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東ソー南陽事業所本館建て替えへ

110億円投じ、運営機能を強化。新研究棟の建設も
 東ソーは主要生産、研究開発拠点である周南市開成町の南陽事業所(田代克志事業所長)で、研究棟の新設や本館の建て替えを含めた正面エリアのリニューアルなど運営機能強化計画をスタートさせた。新本館は2018年6月、新研究棟は19年10月の完成予定で、それぞれ現在の本館前のグラウンドに建設する。このほか防災センターなども建て替える。投資額は約110億円。

完成イメージ図

完成イメージ図

 計画のうち新研究棟は同事業所内の老朽化した4棟の研究所を集約することで研究開発機能の拡充、効率化、技術的な相乗効果強化、安全強化を図るもの。
 現在3つある研究所のうち高分子材料研究所は三重県の四日市事業所に集約させるが、残る無機材料、有機材料研究所でスペシャリティ製品の研究開発に力を入れる。これに伴って18年度から5年間で研究員を50人増やす方針。
 ベンチテスト施設やクリーンルームの充実、最新設備も導入し、新規用途開発や新規材料開発の促進も図る。地上4階建てで、延べ床面積は約1万平方メートル。18年8月に着工する。
 新本館は、現在の本館や周辺施設がいずれも築50年以上経過して老朽化していることから、建て替えでBCP(事業継続計画)対応機能の強化を図るもの。
 これにより分散している技術センターや環境保安・品質保証部門を集約し、事業所全体のコントロールタワーとしての運営機能を強化させる。地上4階建てで、延べ床面積は約5,000平方メートル。今年6月に着工する。
 現在の本館、研究棟は新館完成後に解体し、跡地の一部には研究関連施設などを建て、その他は更地にする予定。
 17日には田代事業所長、池田悦哉副事業所長が県庁を訪れて村岡嗣政知事に運営機能強化計画の概要を説明した。

【周南】市議会議員の政務活動費は?

周南市25,000円、光市20,000円、下松市11,000円、透明性へ情報公開進む
 市議会議員や県議会議員に対して調査研究活動のために支給されている政務活動費。全国的に不正な使われ方が明るみに出て問題となるケースもたびたび報じられているが、周南3市の議会では市民から不審感を持たれないよう、領収書の閲覧など情報公開をそれぞれ進めている。金額は周南市は月額25,000円、光市は20,000円、下松市は11,000円とは差があるが、いずれも会派(1人会派を含む)の活動を対象に交付されている。支出の状況などを調べた(延安弘行)

【周南市議会】
 3市で最も金額が大きい周南市議会。年間では1人当たり30万円で、定数の30人に満額が交付された場合900万円。会派ごとに前渡しされ、収支報告、視察などの旅費に使った場合はその視察内容の報告書、領収書とともに残金を返還する仕組み。
 使途は2015年度の場合で調査旅費と広報費が最も多く、9会派のうち8会派が旅費に、6会派が会報の発行、配付など広報費に使った。
 表にまとめた項目のほか、使途基準では広聴費、人件費、事務所費にも使えるが、15年度は使った会派がなかった。使い切った会派は1会派だけで、共産党は3分の1近く、公明党も4分の1以上を残した。
 情報公開では15年度分までは会派ごとの収支報告書だけをホームページに掲載し、領収書などは市議会事務局で閲覧できるようにしていたが、16年度分からはより透明性を高めるため、領収書もホームページに掲載することを全会一致で決め、公開に向け準備が進められている。
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【光市議会】
 光市議会は定数18で、年間1人24万円のため総額は432万円。使途は旅費、調査研修費で、視察の費用が大半。広報費の項目はないが、印刷などは需用費として使うことができるという。15年度は全会派で支出が交付額を上回っていて残額はなかった。
 各会派から出された収支報告をもとに事務局でまとめた表をホームページに掲載しているが、領収書などは情報公開条例で開示を請求しなければ閲覧できない。このため16年度分から自由に閲覧できるよう準備している。
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【下松市議会】
 下松市は定数20で、1人当たり年額は13万2,000円、総額は264万円。15年度は1人欠員で19人だった。
 使途は調査研究費、研修費が大半で、視察などの旅費に使われている。周南、光市に比べて交付金額は少ないが、6会派のうち5会派が使い切らずに一部を返還。民主クラブ(現政友会)では3分の1以上を残した。同市は交付額に利息分も加えて公表している。
 ホームページには光市と同様、会派が提出した収支報告書をまとめた表だけを掲載している。領収書などは事務局で自由に閲覧できるが、コピーするには情報公開条例に基づく申請が必要になる。
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質の高い議会活動へ
 不適切、不自然な支出には市民の厳しい目が向けられる政務活動費。首長の行政運営を監視する機能を果たすために使われるのであれば有権者の理解も得られるし、より透明性を高める取り組みは評価できるといえるだろう。
 適正な支出でより質の高い議会活動を望みたい。

レノファとまちづくり

県内全19自治体が連携協定、イオングループも参加して
 サッカーJ2のレノファ山口(河村孝社長)は13日、オフィシャルパートナーのマックスバリュ西日本を代表とするイオングループ、ホームタウンとなっている県、県内全19市町と「オール山口 Jリーグで地方創生、まちづくりパートナーシップ包括連携」協定を結んだ。

河村社長や知事、各市町長ら=県提供

河村社長や知事、各市町長ら=県提供

 この協定は県内の持続的発展、活性化へ情報交換や協働の取り組みを進めるのが目的で、スポーツ・文化振興や子育て支援、商業・観光振興、地産地消推進、地域防災など12項目で協力する。
 具体的な取り組みとしては、ホームタウン自治体ごとに選ばれるご当地所属選手がサッカー教室など自治体の行事に参加したり、イオングループの店舗でポスター展示や「プロスポーツ選手を育てる食事講座」などのイベントの開催、募金活動・清掃活動への協力などが予定されている。
 13日は山口市の維新百年記念公園陸上競技場で協定締結式があり、日本プロサッカーリーグの村井満チェアマンを立会人に、河村社長やマックスバリュ西日本の加栗章男社長、村岡嗣政知事、木村周南市長、国井下松市長、市川光市長など各市町長らが協定書に署名した。
 15日にはホームタウン自治体の所属選手が発表され、周南市はパク・チャニョン選手、下松市は高柳一誠選手、光市は加藤大樹選手が選ばれた。

1中学1小学で“一貫校”

光市立学校の在り方検討会議、新学習指導要領に歩調合わせ
 光市立学校の将来の在り方検討会議(霜川正幸会長、19人)の第4回会議が11日、市教委ホールで開かれ、市教委は人口減と少子高齢化が進む中で、大和地区などの小学校を統合して1中学校に1小学校を置く「一体型小中一貫型学校」とすることを提案する将来のあり方の基本構想案を示した。

あいさつする霜川会長

あいさつする霜川会長

 基本構想案は現状や国の動向、市の学校教育の取り組みや方向性、市がめざす学校像の5章からなり、1中学校1小学校構想は「市がめざす学校像」で取り上げている。
 その前の第4章で中学校単位の取り組みを求める「次世代型コミュニティスクール」を掲げ、小中一貫教育の推進に言及している。
 一体型小中一貫型学校は同じ敷地に同じ校区の小、中学校を置くもの。現在11小学校、5中学があるが、前段階として既存の校舎はそのままに中学校を軸に連携する「分離型」小中一貫型小中学校の発足を想定している。
 案では島田、上島田、三井、周防小と島田中▽岩田、三輪、塩田、束荷小と大和中が一体化の対象で、浅江、光井、室積は各小中学校の校区が一致している。
 市教委は文部科学省の次期小中学校学習指導要領が全面実施される2002年か21年に分離型一貫校への移行を想定したいと説明。委員からは「校区が広くなることが小学生にとって不安」「一貫型のメリットをもっと示してほしい」などの声が出ていた。
 8月23日に開く第5回会議で基本構想の策定を目指す。

光市新田の稲葉地区で小水力発電

7月から農業用水路で、電気柵、LED街灯に利用
 光市塩田の稲葉地区の農業用水路に7月にも市内初の小水力発電設備が設置されることになった。11日には水路の近くで市竹林会(神田公司代表)が現地報告会を開き、住民ら20人に発電した電力を鳥獣対策の田畑の電気柵や新設するLED(発光ダイオード)街灯の電力に使う計画を説明した。

神田代表と発電を実演するピコルくん

神田代表と発電を実演するピコルくん

 同会は塩田を拠点に竹林の伐採、整備活動に取り組んでおり、小水力発電は事業費46万円全額をセブン―イレブン記念財団の助成で設置することにした。県農村整備課によると県内では、これまで周南市の井谷地区を守る会と四熊農地保全会など6団体が同様の小水力発電を始めている。
 発電機は柳井市の大晃機械工業製の簡易型小水力発電機“ピコルくん”で、幅35センチの水車を用水路の水で回し、内臓の自転車のライト用のモーターに動力を伝えて4.5ワットを発電する。稲葉では水路に堰(せき)を設け、固定した塩ビパイプで取水して水車を回す。昼間は電気柵に使う以外は蓄電し、夜間のLED照明に使う。
 現地報告会には導入に尽力した田中陽三市議会議員や県農村整備課、市農業耕地課の担当者も出席。7月中旬に完成する予定で、神田代表(71)は「関係各位の協力に感謝したい。電力の地産地消をさらに進めていきたい」と話していた。

新国民宿舎「大城」好調

半年で10万人に、露天風呂、料理も人気
 下松市笠戸島の国民宿舎大城(有吉良美支配人)の来館者が12日、昨年11月に新築オープンしてから約半年で10万人になり、宿泊者4人とレストラン利用者2人、日帰り入浴客2人の計8人に国井市長から記念品が贈られた。

市長と“10万人目”の人たち

市長と“10万人目”の人たち

 大城は老朽化のため市が総事業費約28億円で建て替えた。10万人は予想を上回るハイペース。定員121人の宿泊は平均稼働率が68%で、週末は満室。現在も7、8月の週末はすでに予約で埋まっている。夕日が美しい温泉の露天風呂や、昼食がバイキング形式のレストランも行列ができる人気。
 10万人目は宿泊者が米国アリゾナ州のウエイン・バントさん(81)と下松市新川出身のカツミ・バントさん(79)夫妻、娘のシェリー・ガーナーさん(52)、ボールさん(59)夫妻▽レストラン客は柳井市の河村千恵子さん(70)と生田ミチ子さん(80)▽入浴客が光市岩田の佐藤勇さん(70)とユリ子さん(67)夫妻。
 バントさんらと一緒にくす玉を割った市長は「来館者の10万人達成は市の人口が過去最高を更新した中で明るいニュース。これからも気軽に足を運んで下さい」とあいさつし、花束や大城の3,000円分の利用券や大城のロゴ入りのタオルやせっけんなどの記念品を贈った。
 バントさん一家は2週間宿泊する予定で、カツミさんは「我がふるさとの大城がこんなにきれいになっているとは思わなかった。みんなに自慢できます」と喜び、夫のウエインさんも「10万人目はラッキー。景色も温泉も食事も素晴らしい。忘れられない思い出になります」と笑顔を見せていた。

過去最多の56,968人に

【下松市】39年ぶりに更新、流入人口増続く
 下松市の4月末現在の人口が56,968人になり、これまで最多だった1978年2月を7人上回って39年ぶりに更新した。大型店の多さなど利便性、地価、水道料金、家賃の安さなどを背景に流入人口が増えていることが要因と見られ、近く57,000人を突破しそうだ。(山上達也)

市役所に張り出された過去最多更新の表示

市役所に張り出された過去最多更新の表示

 市の人口は1952年に4万人台、高度経済成長期の70年に5万人台に乗って伸び続け、ピークの78年2月以降は微減が続いて90年10月に54,397人になったが、以後は再び微増が続いていた。3月は転出者が多いため前月比で人口が減る傾向があったが今年は減らず、流入人口が上回った。
 男性は27,829人、女性は29,139人で25,719世帯。このうち外国人は679人で、3年前の2倍に増えた。日立製作所笠戸事業所や新笠戸ドック、東洋鋼鈑下松事業所で働くフィリピンや中国などからの外国人研修生の増加が大きいという。
 同市は大型店の占有率も全国有数で、売り場面積1,000平方メートル以上の店は17店。売り場面積に占める割合は全国屈指の84.8%。93年のザ・モール周南のオープンから現在も出店が続き、末武平野を南北に貫く県道下松鹿野線の全線開通や都市計画道路青木線の開通も後押ししている。

建設ラッシュが続く都市計画道路青木線

建設ラッシュが続く都市計画道路青木線

 13日には清瀬町にスーパーマーケットのアルゾー下松店、20日には望町にドラッグコスモス下松望町店、8月には同町にトヨタカローラ山口下松望町店がオープンの予定で、これらを含めると占有率は85.5%に跳ね上がる。
 若い世代の流入も多いことから市は子育て支援策に力を入れ、昨年8月には小学6年まで所得制限なしの医療費無料化に踏み切った。この財源は市立保育園の民営化でねん出した。水道料金は上水のほぼ半分を東洋鋼鈑が一括購入していることや、建設コストがかさむ地下配水タンクの建設見送りで周辺市に比べて安さを維持している。
 県内の自治体で人口増が続いているのは同市と山口市だけ。市は9日、市役所1階ロビーに「下松市の人口が過去最多を記録しました!」と表示した。国井市長は「安全で安心なまちづくりや観光の魅力アップという市政の基本政策を進める上で大きな勇気をいただいた」と話している。

徳山積水工業がメディカル棟増設

本社機能強化認定 プラスチック真空採血管増産
 塩化ビニル樹脂や医療機器などを製造している周南市開成町の徳山積水工業(三宅隆雄社長)に新メディカル棟が完成し、9日、弘中勝久副知事や木村市長、関係企業などの約40人が出席して完工披露式が開かれた。
 同社は積水化学工業の原料部門として1964年に設立。85年に医療機器事業に進出し、世界初のプラスチック製真空採血管を発売。91年に第1期、97年に第2期のメディカル棟を建設して国内や中国、欧米などに輸出もしている。今回の第3期は採血管やその他の医療機器事業の拡大、新製品開発の拠点として昨年3月から建設を進めていた。

完成した新メディカル棟

完成した新メディカル棟

 新棟は鉄骨造の3階建てで延べ床面積は3,341平方メートル。設計は安井建築設計事務所、建築工事は清水建設、電気設備工事はきんでん、機械設備工事は中電工が担当した。
 投資額は約9億8,300万円。地域再生法に基づき、地方の企業の本社機能強化(研究所新設)事業として県から特定業務施設整備計画の認定を受け、国や県、市の助成制度も活用した。
 現在は年間2億5,000万本の採血管を作っているが、今回の増設で年間生産本数は約3億本になる見込み。人員も開発関係を中心に10人以上増やす。
あいさつする三宅社長

あいさつする三宅社長

 完工式で三宅社長は「いろんなものを取り入れられるような余地を残した建物。この山口、周南の地で技術を磨き、医療分野にも一層貢献できるよう努力したい」とあいさつし、弘中副知事、市長も祝辞を述べ、駐車場のそばに記念にシダレザクラ一本を植樹した。

世界初の水素製造システム

淡水と海水の塩分濃度差利用、今夏、東部浄化センターで実証
 淡水の下水処理水と、海水の塩分濃度差を利用した世界初の水素製造システムの実用化に向けた実証事業が今年夏ごろから周南市鼓海の徳山東部浄化センターで始まることになった。
 この事業は国土交通省の下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)。県が水素先進県を目指していることから県産業技術センターがコーディネートし、山口大学と福岡市の正興電機製作所の山口営業所、日本下水道事業団の共同研究体を実施者に上限3,000万円でこのほど採択を受けた。

徳山東部浄化センター

徳山東部浄化センター

 このシステムは海水からの食塩製造、しょうゆの脱塩などに利用されていた技術を応用し、下水処理水と海水の塩分濃度差を利用して水素を製造するもの。
 効率的かつ低コストで安定的な水素製造が可能で、高純度の水素ガス以外に酸素ガスも得られ、消化工程を採用していない下水処理場でも海水の取得が容易ならば水素製造が可能、下水処理場はエネルギー消費地に近いため水素の輸送コストが抑えられるなどの利点がある。
 昨年度に福岡市の海水淡水化センター・まみずピアで処理ずみの濃縮海水を使った基礎調査をしており、今年度は徳山東部浄化センターで実際の海水を使って本格的な調査に着手し、水素、酸素製造能力の向上や前処理装置の確立技術を評価する。
 専用の膜製品は周南市のアストムが提供している。
 今後は夏ごろにプレハブの研究プラントを設置し、約1年間、調査・研究を進める。

[インタビュー]この人に聞く

「基幹工場であり続ける」環境に優しいワックス一筋
 周南市大島に基幹工場を置く日本精蝋は創業以来、ワックス一筋に歩み、主力のパラフィンワックスは燃やしてもダイオキシンが発生せず、土に埋めれば分解される、環境に優しい製品で、海外でも高い評価を得ている。同社は1929年に南満州鉄道(満鉄)の子会社として設立され、30年に徳山工場が操業。戦後、GHQの管理下に置かれて閉鎖されたが、51年に現在の形で設立された。1月に就任した、旧徳山市育ちの安藤司社長に現状や今後の徳山工場のあり方などを聞いた。(聞き手・中島進新周南新聞社社長)

170509an 日本精蝋社長 安藤 司さん(57)

―徳山と縁があるそうですね。
 安藤 私はほぼ徳山の人間で、生まれは大分県ですが、徳山には小学生の時に来て、高校まで過ごしました。家も戸田に持っていまして、日本精蝋に入って30数年になるうち3分の1が徳山、3分の2が東京勤務で、単身が長く、子どもら家族は徳山にいて、私は1人で東京という期間が多かったです。
―日本精蝋といえばろうそくというイメージで、パラフィンワックスと言っても一般的には馴染みがないように思います。
 安藤 ワックス、日本語で言えばロウです。石油精製する会社では、基本的にはワックスが出てくるんですが、それを日本精蝋のように精製して販売する会社はだんだん減っていきました。需要も減ってはきましたが、日本精蝋のシェアはおのずと高くなり、現在、国内では7、8割のシェアを持っています。
―どんなところで使われるんですか。
 安藤 今はろうそくのシェアは落ちていまして、1番大きいのはゴムのタイヤです。伸びている分野だとトナー、インク、あとは口紅、クリームなど化粧品関係。またチューインガムなどの食品関係もあり、数量は少ないですが、用途的には幅広いです。
―ほかのコンビナート企業がいろいろなものを扱う中、ワックス一筋で、ずっと単品でやってこられた秘訣、要因はありますか。
 安藤 1つの商品でこれだけ長く、というのはなかなかないと思います。ワックスの需要は日本ではろうそくの需要が減って落ちていますが、世界的にはずっと伸びています。1番需要が大きいのはアメリカで、キャンドル文化のため、それだけの量が需要としてはあります。また段ボールをワックスでコーティングするなどの用途も多く、国内だけでなく海外でも苦しいながら進めてきました。ワックス以外に能力がなかったところがよかったのかもしれません。
―特化したことで世界に出られたということですね。
 安藤 今までよりも用途の構造変化も含めて変わってきつつありますし、専門性もあって、日本精蝋が海外も含め、以前より評価を受けつつあるんじゃないかと思います。
―世の中が変わる中、ワックスの世界はどう生き延び、需要を喚起できると思いますか。
 安藤 今、我々も原料の多様化を図っていますが、そういう中でお客様のニーズの変化に対応でき、ご提案できるかどうかが課題です。我々自身がワックスを市場価値のあるものとして、お客さんとの協力関係含め、よりいいものをと継続していくことが重要です。古い用途のキャンドルは世界的にはおそらくなくならないですが、例えばプレミアムがついた、いいキャンドルには日本精蝋のものを使うなど、差別化で生き残る方向性としていきたいです。
―かなり前からグローバル化を図っておられるんですね。
 安藤 輸出は早くからしています。こういうメーカーでは珍しく、直接海外とやり取りをすることに相当エネルギーを入れて取り組み、継続しています。私も国際関係の仕事に携わってきた中で、例えばアメリカ市場など、大きな枠を見ることができました。そういう意味では、日本の小さい市場だけでなく、世界のことを見やすくなっていると思います。
―海外を見てきた中で感じた日本のよさはありますか。
 安藤 海外は量が多く、アメリカには日本精蝋の製品の約半分がいっています。ただ、国内は用途の幅広さがあり、小さな数量を含めると相当いろんな用途が開拓されています。おそらく世界の中でも珍しく、日本の強さだと思います。世界レベルの仕事をしているお客さんもおり、そういうところに提供させていただくことは素晴らしいという感じもします。
―徳山工場は今、何人いるんですか。今後、投資の計画などはありますか。

徳山工場に建設中のプラント

徳山工場に建設中のプラント

 安藤 220~230人です。私が入ったころは400人いました。現在、ワックスとしては特殊品を製造するための設備を建設中です。現在、3つの工場がありますが、徳山以外は約10年前にスタートした茨城県のつくば事業所、2014年に設立したタイの工場でそれぞれ特殊品を作っていますが小さく、大きいのはすべて基幹工場の徳山です。今作っているのもつくばにある設備の約1.5倍。今後も徳山が基幹工場であり続けます。
―社長として若い人へメッセージはありますか。
 安藤 今、言っているのがchange(変化)、conviction(信念)、challenge(挑戦)の“3C”です。自分自身が変われると信念を持ってチャレンジし続ける、という意識を私自身も持っていますし、やりがいのある仕事をして、若い人にもよかったということを味わってもらえるような会社にしたいです。
―徳山出身で新社長。地元の人間としてうれしく思います。地域とともに頑張っていただけたらと思います。

【安藤 司さんプロフィール】
 大分県臼杵市生まれ。旧徳山市で戸田小、桜田中、徳山高で学んだ。高知大学人文学部卒。1982年に日本精蝋に入社し、初任地をはじめ会社生活の3分の1は徳山工場。2001年に貿易部長、04年に国際部長、07年に執行役員国際部長、10年に取締役、15年に常務となり、今年1月から現職。最近の趣味はゴルフ。東京在住。