工場のカ性ソーダ由来の副生水素は「水素サプライチェーンを構築する上で現実的な選択肢の一つ」と述べた。
 次に特別講演で資源エネルギー庁新エネルギーシステム課水素・燃料電池戦略室の川村伸弥課長補佐は「水素社会の実現に向けた取組」と題し、燃料電池自動車は現在の約千台から2030年までに累計80万台の普及を目指し、25年ごろには販売価格を平均200万円にしたいと説明。水素ステーションも現在の78カ所から30年には900カ所にする整備目標を示し、再生エネルギー由来の水素導入の取り組みも進んでいるとしながら「各事業者の立場を超えた取り組みが大切になってくるのではないか」と話した。
 そのあとはトヨタ自動車の三谷和久さんが「トヨタが目指す水素社会」、東芝の大田裕之さんが「再生可能エネルギー由来水素がもたらす新しいソリューション」、川崎重工業の山本滋さんが「水素エネルギーサプライチェーンの実現に向けた川崎重工の取り組み」の演題で特別講演してそれぞれの現在の取り組みや展望を説明した。

石丸さん(周南市)に県文化功労賞

「大津島から」で叙情豊かな絵画世界
 今年度の県文化功労賞の受賞者に周南市の洋画家で国画会会員の石丸康生(こうせい)さん(61)ら6人と1団体が選ばれた。表彰式は15日午前11時から山口市の県庁正庁会議室で開かれる。

石丸さん(県提供)

石丸さん(県提供)

 今回の受賞者は石丸さんのほか、萩市の陶芸の中村真一さん(69)、下関市の音楽指導の松浦美彦さん(62)、山口市の邦楽の阪井春玲さん(76)、狂言の土村広隆さん(76)、一般文化部門で秋吉台の植物の記録、紹介を続けている中沢妙子さん(77)と萩市の萩美術協会。
 石丸さんは多摩美術大学卒。高校で美術を教えながら1993年から国画会の国展などに出品し、現在は同会会員。2004年には県芸術文化振興奨励賞を受賞している。
 精力的、創造的に活動し、ここ10数年は生まれ故郷の大津島をイメージの原点とする「大津島から」のシリーズを発表しており、この連作が「白を主調色に抽象性に富み、叙情豊かな絵画世界を創出している」と評価された。

子育てサポート企業に東ソー認定

東ソー・子育てサポート企業に認定 育児休暇実績やガイドブック作成
 仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組む「子育てサポート企業」の認定(通称・くるみん認定)に周南市に南陽事業所を置く総合化学メーカー、東ソーが選ばれ、7日、山口市の山口労働局(小松原正俊局長)で認定通知書が交付された。

左から小松原局長、畑部長、高木課長=山口労働局提供

左から小松原局長、畑部長、高木課長=山口労働局提供

 子育てサポート企業は次世代育成支援対策推進法に基づき、男性の育児休業取得者がいること、小さい子どもがいる従業員の勤務時間短縮措置など9つの認定基準を満たすと認定され、県内では18社目。
 東ソーは従業員3,419人、うち女性304人。2014年8月1日から16年7月31日までの2年間の取り組みとして、男性63人が育児休暇を取得し、女性の育児休業取得率は100%。妊娠・出産・育児ガイドブックを作って社内広報誌で周知、希望者に配った。
 また全社で午後8時以降の残業を原則禁止、朝型勤務を導入するなど働き方改革を推進し、リフレッシュ支援休暇を全社員に周知した。会社見学会や工場見学会に2,502人が参加、144人のインターンシップも受け入れた。
 7日は南陽事業所の畑道規総務部長、高木謙勤労課長が訪れ、小松原局長から認定通知書と“くるみん人形”を受け取った。

「来巻元気ポタージュ」完成

ニンニク入りでクリーミー「来巻元気ポタージュ」 20日の下松市農業公園秋祭りで販売
 下松市来巻で作られた“来巻にんにく”を使った新しい特産品「来巻元気ポタージュ」が完成し、8日、市役所で国井市長らにお披露目して試食会が開かれた。20日に来巻の市農業公園で開かれる同公園秋祭りで販売する。

完成を喜ぶ国井市長ら

完成を喜ぶ国井市長ら

完成した来巻元気ポタージュ

完成した来巻元気ポタージュ

 このポタージュは市や下松商業開発、下松商工会議所、くだまつ観光・産業交流センターなどの市都市農村・共生対流推進協議会(会長・清水信男市経済部長)が開発したもの。
 2012年のくだまつ特産品開発プロジェクトの来巻にんにくを使った特産品&レシピコンテストのレシピの部で市長賞を受賞した米国出身で笠戸島江の浦のメリット・ブルースさん(57)の作品をベースに改良を重ねた。
 市農業公園では来巻地区特産のニンニクのブランド化を図っており、これまで焼き肉のたれやニンニクみそを開発していて、今回で3つ目の製品になる。
 製造はたれ、みそに続いてポタージュも平生町の丸三食品(銭広正孝社長)に委託している。ニンニクの香ばしさとジャガイモ、タマネギ、ナガネギ、セロリ、パセリを煮込んで出した“とろみ”がほどよく、クリーミーな舌触りが人気を集めそう。
 試食した市長は「うまい」と何度もうなずき「これで下松を全国に売り込みたい」と意欲を見せた。
 180グラムのレトルトパック入りで、値段は税込み500円。20日以降の販売先は今後検討する。問い合わせはくだまつ観光・産業交流センター(0833-45-1192)へ。

子育て支援へ“ほっと”できる場所

子育て支援へ“ほっと”できる場所 チャイルドハウス「ひなたぼっこ」がNPO法人化にめど
 子育てに悩んでいる母親や子どもがほっと一息できる場所を作り、さまざまなアプローチで子育てをサポートしていこうと、光市のチャイルドハウス「ひたなぼっこ」(原田幸子代表)がこれまで土曜だけだった活動を4月から水曜も加えて放課後にも利用できるようにするなどし、活動を充実させている。

原田代表

原田代表

 同会は2014年5月に発足して市総合福祉センター・あいぱーく光を拠点に活動を始めたが、昨年から市の元気なまち協働推進事業やソロプチミスト日本財団の支援も受け、活動の場を島田6丁目の原田さんの実家だった民家に移した。今年度はNPO法人化を目指して取り組み、来年1月までに認証される見通しになっている。
活動中の子どもとスタッフ

活動中の子どもとスタッフ

 スタッフは保育士や福祉施設の元職員、元教師など7人。主に光、下松市の自閉症や不登校、情緒障害などの子どもと母親を対象にして、一緒に遊んだり、母親の相談に応じて子育てを支援している。
 活動日は水曜と第2、第4土曜。土曜は午前9時、水曜は午後1時から午後5時半まで。一人々々の子どもを大切にし、遊んだり、おやつを食べたり、下松スポーツ公園などへの“お出掛け”やクッキングデー、サツマイモの栽培、収穫などの農作業、音楽療法の体験などもあり、多様な内容で「ちょっと一息つける」場にしている。
 今後はさらに活動日を増やしたい考えで、活動の内容はフェイスブックでも発信している。参加費は半日が500円、1日が1,000円、入会金1,000円。見学も歓迎している。
 問い合わせは原田さん(090-7546-1739)へ。

句集「外交官・松岡洋右の俳句」

句集「外交官・松岡洋右の俳句」 松岡満寿男さんが発行 「戦争抑止、アジア団結に奔走」
 光市室積出身で戦前の第2次近衛文麿内閣で外務大臣を務め、日本の国際連盟脱退や日独伊三国同盟、日ソ不可侵条約の締結など重要な局面を担った松岡洋右(1880~1946)の句集「外交官・松岡洋右の俳句」が、洋右のおいの長男にあたる元衆院議員の松岡満寿男さん(82)=室積=によって出版された。(山上達也)

句集を持つ松岡満寿男さん

句集を持つ松岡満寿男さん

 この句集は満寿男さんが理事長だった旧満鉄(南満州鉄道)社員や満州引き揚げ者の扶助組織、満鉄会が今年三月に解散した際、国立国会図書館に寄贈した資料の中にあった雑誌「公論」に洋右の句160首を見つけたことから。日記代わりになっている俳句に「戦争抑止、アジア団結への必死の奔走が読み取れる」と出版を決めた。
 洋右は室積の回船問屋の四男として生まれ、実家の没落を機に13歳で渡米し、苦学しながら篤志家の援助でオレゴン州立大学を卒業。外務省に入省して外交官として17年勤務し、41歳で退官して衆議院議員に山口2区から2回当選。満鉄総裁を経て外相になった。
 しかし軍部のフランス領インドシナ進駐に反対したため近衛内閣から追放され、結核も悪化、戦後、A級戦犯に問われた極東軍事裁判(東京裁判)の開廷から間もない1946年6月に66歳で死去した。
 満寿男さんは34年満州生まれ。戦後は苦労して引き揚げて室積で小、中、高校時代を過ごし、早稲田大学政経学部を卒業。光市長だった父の三雄氏の死去を受けて71年、新日鉄を退職して36歳で市長になり、3期務めた。
 その後国政に転じ、自民党や日本新党、新進党から参院議員2期、衆院議員1期。細川護熙内閣では日本新党代表幹事として与党8党のまとめ役となった。
松岡洋右

松岡洋右

 洋右の句は日独伊三国同盟成立後の41年3月21日から4月22日まで外相として満州からシベリアを経てモスクワ、ベルリン、ローマを外遊した際に詠んだもの。
 たまたま満寿男さんの句が掲載された俳句誌を見た衆議院前議員俳句会の会長で元衆院議長の田村元さんが満寿男さんを句会に誘って「君は松岡洋右の一族なのだから洋右の句集を出してはどうか」と勧められた。ちょうど洋右の句が「公論」から発見された時でもあり「公論」の句を中心に洋右の句集を出版することになった。
 3月には東京国際大学の福井雄三教授の「松岡外交が実現していれば日米開戦はなかった」とする「よみがえる松岡洋右」(PHP研究所)が出版されるなど、近年、国内外で洋右の研究、再評価が始まっている。
 福井教授は国家の崩壊と運命をともにした人物であるだけに負のイメージが強い洋右について、東京裁判の直後に亡くなったため自己の立場を陳述する機会がなく「死人に口なし」で「すべての罪を松岡へ」という暗黙の合言葉がA級戦犯たちにあったことを近衛文麿の「近衛手記」などから紹介している。
 満寿男さんは「この国の復興に尽くした政治家たちの五七五は現在の我々が忘れている何かを示唆してくれるのではないか」と句集の出版を急いだという。
 句集は2部構成で、第1部は「大空に道なき道をみつけけり」「欧亜しきるウラルこゆるや雪の中」「両雄の握手せし地や雪深し」など公論の145句▽第2部は41年7月以降の22句で「さみだれや針一本の命かな」「悔いもなく怨もなくて行く黄泉(よみじ)」などの句があり、各所にモスクワ再訪、日ソ中立条約成る、大連より飛ぶ、皇都帰着などと入って歴史をともに歩いているような編集となっている。
 満寿男さんは「洋右も外交で苦労した。国の栄枯盛衰は外交一つにかかっている。今の政治家も先人の句集から何かを学んでほしい」と話している。
 1,800円(税別)で、東京四季出版からネット販売されている。