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文化基金賞で最優秀賞

山口放送・ラジオ番組「メロディーの向こうに」7月9日に特別放送
 放送文化の発展へ優れた放送番組を表彰する第43回放送文化基金賞の受賞作品が発表され、番組部門ラジオ番組で周南市の山口放送制作のラジオ番組「メロディーの向こうに~童謡・唱歌の世界」が最優秀賞を受賞した。

授業する山田さん=山口放送提供

授業する山田さん=山口放送提供

 今年の同賞には全国の民放、NHKなどから計277件の応募、推薦があり、番組部門はテレビドキュメンタリー、テレビドラマ、テレビエンターテインメント、ラジオの4つで、それぞれ最優秀賞、優秀賞、奨励賞が贈られる。7月4日に東京のホテルオークラ東京で授賞式がある。
 「メロディーの~」は3月26日放送。親子の愛情や命の大切さ、日本語の美しさなどの思いが込められた童謡、唱歌を子どもたちに広める活動をしている萩市の至誠館大学元教授の山田真治さんや、周南市出身の詩人で童謡「ぞうさん」などを作詞し、母校の徳山小の小学生を前に思いを届けた故まど・みちおさんなどを通してメロディーの向こうにある世界を探っている。
 「てらうことなく正面から取り上げて、関係者たちの証言も交えて紹介する。きまじめな態度が、聴取者の心を揺さぶる」と評価された。
 同番組を制作した大谷陽子ディレクター(45)は「童謡、唱歌は時代を生きた大人が人生を表現し、感性をぶつけた質の高い芸術であることを知ったが、音楽の教科書から少しずつ姿を消し、歌われる機会も減ったことは寂しく思う。改めて貴重な日本の文化として長く歌い継がれてほしい」と話している。
 同社は受賞を記念して7月9日午後1時から同番組を特別放送する。1時間。

木造校舎群を教育遺産に

【金曜記者レポート】周南市・地域の誇り伝える施設、休・廃校10校残る
 全国的に少子化のため休廃校する小中学校が増加、その校舎や跡地利用が課題となっている。その中で周南市では今では見ることも少なくなりつつある木造校舎が10校も残っている。負の遺産として見られがちだった木造校舎群だが、市ならではの“教育遺産”として生かす道はないのかを探ってみた。
(延安弘行)

休校11校、廃校も10校
 光市でも1960年代に統合による廃校があったが、校舎が残っているのは2005年に廃校になった牛島小だけ。下松市ではこの3年ほどの間に笠戸島の小学校3校と深浦中が廃校になったが、校舎は公民館や江の浦小は郷土資料展示室「島の学び舎」として利用されている。深浦中は体育館は残っているが、校舎はすでに撤去されている。
 これに対し、周南市の休校中の学校は分校を含めて11校、廃校になった学校も長く休校だった鹿野地区の小学校を含めて2000年以後だけで10校を数える。
楽々谷(ささだに)、大田原小も
 休校中の11校のうち通学する児童、生徒がいないための自然休校は大津島中、大津島小だけで、9校は再開するめどはなく、跡地などの利用が決まらず、そのまま校舎が維持されている側面がある。
 このうち長穂小は市の公共施設再配置計画の中で新施設用地とすることが検討されている。しかしそのほかの八校は具体的な計画はない。
 そのうち木造校舎は小畑小、四熊小、中須小、須磨小峰畑分校、久米小譲羽分校の5校。大向小と須金中、中須中は鉄筋コンクリート造りになっている。
 最近、廃校になった10校では、校舎が新しかった大道理小は改修して向道支所などの大道理夢求の里交流館、翔北中は周南マンガヴィレッジに生まれ変わった。金峰小は跡地に金峰杣の里交流館が建てられ、渋川小は校舎の一部も使ってしぶかわ工房などになっている。
 大島小は借地だったため更地にして返却、長穂中跡は市有地だが、更地のまま。仁保津小も講堂が残っているだけ。木造校舎が往時のまま残っているのは向道湖ふるさと芸術村として使われている向道中、校舎の一部を地域で使っている粭島小、それに鹿野地区の大潮小の3校となっている。

大田原自然の家

大田原自然の家

旧粭島小の校舎

旧粭島小の校舎

旧楽々谷小の校舎

旧楽々谷小の校舎

旧楽々谷小の二宮金次郎像

旧楽々谷小の二宮金次郎像

中須小の校舎

中須小の校舎

向道湖ふるさと芸術村

向道湖ふるさと芸術村

四熊小の校舎

四熊小の校舎

中須小の校舎

中須小の校舎

小畑小の校舎

小畑小の校舎

 このほか廃校からかなりの年月がたっている学校では、須金地区の1970年廃校の楽々谷小の校舎が市の倉庫として使われ、校庭には二宮金次郎像や高村坂彦市長が題字を書いた「学び舎の跡」の碑も残る。
 大田原小は中須小大田原分校になったあと大田原自然の家として82年から使われているが、同施設は一部が土砂災害特別警戒区域になっているため早期の移転が計画されている。
景観、規模も多彩
 まとめると木造校舎が残っているのは小畑小、四熊小、中須小、須磨小峰畑分校、久米小譲羽分校、楽々谷小、大田原小、大潮小、粭島小、向道中の10校。校舎が造られた時代や規模、外観も違い、2階建ての校舎もある。
 海辺に立つ粭島小、錦川近くの向道中や楽々谷小、山間の大田原小、進藤兼人監督の映画「石内尋常小学校 花は散れども」の撮影にも使われた大潮小と、景観もそれぞれ特色がある。1校ずつが懐かしさを感じさせるだけでなく、校舎群として見れば近代教育のあり方や各地域の特色を伝えている。
 例えば各校ごとに、楽々谷小なら錦川の開発、粭島小はフグ漁や北洋漁業にも進出した粭島の歴史、四熊小は四熊小出身の教育者、水井文吉、大潮小は映画関係などをテーマに展示室を設ければ、地域の誇りとなるだけでなく、市外からも人を呼べるかもしれない。
 市教委では休校中の小中学校の校舎・跡地について「市長部局とも連携したい」と昨年度から庁内に検討委員会を設置し、地元との話し合いも進めていく方針。いずれも老朽化が進んでいるだけに市民ぐるみで民間の知恵も生かし、夢のある活用方法を早期に見出してほしい。

女王のお召し列車に

「クイーン・エリザベスⅡ」と命名、日立笠戸製列車に「快適、早かったわ」
 下松市の日立製作所笠戸事業所(川畑淳一事業所長)で英国向けに製造された鉄道車両「クラス802」が13日、ロンドン市内を走るエリザベス女王のお召し列車に使われ、快適な乗り心地に女王は「クイーン・エリサベスⅡ」と名づけられた。“下松発”の日立車両の技術がお墨付きを得た形で、英国を拠点とした日立のビジネス展開に追い風が期待される。(山上達也)

「クイーン・エリザベスⅡ」の前で命名に喜ぶ正井常務(左)とボズウェル社長=日立製作所提供

「クイーン・エリザベスⅡ」の前で命名に喜ぶ正井常務(左)とボズウェル社長=日立製作所提供


175年前の国王初の列車旅と同日に
 日立は英国鉄道省から高速鉄道車両866両を受注し、76両は完成品として、残りは英国の工場で内装や組み立てをするため半完成品で出荷する。これまでに約300両を下松第2公共ふ頭から送り出している。
 下松側で製造と輸送が順調に進む一方、英国では今年秋からの営業運転に向けた準備が進む。今回のお召し列車の運行はそのデモンストレーションで、1842年6月13日にビクトリア女王が英国王として初めて列車で旅をしてから175年後の同じ日に、同じ区間でエリザベス女王が追体験した。

女王が正井常務らに直接ねぎらい
 運行区間はウインザー城近くのスラウ駅からロンドン・パディントン駅までの約40キロ。関係者によると女王は「快適でとても早かったわ」と上機嫌で、その場で正式にこの列車を「クイーン・エリザベスⅡ」と命名した。
 お召し列車が到着するパディントン駅には日立製作所の前笠戸事業所長の正井健太郎執行役常務や、現地法人の日立レールヨーロッパのカレン・ボズウェル社長が出迎え、女王から直接、ねぎらいの言葉を受けたという。

パディントン駅に停車した「クラス802」=日立製作所提供

パディントン駅に停車した「クラス802」=日立製作所提供


英国の新高速鉄道受注の追い風に
 正井常務は「我々が設計、製造した車両が英国で受け入れられることは大変意義深い。車両の安全性が高い評価を受けたことが、きょうにつながった」と感激。電化区間と非電化区間が混在している英国の鉄道に配慮して電気でもディーゼルでも走れるハイブリッド仕様になっていることに女王は高い関心を示したという。
 エリザベス女王自らの命名は、日立がドイツのシーメンス、カナダのボンバルディア、フランスのアルストムと競っている英国の新高速鉄道「ハイスピード2」の受注へ追い風にもなりそう。下松市内外の日立の関連企業に波及効果も期待される。
 関連企業31社の日立笠戸協同組合の弘中善昭理事長は「エリザベス女王からのお墨付きに感激した。各企業とも異なる分野で長い歳月をかけて継承、洗練させてきた技術を持っている。日立を源流とするものづくりに一層精進していく」と話している。

徳山西I.C.からソレーネへ

立ち寄っても料金同じ 7月15日から一時退出実験
 山陽自動車道徳山西インターチェンジ(IC)からの乗り降りを自由にし、周南市戸田の道の駅「ソレーネ周南」への立ち寄りを可能にする国土交通省の「一時退出実験」が7月15日から始まる。全国では3カ所目、西日本高速道路管内では初めての取り組みで、ソレーネ周南に高速道路のサービスエリアと同等の機能があることから実現した。

ソレーネ周南

ソレーネ周南

 この実験は、全国の高速道路のうち休憩施設の間隔が25キロ以上ある約100区間で、これを半減させることを目指す。全国的には群馬県の関越道の高崎玉村スマートIC近くの道の駅「玉村宿」で5月27日から始まり、愛知県の新東名道の新城 
の道の駅「もっくる新城」で6月24日から始まる。
 ソレーネ周南は国道2号沿いにあり、大型車両の駐車スペースが確保され、観光情報などを入手できる情報発信コーナーやレストラン、軽食コーナー、24時間営業のコンビニエンスストアや直営物産店があり、電気自動車用のEV充電器も設置され、ガソリンスタンドも隣接していることから選ばれた。
 対象車はETC2.0搭載車。徳山西ICから出た車がソレーネ周南に立ち寄り、1時間以内に再流入すると、目的地まで高速道路を降りずに利用した場合と同じ料金になる。実際に立ち寄ったかがわかるよう、ソレーネ周南の入り口付近にETC2.0の送受信機を設置する。
 例えば下関ICから岩国ICまで自動車道を利用し、途中、徳山西ICで降りた場合、料金は普通車のETC2.0利用で下関IC~徳山西IC間の2,710円、徳山西IC~岩国IC間の1,650円を合わせて4,360円になるが、この実験では降りずに利用したのと同じ3,850円になる。このため道の駅でも広域的な利用者増が期待されている。

がん患者支援へウオーク

リレー・フォー・ライフ参加者募集 9月16、17日・周南市陸上競技場
 がん患者などを支援するチャリティー活動の『リレー・フォー・ライフ・ジャパン2017やまぐち』(新周南新聞社など後援)が9月16、17日、周南市陸上競技場で開かれることになった。がん患者や支援者が夜を徹してトラックを歩き続け、がん関連のワークショップや演奏会などのイベントも開くもので、参加者やボランティアスタッフなどを募集している。

リレーへの参加を呼びかける船崎さん

リレーへの参加を呼びかける船崎さん


 リレー・フォー・ライフは米国で始まり、日本では2007年に兵庫県芦屋市で本格的な活動がスタートした。目的はがんを乗り越えて今を生きる患者と家族や支援者、患者の遺族などをたたえ、支えることと、亡くなった人の追悼、がんの早期発見の啓発、あわせて患者の支援活動のための募金活動もしている。
 10年目となった昨年は日本対がん協会などが主催して全国49カ所で開かれ、県内では周南市のライフスタイル協同組合代表理事の船崎美智子さん(59)を実行委員長に昨年10月に初めて美祢市であった。
 この時は秋吉台国際芸術村に300人が集まり、24時間歩き続けるリレーには15チームが参加し、17万2,469円を研究のため医師を海外に派遣する活動や新薬の開発のために寄付した。
 今回の周南市での開催も船崎さんが実行委員長を務める。船崎さんの市職員だった夫の克巳さんは、胃がん、肺がん、肝臓がんを次々に発症して七年半の闘病のあと昨年2月に58歳で亡くなった。
 リレー・フォー・ライフは克巳さんの生前から県内でも開きたいと話し合い、亡くなる前年には広島市で開かれた大会に夫妻で参加していたことから実行委員長を引き受けた。
 船崎さんは父母もがんで亡くしており、この活動を通じて「検診率アップを呼び掛けるとともに患者について伝え、話し合える場を作りたい」と話している。
 9月16日は午後2時からオープニング。一晩、リレーを続けて夜明けを迎え、17日午前11時がフィナーレ。トラックの周囲にルミナリエと呼ばれる高さ40センチ、幅20センチほどのメッセージを記した紙製の灯ろうを並べ、夜はその中に明かりを灯す。
 サバイバーと呼ばれるがんの経験者、患者、家族や医療関係者、一般市民など誰でも参加でき、チームに入っていなくても時間内の都合のいい時に訪れて歩くことができる。
 交流のためさまざまなイベントもあり、昨年の美祢市ではトークショーや金子みすゞの詩の朗読、オカリナ演奏、マジックショーなどをした。シンボルカラーの紫色のTシャツなどグッズも販売した。
 今回の開催に向けて実行委員や、会場の設営、ルミナリエの設置など当日のボランティアスタッフ、参加チーム、メッセージのルミナリエを募集中。
 参加協賛費はサバイバー、高校生以下は無料、そのほかの人は500円。随時、ホームページで情報を発信しており「リレーフォーライフ山口」で検索できる。山口市の県予防保健協会内にある実行委員会事務局の電話は080-8230-4165、FAX083-923-5567。
昨年の美祢市でのリレー

昨年の美祢市でのリレー

昨年の美祢市でのリレー

昨年の美祢市でのリレー

ルミナリエが並ぶ会場=昨年の美祢市

ルミナリエが並ぶ会場=昨年の美祢市

市長、副市長1カ月減給

【周南市議会】防災行政無線工事の遅延で、工事費の増額も可決
 周南市が整備を進めている防災行政無線と無線LANの整備工事が約半年遅れている問題で、市は木村市長と住田英昭副市長を1カ月間減給10分の1とする議案を15日の市議会で提案し、企画総務委員会(岩田淳司委員長)での審議を経て全会一致で可決された。
 遅延は当初の設計に不備があったためで、設計の見直しに伴って7,560万6,000円を増額する補正予算もすでに可決されている。この日は工事請負契約の金額を5,654万7,720円増額して12億4,454万7,720円にし、当初の2018年10月末までの工期を19年3月25日までに変更する議案も提案、可決された。
 企画総務委では減給の議案について市長に出席を求めて質疑があった。市長は「市長として大変申し訳なく思っている。具体的な形で示したいと思い、けじめとして減給をお願いする」などと説明。当時の担当職員だった企画総務部長、総務部次長兼防災危機管理課長に厳重注意を考えていることや、副市長の減額については職員全体の監督責任を有するという立場からだと理由を述べた。
 採決は全会一致で可決され、その後に減給議案に対して「今後、実施設計業者の責任に対する行政側の対応を明確に示すこと」「今回のような設計変更による工事遅延問題などの再発防止へ行政組織としての改善策を明確に示すこと」を求める付帯決議案も提出されて全会一致で可決された。
 この日の議会では一般会計補正予算案などあわせて14議案を可決。2件の陳情を採択し、現行の高額療養費制度、高齢者の窓口負担の継続、介護保険制度の現状維持を求める意見書採択を求める陳情は賛成少数で不採択▽国民宿舎湯野荘に対して現行の観光施設としての形態の存続などを求める陳情は可決した。
 議案の審議はこの日までで、会期末の22日は申し合わせで1年ごとに改選している正副議長などの議会人事がある。

全国5番目の安さ

【金曜記者レポート】下松市の水道料金、恩恵大きい東洋鋼鈑の上水購入
 人口の減少が続く県内で唯一、増加している下松市。公共料金の中でも同市の水道料金は県内ではけた違いに安価で、全国813市区でも5番目という安さ。転入者は子育て世代が多いが、上水道料金の安さは家計にはうれしい。2027年まで現料金を維持する方針を示している同市の上水道料金の安さの根拠と今後の見通しを探った。(山上達也)

御屋敷山浄水場

御屋敷山浄水場


 同市の上水道は末武川などを水源に市内のほぼ全域に給水し、年間配水量は2016年度で1,455万3,250立方メートル。上水道料金は1立方メートル79.74円の給水単価が基本。平均家庭の1カ月の使用量(13ミリ口径で20トン)で比較すると周南市のほぼ半額、光市の約7割となる。
 これを維持できている要因は東洋鋼鈑下松事業所が上水を工業用に大量購入している▽浄水場が高所にあり、自然流下配水率が高い▽コストのかかる地下配水池の建設を見送ったことが挙げられる。
 中でも東洋鋼鈑による大量購入は大きいが、これは同社が製造する鋼板やハードディスクの洗浄には一般の工業用水ではなく、飲料水用に浄化した上水が最適なため。15年度の需要用途別の給水量では工業用が全体の53.8%の716万8,000立方メートルで、うち90.6%の649万2,000立方メートルを同社が購入している。
 周南市は約14万5,000人、下松市は約5万7,000人と人口は2.5倍の差があるが、販売水量はともに1,300万立方メートル台で、人口に対する販売水量が多いことがわかる。

浄水場の高所立地、地下配水池見送りも
 浄水場が高所にあることで配水にかかる動力が省力化されていることも大きい。周南市の大迫田、菊川浄水場や光市の林浄水場は一度、ポンプで高所にある配水池に送って配水しているが、1957年に完成した下松市の御屋敷山浄水場は標高43メートルの丘にあり、給水量の75%は自然流下で配水している。
 圧力ポンプの燃料代がかからず、市上下水道局の白木正博局長は「自然条件を巧みに生かした先人の知恵」と話す。
 地下配水池の建設が検討されたこともあったが、2000年に就任した井川成正前市長はコストが高過ぎると判断、建設にこだわる当時の水道局長を事実上、更迭してまでして建設を見送り、3年後に地下配水池に比べてコストが8分の1ですむテント式配水池2基を建設して需要を満たした。
 さらに浄水場業務や水道料金収納の民間委託も進めてコストダウンを図っている。

浄水場や老朽管の耐震改修が課題に
 こうした背景から市の上水道料金は現状を最低10年間は維持する見通しで、人口増加の追い風が続きそう。当面は老朽化した御屋敷山浄水場や老朽管の耐震改修が課題で、11年から27年までの水道事業基本計画に沿って進めている。
 昨年4月に県外から会社員の夫(37)と3人の子どもと美里町に転入した女性(34)は「水道メーターが故障しているのかと思ったほど安さにびっくりした。家計が助かる」と話す。
 周南市は合併後も旧市町単位で違った上水道料金を現在は統一。懸案の熊毛地域の上水道敷設も光市水道局から上水を購入して実現し、生活用水が井戸からくみ上げる簡易水道頼みだった住民を安心させている。
 光市も周南市熊毛地域への上水の送水で収入の安定を図る一方、工業用水確保のため島田川上流の中山川ダムの水利権を工業用水に転換し、周南市、下松市のコンビナート企業に送水する県事業の効果に期待している。
170616h

60%が「不快な思いしたことある」

徳山商議所・タクシーに関するアンケート “おもてなし”向上へ改善も
 周南市の徳山商工会議所は“おもてなし”向上を目的に会員事業所などを対象にタクシーに関するアンケート調査をした。「感じがよかった」という意見も多かったが、「不快な思いをしたことがある」と回答した人が全体の約60%にのぼり、これを受けて各タクシー会社ではマナー向上に向けた講習会を開くなど改善に向けた取り組みも進めている。

徳山駅前のタクシー乗り場

徳山駅前のタクシー乗り場


 このアンケートは来年2月に新徳山駅ビルが完成し、市への来訪者の増加が予想される中で、最初に乗るタクシーの印象が市全体の印象を左右すると考えられることから、現状の把握と改善につなげようと企画した。会員事業所やコンビナート企業にアンケート用紙を配って従業員などの563人から回答があった。
 回答者は男性475人、女性88人で、40~59歳が61%。利用頻度は「年に数回ていど」が53%、「月に数回ていど」が35%。利用動機(複数回答可)は「飲酒後」が最も多く74%、「ほかに交通機関がないとき」が31%。
 「感じがよかったと思われたこと」の質問には「言葉遣いがよかった、会話がはずんだ」「乗降時のあいさつが丁寧」「安全運転、よく道を知っている」「荷物を気遣ってくれた」などの意見が多かった。
 一方、不快な思いをしたことがあると答えた人は「運転が荒い」「無愛想」「たばこ臭い」「遠回りする」「初乗りの距離だと態度が悪くなる」などの理由をあげた。「タクシーに強化してほしいサービスは」(複数回答可)の問いには59%が「乗務員のマナー」と答えた。
 この結果を受けて各タクシー会社は乗務員に向けたマナー講習を開き、客に「ご用命ください」などと呼びかけるステッカーの張り付け、役員による徳山駅前タクシー乗り場のパトロールの強化など対策を始めた。徳山地区タクシー協会(松本澄会長)でも徳山駅前で乗務員の喫煙を禁止にするなど取り組んでおり、松本会長(61)は「横のつながりを密にして、お互いにマナー向上に努めていきたい」と話している。
 同商議所の小林高志事務局長(44)は「タクシーだけでなく飲食や小売などにも広げていき、地域一体となったおもてなし運動を呼びかけていきたい」と話している。

170615a

「ソレーネ周南」黒字転換

2016年度決算・仕入れ、人件費など減で
周南市議会環境建設委員会で報告

 周南市は12日、戸田の道の駅「ソレーネ周南」が2016年度の決算で経常利益が886万9,000円になったことを市議会環境建設委員会(坂本心次委員長)で報告した。前年度は約2,270万円の損失を計上する赤字だったが、仕入れ費用や人件費の削減などで黒字に転換した。

説明を受ける議員

説明を受ける議員

 ソレーネ周南は14年5月にオープン。市から指定管理を受けた周南ツーリズム協議会(藤井良治代表理事)が運営し、同会の決算では初年度の経常利益は約2,000万円だったが、15年度は赤字に転じた。昨年8月からは駅長が不在になり、9月から新南陽商工会議所が事務局になるなど運営体制も変えて経営改善に取り組んできた。
 委員会では中村光男農林課長らが報告。それによるとレジ通過者数は15年度の80万5,000人から16年度は74万4,000人、売上も15年度の6億3,995万4,000円から16年度は6億124万3,000円と減少したが、仕入れの費用や人件費を中心に旅費、減価償却費など支出の削減によって黒字になった。
 人件費は客の少ない時間帯に人員を減らすシフト変更などで削減し、前年比で1,678万円減。4月1日時点の従業員数は前年と同じ13人だが、パート・アルバイトは前年の32人から25人へと減らしている。
 また前駅長の江本伸二さんが昨年7月の1カ月間、周南ツーリズム協議会職員と埼玉県桶川市職員として重複勤務していた問題では中村課長は給料を支払ったことについて「土日の出勤や有給の活用もあり、周南ツーリズム協議会としては適正だったと聞いている」と報告。しかし議員から「桶川市への“就活”が旅費として使われているのではないか」という意見も出て、中村課長は周南ツーリズム協議会が調査を進めていると答えていた。

東洋鋼鈑執行役員下松事業所長

【この人に聞く】技能伝承で高める現場力、安全操業と地域貢献に力
東洋鋼鈑執行役員 下松事業所長 荒瀬 真さん(55)

170613

 4月1日付で下松市の東洋鋼鈑下松事業所長に業務・勤労部長から就任した。同社は東洋製罐グループの鋼板・機能材料メーカー。ブリキ、薄板、表面処理鋼板、機能材料などの製品のほぼすべてを下松事業所で生産している。“1社1工場”の下松事業所を背負って立つ荒瀬さんに、現状や今後の見通しなどを聞いた。(聞き手・山上達也)

 ――就任のお気持ちからお聞かせ下さい。
 荒瀬
 1社1工場の事業所長という立場に、責務の大きさを感じています。
 ――どんなことを心がけていきますか。
 荒瀬
 安全操業と防災の徹底です。どんな生産設備も動かすのは人です。人の意識や気持ちこそ大切です。
 ――具体的にはどう取り組みますか。
 荒瀬
 「みんなで高める現場力」のスローガンの下、技能伝承が世代間でうまくいくようにします。具体的には職場単位の“縦糸教育”と階層別の“横糸教育”の強化です。QC(小集団改善活動)サークルを従来の生産現場だけでなく、事務部門にも広げて問題解決の糸口づくりを進めていきます。
 ――それは頼もしいですね。技能伝承は定年退職者の再雇用が柱になりますか。
 荒瀬
 そうですね。今やらないとできないことだと思います。団塊の世代の定年退職はピークを過ぎましたが、だからこそ今、作業標準などのベースを作っておきたいと思います。
 ――主力商品はやはり“底の白いスチール缶”向け鋼板でしょうか。
 荒瀬
 鋼板事業が大きな柱です。当社ではスチール缶の素材を製造していますが、底の白い缶の技術の“もと”は下松事業所から生まれ、100%当社独自の技術です。アルミ缶の普及やコンビニエンスストアの店頭のひきたてコーヒーの登場で缶コーヒーの需要は減っていますが、電池向け鋼板や磁気ディスク、光学用フィルムも生産しています。
 ――暮らしのいろんな場面で使われているんですね。
 荒瀬
 冷蔵庫の扉の材料やハイブリッド車のニッケル水素電池向けもあります。電気自動車などに使用されるリチウムイオン電池向けは今後の需要拡大を期待しています。地域の皆さんに「鋼鈑はこんなものを作っているんですね」と認知していただく工夫をしていきたいです。
 ――毎年“事業所開放イベント”を開いていますね。
 荒瀬
 地域あっての東洋鋼鈑、下松生まれの東洋鋼鈑ですから。下松市主催の子どものための次世代育成支援事業への寄付も9年目に入りました。今後も地元への貢献を続けます。
 ――がん治療の遺伝子解析キットの開発、生産という新しい分野も待っていますね。
 荒瀬
 ようやく薬事承認が下りました。県や山口大学と連携した産学官の成果で、抗がん剤の投薬の副作用を事前に検査する画期的なキットです。がん治療の現場で貢献できればと思っています。
 ――トルコでの合弁事業はどうですか。
 荒瀬
 5月に営業生産が始まりました。少しずつ生産を増やしてトルコ国内をはじめ欧州、アフリカ、中東の需要を満たします。下松で研修を受けた人たちが従業員約700人の中核的な立場で活躍しています。立ち上げ指導の日本人従業員は今では20人に減り、やがては数人になります。現地で優秀な人材が育っています。
 ――市民の皆さんにメッセージを。
 荒瀬
 下松で生まれ育った当社にとって下松事業所はマザー工場。地域にもっともっと貢献し、地域との信頼関係を深めていきたいと思います。

[プロフィール]
 1961年、周南市三番町生まれ。徳山小、岐陽中、徳山高から立教大学経済学部に進んだ。高校時代は剣道に打ち込み、大学では手品サークルに所属してアルバイト代の大半は手品のネタ代や衣装代に消えたという。
 85年に入社し、本社の情報システム担当からスタートして経理部係長、秘書室で係長と課長、総務部で総務グループリーダーを務めて2013年に下松事業所業務・勤労部長。
 趣味は登山とゴルフ。妻、社会人の長男、大学生の長女の4人家族。下松市末武下